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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
31/45

第31話 ダンジョンマスターの日常

 勇者との戦いでギリギリ勝てた俺達は、今までの甘さを反省していた。2人が余りにも強いので慢心していたのだが、相手も何時までも弱い訳は無い、必ず強い奴が現れるのだ。だから未知の敵に備えるために情報収集に力を入れて将来の敵に備えたいのだが、そもそも俺は魔法とかこの世界の事を全く知らないので準備のしようが無かった。第一敵や味方の強さですらポイントでしか分からないのだ。


「コア、俺のレベルが2つ上がって13になったけど、何か意味有るのか? ちっとも強く成らないんだけど」


「マスターレベルが上がったので、地下に階層を2つ増やせます、それに今まで有る階層が広く成ってますよ」


 階層が増えて何か意味が有るのだろうか、勇者チームは散歩をする様に下まで降りてきた。妨害をしなければ階層が増えるのって、ただ自分の陣地が増えるだけの様な気がするな、毎日入ってくる基礎ポイントが増えるからまあ良いんだが、俺のダンジョンって人間や獣人の街が有るのだ、それで物凄く儲かっているから関係無い感じに成っているのだ。


「やっぱり俺のダンジョンって変なのか? レベルアップの恩恵が全く感じられないんだが」


「間違いなく変です。中に人間や獣人の街があるダンジョンなんて変です、魔物より人間や獣人の方が多いじゃないですか。オマケに人間達を貴族や盗賊等から保護してますよね」


「駄目なのか? 俺は儲かってるからこれで良いと思うのだがな~」


 俺はダンジョンマスターなんてした事無いから分からないし、ポイントでご飯を食べたりダンジョンを強化しなくては成らない事は分かったが、ポイントを集める方法が人間を宝物で釣って引き込むってやり方が好きじゃないのだ。それよりも相手が欲ではなく好意的に中に入ってくれる場所の方が良いと思っていたのだが、ダンジョンコアとしては人間は敵って考えが埋め込まれている様だ。まあ、ダンジョンにとって人間は脅威だから間違ってはいない意見だと思う。

 まあ悩んでいても何も解決しないのでダンジョンに地下を2つ造って人間達の街へと情報収集に向かう、外の事は彼らに聞くのが一番なのだ。

 でもやっぱり納得いかないんだな、レベルアップしても全然強くならないで、穴を余分に掘れるだけとか、どんな無理ゲーなんだよ。やっぱりダンジョンマスターって外れの職業なんじゃyないだろうか? 大体穴の中で生活とか俺は地底人になったのか? レベルが上がったから外に出られるらしいが、外に出ている間に敵が来たら困るので結局出られないのだ。


「何ブツブツ文句を言ってるのだ? マスター」


「いや~、ダンマスって外れの職業だなって思ってな! 俺全然強ならないんだわ、それはもう某ゲームのルナティックモード位にな! 頑張って育てても時間の無駄って感じなんだわ」


「いやいや、ダンジョンマスターって普通は戦いませんから! ダンジョンの奥でダンジョンを管理するのがダンジョンマスターですからね!」


「そんな事言われてもな~、人手不足だしな、このダンジョンってお前ら2人とスケルトンしか戦闘員が居ないから俺も戦わないと戦力不足だよな」


 そう、俺のダンジョンは零細企業と同じなのだ、正社員がバル子とコア子、それに雑用係りのスケルトン達、だから社長の俺まで働かなくては生きていけないのだ。


「ですから、ポイントで色々な魔物を召喚すれば良いのです。それなのに(勿体無い)とか、(飯を食う)とか言ってケチるから魔物が増えないんですよ」


「・・・・・・」


 返す言葉も見つからない、基本的に俺は貧乏性なのだ。すぐに貧乏になるから将来に備えて貯めておきたい人間なのだ。つまり自分の事を信用していないのだな(笑い) 

 それに大型の魔物を召喚すると食費が大変な事になりそうだ、人間や獣人は沢山いるが飯がわりに食われると大変なのだ。家に猫を4匹飼っていると餌代や猫砂代それに病院代が凄いことになるのだ、俺はそれからは無駄に生き物を増やさない事を学んだのだよ。


「よ~! アーサー元気か? 遊びに来たぞ」


「あっ、賢者様、ご無事でしたか。良かったです」


「ワハハは~我が負けるわけが無かろう! 鋼鉄の戦艦に乗ったつもりで居るが良いぞ」


「鋼鉄? 戦艦?」


「マスター意味が分かりません」

「ふむ、聞いた事無い言葉だな」


「ただの冗談だ気にするな」


 異世界での会話は難しい、外国人に冗談や言葉遊びが通じないのと同じなのだ、それに文化・文明レベルが全然違うので色々なすれ違いが起こるのだ。


「まあいいや、美味い物出すから一緒に食おうぜ!」


「久しぶりに賢者様の料理が食えるとは! 有難い」


 言葉の意味や冗談は伝わり難いのだが、生き物で有る限り飲んだり食ったりするので、一緒に美味い物を食うのが一番確実に仲良くなれる手段なのだ、だから俺は暇を見つけては人間や獣人と宴会をして仲良くしているのだ。まあ、餌付けって言った方が早い気もするが、効果は絶大だった。


「いや~! この新しい食い物も中々美味いですね! 何ですかこれ!」


「これはお好み焼きってヤツだ! 中に入れる具で色々と感じが変わったり安く作れたりする面白い食い物なのだ」


「マスター、私はチーズを載せて下さい! チーズ!」

「マスター、私はエビを入れてくれ! あと、イカも!」


「へいへい!」


 実験的に地下でお好み焼きを作っていたら、2人もいっぱしの事を言うようになったのだ。俺的には広島風のお好み焼きが好きなのだが、作るのが面倒なので簡単な大阪風で誤魔化しているのだ。まあ、どちらにしても味の濃いソースや胡椒で全部同じ味に成るので中に色々入れても思ったほど味は変わらない気がするのだが彼女達は親の敵のように中に色々入れるのだった。


「賢者様! こんどこの料理を教えて下さい! これは売れますよ!」


「いいよ、簡単だしな。誰でも簡単に出来るぞ」


 こうして人間達と仲良くしておくと、色々な情報が貰えるのだ。なにせ同じところに住んで同じ物を食べているから仲間意識ってものが芽生えるのだ。


「アーサー、最近ここに来る人間や獣人が増えてきてないか? それに着ている服装も変わった様な気がするな」


「増えてますよ、何でも王国軍が魔王軍に負けたらしいんです。王国から逃げ出す人間や獣人が増えているようです。服は外が寒くなって来ているせいです。王国はこれから冬になりますから、厳しい季節になりますよ」


「なるほど、王国が負けそうなので難民化して来たのか。それに食い物が無い時の冬は悲惨だろうな、餓死者に凍死者が結構出そうだな」


「出るでしょうね、普段でも凍死と餓死者が多いですけど。戦争で働き手を取られて、さらに食料も国に取られたから住民は悲惨ですよ」


 俺のダンジョンは季節が無い、年中同じ温度と湿度なのだ。そして中の温度は20度に固定している、高温と低温にも出来るのだが極端に温度を変えるにはポイントが居るのでそのまま放置してるのだ。だから、この中は住むのに金が掛からない理想的な空間だった。凍死の心配も無く、雨や風を防ぐ家も必要ないのだ、ここの暮らしを知った平民はここを理想郷と思ったとしても当然だった。


「賢者様、多分もっと多くの難民がやってきます。大丈夫でしょうか? この場所が耐えられますかね?」


「多分大丈夫!我に任せておけい!」


 人が増えた時はポイントを使って階層を広げれば多分大丈夫、広げるのは大して高くないし、俺のレベルが上がると勝手に広くなったりする不思議空間なのだ。

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