第33話 ダンジョン強化
何もしてないのに10万人の防衛戦力を得た。普通の人間ならここで浮かれて油断したり気が大きくなって失敗をしたりするのだが、俺は却って気を引き締めていた。
宝くじを当てた人間や、芸能人、はたまた有名なスポーツ選手などが大金を手にしてもいつの間にか、借金を負って破産する事が良くある、これは一時的に油断したために起きたフラグなのだ。つまりここで儲かったと思うと酷い目に会うフラグなのだ。上手く行った時こそガチガチに守るのが正解なのだ。無駄に手を広げたりすると第2次大戦の日本の様に能力以上の事に手を出して自滅する事が良くあるのだな、つまり自分の能力を冷静に評価出来ないと失敗する。
「コア! 召喚だ、強烈な魔物を召喚する! 油断してるとフラグが立つのだ」
「珍しいですね。又、スケルトンですか?」
「うんと高いやつ。そしてご飯を食べないヤツを出してくれ」
ご飯を食べない魔物はアンデット系かゴーレム等の無生物になるらしい、食費が掛かるのは嫌だしご飯の用意や散歩が面倒なのでなるべく手の掛からない奴が欲しいのだ。バルキリーなんかは3人前の飯を食ったり、あれが欲しいこれが欲しいって煩いのだ。
「一番強力な魔物は10億ポイントのノーライフ・キングに成ります。因みにご飯は食べない様です」
「どんな奴だ?」
「強力なアンデッドです、普通のダンジョンでは地下80階から地下90階のボスキャラをしてます」
「さすが10億、良いね。それで行こうじゃないか」
「了解、召喚いたします」
と言う訳で今俺の前にノーライフ・キングが現れた、頭に王冠を載せたスケルトンの王様のヤツだった、何故かマントと杖も持っていてそこはかとなく威厳がある様な気がする。
「召喚有難うございます、マイマスター。ご命令をどうぞ」
「宜しくキング、今日からこのダンジョンを守ってくれ。頼りにしてるぞ」
「お任せ下さい、マスターの敵は私の敵。全ての敵を殲滅してご覧に入れましょう」
ノーライフ・キング本人に聞いた所、魔法が得意なのだそうだ、特にスケルトンやアンデットを無数に呼び出したり使役できるのだそうだ。つまり彼は一人で軍団を創って戦える強力な魔物だったのだ、弱点は当然の様に光属性、光魔法に弱いのだが普通の光魔法程度では彼には通用しないらしい。そして彼はかなり頭も良い様なので、簡単に今の状況説明を行った。
「いや~、助かったよキング。喋れる魔物は貴重だからな、良い考えが有ったら言ってくれ」
「ふふふ、人間達が喜んで盾になるその強力な洗脳能力、人間も獣人も等しくポイントとしか見てないその非情さ、このキングの心より感服いたしました。マスターの前では魔王ですら善人に見える事でしょう」
「おいおい、人聞きの悪い事言うなよ、俺は一応善人なんだからな」
「フハハハ、流石はマスター。面白い冗談ですな! 吾輩も善人に成れそうです」
「気が合いそうで何よりですわ、マスター」
「似た物同士だな、お互い話を聞かないしな!」
「何ですかこの無礼な小娘共は? 消して良いですかな、マスター」
「まてまて、消すな。2人共俺の護衛だからな」
「生意気な新入りですわ」
「気持ち悪いアンデッドめ!」
どうやらこの2人とキングは相性が悪い様だ、バルキリーが光属性なので闇属性のキングとは相性が悪いと思っていたのだが、コア子とも相性が悪いとは思わなかった。
「兎に角お前らは仲良くしろ・・・・・・とは言わん、無理だろうからな。だがこのダンジョン内で足を引っ張る様な事をするなよ、お前らの役目は俺の護衛だからな」
「「「分りました、マスター」」」
その後、キングを地下10階層に住んで貰って、強敵が来たら戦って貰う事にした。つまり俺のダンジョンの10階層のボスキャラはキングなのだ。因みに地下9階層には勇者を倒した音響兵器の部屋なので、普通の勇者程度では9階層突破も難しいだろうと思う。
キングは使い勝手が良さそうなので追加でもう何体か呼び出そうとしたのだが、キングの様な高価な魔物は1体呼び出すと売り切れの様で、追加で購入出来なかった。
「う~む、キング軍団は駄目か。まさか1体で売り切れとはな」
「何体出すつもりだったんですか?」
「メシ食わないし、寝ないし疲れないらしいから金が出来る度にキングを呼び出そうと思ってたんだよな。あいつスケルトンとか呼べるしな。一人で国相手に戦えるって話だぞ」
「キングを何体も出して何と戦うつもりですか? マスター」
「何って、次は魔王だろ? 魔族が攻めて来るよな。キングが100人位いたら勝てると思うんだよ」
「キングって魔王軍の4天王でも上位の魔物クラスですよ、そんなのが100人いたら魔王を簡単にボコれますって」
「なあマスター、キングを舐めてないか? あれは恐ろしい魔物だぞ、危険度SSだからな」
「そうなのか、そんな感じはしないんだがな~たった10億だしな!」
現在俺のダンジョンに住む住人は100万人、一日当たりに入って来るポイントは100万×1000ポイントで10億ポイントなのだ、いままで存在したどのダンジョンにも出来なかったポイント収入を俺のダンジョンは上げているのだ。人間を殺さないのでマスターレベルは低いのだが一日当たりのポイントは史上最高なのが俺のダンジョンなのだ。勿論住民たちが安心して暮らせる様に森や川、草原や農園等をポイントを大量に使って整備したり、誰でも気軽に受け入れていたらこうなってしまったのだ。
「さて、こっちの準備は整った、来るなら来てみろ魔王軍って奴だな」
「魔王軍も王国を破って調子にのってますから手強いですよ、マスター」
「油断は禁物だぞマスター」
2人に言われて何だか怖くなってきたので俺は更なる強化に勤しむことにした、後悔しながら負けると気分が悪いので有り金全てを使って、更なる強化をするのだ。