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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
32/45

第32話 勝手に強くなるダンジョン

 アーサーの言った通りダンジョンにやって来る人間や獣人が増えてきた、中にはドワーフとかエルフまで居る様だ。多すぎて何が何やら分からない状態なのだ。俺的には次の敵襲に備えたいのだが、人間の王国は俺の相手をしている暇は無いようだった、なにせ魔王軍に負け続けて王都が危なくなっているのだそうだ。


「勇者来ないな~、待ってると来ないんだよな。油断してると来るけど」


「来ない方が良いですよ、あれは厄介すぎます。魔法無効とか反則ですよ」

「うむ、異世界人の能力は私達には分からないから困るのだ。弱点でも有れば良いのだが」


「よ~し、煮えたぞ。食っても良いぞ。そこの黄色い奴を少し付けて食べるのだ」


「いただきま~す! 」

「これは何と言う料理なのだ?」


「おでん! 由来は知らん、色々な味付けと具が有るから面白いぞ」


 最近は人が増えたせいでポイントが有り余っているのだ、そこで毎日最下層で色々な料理を造って食っているのだが、所詮食費なんて大した事も無いのでポイントだけが虚しく貯まっていっていた。今ではドラゴンの召喚も簡単に行えるのだが、あんな大きなものがダンジョンの中に居ると邪魔だし、食費が1日100万ポイントと聞いてペットとして飼うのを諦めたのだ。まあ例えるなら宝くじが当たって金は有るのに、店がコンビニしか無いって感じかな? 車やパソコンとか欲しいけど売ってないって感じだった。


「ゲハッ! ゲハ! なんだこれ!」


「辛子ですが? それが何か」


「本当に此れは食べ物なのか! 私を騙していないか?」


「何を言うか~!! 貴様~! 辛子さんに謝れ!」


「えっ! いや、済まん」


「辛子さんは薬味なのだ、少し付けて食べるのだ、だが俺ぐらいの上級者になるとこんなことも出来るのだ! 刮目せよ!」


 俺はおでんに辛子をべったり塗りつけて食べてみせた、うほ~おおお~! 強烈だぜえええ~!!


「涙が出てますよ、マスター?」

「平気なのか? 毒じゃないのかコレ!?」


「ふふん、これがおでん上級者の食べ方なのだ」


 危機感が無いように思えるがそれは間違いだ、俺は常に危機感を感じている。だが毎日毎日考えているとストレスで胃がやられてしまうのだ、これはハッキリ言って敵より怖いし痛いのだ。夜中に気持ち悪くて起きて吐くのは本当に辛いのだ。だから日頃はリラックスして馬鹿なことをして遊んでいるのだ、まあ、現実逃避なんですけどね。


「マスター、地下2階で騒ぎが起こってます。アーサー達が大騒ぎしています」


「なんだろうな? 敵なのか」


「敵ではないようですね、大量の人間が入って来た様です」


 飯も食ったので散歩がてらに地下2階層へと歩いて行く、今ではダンジョンもすっかり大きく成って最下層から地下2階まで10キロ程有るのだ、散歩するにはチョット遠いのかな。


「マスター、遅い」

「仕方無い、私が背負おう。しっかり捕まってろマスター」


「うむ、済まんな」


 俺は何時もの様にバルキリーにオブってもらう、ガッチリと胸を掴んで離さない。バルキリーは空を飛ぶ高速移動をするのだ、落ちると危険だから胸の出っ張りを鷲掴みにしているのだ、他意はこれっぽっちもないんだからね。


「おい! マスター、少しは遠慮とかしたらどうだ? そこまであからさまに掴まれると私も恥ずかしいぞ」


「おう済まんかった、これで良いか?」


「チョット待て、余計イヤラシイではないか。さっきの方がまだマシだ」

「何2人で遊んでるんですか、真面目にやってください。私が運びましょうか?」


「いや、結構だ。死にかけたからな」


 俺を運ぶのは何時もバルキリーだ、コア子に運んでもらったら途中で落とされて死にかけたのだ、コア子には冗談が通じないからとても怖い。ちょっと服の中に手を突っ込んだだけなのに怒るとは、心が狭すぎると思うのだ。

 バルキリーの高速飛行で約10分で地下2階層に到着。これは途中の迷路階層を我々が通るときだけは直通に改装したためだ、普通に迷路にすると中が狭くて曲がりくねっているので、バルキリーの高速飛行でも30分は掛かるだろう。


「あっ! 賢者様、良いところにいらっしゃいました」


「どうかしたのかアーサー? 見慣れないヤツを連れているでは無いか」


 アーサーの隣には見慣れない少女が立って居た、その横には護衛らしい兵士とメイドが居るので多分身分の有る少女なのだろう。顔付きを見る限り頭が良さそうな気がする、まあ半分位外れるんだが。


「お初にお目にかかります賢者様、私第2王女のグロリアと申します。私達をこの聖地に住まわせて頂けないでしょうか?」


 第2王女と名乗った少女は俺に深々と頭を下げている、それと同時に護衛やメイドも俺に頭を下げていた。珍しい上流貴族だった、普通は高飛車なのだが、頭が良いのか、それとも追い詰められているのか? 


「住みたければ住むが良い、仲良く暮らすなら身分は問わぬ」


 王女だから偉そうにするのかと思ったら、頭を下げてお願いされた。下手に出られると酷い事も出来ないので受け入れる事にした。な~に問題が有れば追い出せば良いのだ、物理的に。


「寛大なる賢者様、有難うございます」


 そして王国の上流階級らしき者達もチラホラと俺のダンジョンに来るようになった。それと合わせる様に平民たちも増えて来た。どうやら王国の方が随分旗色が悪い様だ。折角国の偉い連中がダンジョンにやって来たのだから、情報収集だ。普通の平民より色々な事をしているに違いない。そこで魔族との戦争の事を王女に聞いてみる事にした、まあ逃げ出す位だから負けそうな事は聞かないでも分かっているのだが、色々な事情が知りたいのだ。


「で、王女が逃げて来たって事は、王国が負けそうなんだな」


「はい、1年前に勇者が3人現れてからは何とか均衡を保っていたのですが、一月前に一人の勇者が消えた為均衡が崩れてしまいました。もはや王国軍が魔王軍に勝つのは無理ではないでしょうか」


「ふ~ん」


 成る程そう言えば俺を入れて4人の勇者が居るはずだった事を思い出した、3人で善戦してたのならもう一人いれば良い勝負が出来たかも知れないな。まあ居なくなった勇者は多分この間始末した奴の事だろう。しかし国の存亡を掛けた戦いの最中に俺のダンジョンに来るとは、アイツか指示をした奴は凄い馬鹿だと思う、しなくても良い事に手を出した挙句に失敗して死んで、周りに迷惑をかけるのだ。


「そうか、それは残念な事だったな。まあここが気に入ったなら好きなだけ居ると良い」


「有難う御座います、賢者様」


 王女がここに来たって事は王女達は勇者がここに来た事を知らなかったのだろうな、という事は勇者は自分の意思か女神の命令で俺のダンジョンに来たって事だ。まあ、国民達は普通に被害者みたいだから助けてやろうと思った。


 そして大量に移民たちを受け入れるべく、第2階層と第3階層を大幅に改造した。具体的に言えば内部を40キロ四方の広さにして、大規模農場を作り、川を創り、公園や森や林を作って快適に暮らせるようにしたのだ。そして王女や貴族が避難所として住みだした事により、周辺の平民や獣人達も益々移住してくるようになった。もはやこの流れは止められなかった。


「マスター、地下2階層の人間が50万人突破しました。地下3階層40万人突破です」


「そうか、じゃあ又広げるか。次は海でも創って見るかな、魚食いたいし」


「やりたい放題だな、もはや賢者を辞めて神だな」


 そしてダンジョンの住民が100万人を超えたころ、第2王女のグロリアが俺に会いに来たのだ。


「賢者様、大変で御座います、王国が破れました!」


「そうか、それじゃ次に狙われるのはここだな」


「はい、そこで我々は防衛軍を組織いたしました。ここは私たちの希望の砦、絶対に魔族に負けるわけには行きません。ここを守るために我ら2・3階層の住民10万人からなる防衛部隊を作りました。賢者様、どうか存分にお使い下さい」


「うむ、ご苦労。中々優秀だなグロリア、男なら将軍の器だな」


「滅相もございません、滅びた国のタダの女で御座います」


「自分の居場所は自分で守るのだグロリア、君を防衛軍の将軍に任命する! 心せよ」


「ハ! この街を守り抜きます」


 彼女はきた当初から精力的に頑張っていた、各地から集まった部族の長や貴族達をまとめあげ防衛部隊を作っていたのだ。どうやら唯の王女では無い様だ、才能が有るなら使うべきだと思い好きにさせておいたのだった。


「どうよ! どうよ! スゲ~ツイテルな俺、タダで10万人の兵隊をゲットしたぜ!」


「はいはい、こっちに向かってこなければ良いんですけどね」


 そしてタダで10万の防衛戦力を得た俺は地下で大喜びしていたのだ。

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