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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
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第28話 マスターVS勇者 その2

 地下11階で皆で勇者チームを観戦している。今勇者チームは地下4階層に入った所だ、ここは落とし穴だらけの階層なのだ、至る所に深さ10m、底に毒付きの槍が生えている必殺の落とし穴が有るのだ、つまり冒険者が落ちたらヤバイ階層なのだ。


「あ~!!! やっぱり駄目か~」


「駄目ですね」

「無理だな」


 勇者チームを3人で観察していたが溜息しか出ない、勇者チームは落とし穴を全てアッサリと躱してしまうのだ。チームの中の盗賊系の奴が先頭になって仲間に落とし穴の位置を教えている様だった。やはりダンジョン攻略チームだから罠を感知するメンバーが居る様だ。嫌がらせで、内部の照明を全て落として中を真っ暗にしたら、僧侶が光を出して足元を照らしていたし、やはり複数のメンバーが協力している連中は強い様だった。


「皆が上手くカバーして隙がね~な、俺達とは大違いだな。こっちは腹黒魔法バカと脳筋ゴリラだもんな」


「返す言葉も有りませんわ」

「酷い言われ方だな、もっとソフトに言ったらどうだ? これでもうら若き乙女だぞ!」


「そうか済まん! 綺麗で美人でスタイル抜群のバルキリーさん! 良い考えが有ったら馬鹿な俺に教えて下さい」


 バルキリーに土下座して教えを乞うてみた、勿論全然期待なんてしてない、2人は力押ししか出来ない脳筋なのだ。今まで力押しだけで勝ってきたせいで苦労や工夫など考えた事も無い連中なのだ。これがエリートって奴の弊害なのだ、未知のものに当たると何をして良いか分からなく成るのだ、マニュアルが無いと何も出来ない無能とも言うが。


「やめろ! マスター 冗談を言ってる場合では無いぞ。負けてしまうじゃないか! 何でも言うとおりにするから考えてくれ」


「ちっ!仕方ね~な。考えてやろう、バル子は俺の足を揉め! コア子は俺様の肩をもめい!」


 冗談を言ってる場合では無かった、ここままでは俺が負けてしまう。だが折角バルキリーが何でも言う事を聞いてくれるって言うので、色々してもらう事にした。これで負けたら怖いので、自分で自分を追い込む排水の陣なのだ。決して肩を揉むコア子の胸が俺の背中に当たるとか、足を揉むバル子の胸がチラチラ見える事を期待して命令した訳ではない。


「う~む! ポク!ポク!ポク!ポク!」


「何か思いつきましたか? マスター」


「取り敢えず、地下5階を迷路にして罠をばら蒔いてくれ。時間を稼ぐ」


「了解しました、標準タイプの奴と高いやつのどちらにしますか?」


「安いやつ! ポイントが勿体無いから」


「了解しました」


 おれのダンジョンはハッキリ言えば手抜きダンジョンなのだ、ダンジョンなのに魔物は居ないし、罠も地下4階に落とし穴が有るだけ、他の階層は空っぽの空間なのだ。俺のいる地下11階層は俺の生活用品や遊び道具、そしてスケルトン達が居るが他は本当に何も無い空洞だったのだ。何かしないと勇者チームが散歩をするようにここまで来てしまうのだ。


「う~む・・・・・・」


「・・・・・・」

「何か考えついたか?」


「・・・・・・もう少し掛かりそうだ・・・・・・」


 背中のコア子の胸を堪能していたら思わず声が出てしまった、どんなに危機的状況でも俺は楽しめる漢なのだ、我ながら立派だと思う。目をつぶって瞑想しているフリをしているのでバル子の胸チラが見えないのは残念だが、2兎を追うものは1兎も得ずと言うので我慢する事にした。

 こうしている間にも勇者チームは順調に迷路を抜けてきている、刻一刻と俺の破滅の時間が近づいて来ている、それでもこれだけの余裕が有る俺はある意味凄い大物ではなかろうか? まあ、2人に言わせれば唯のスケベかも知れないが。


「あっ! マスター勇者チームの解析出ました。勇者が推定2千万ポイント、他の4人は平均2百万ポイントです!」


「良し! 良くやったコア子。俺はこの時を待っていたのだ」


 勇者の強さの予測がついた様だ、勇者の強さはバルキリーと同等、つまり俺とスケルトンが勝てる相手ではない事が分かった。これは重要な事だ、つまり正攻法は通用しない、かと言って魔法の使えない2人も駄目、勇者の魔法を使え無い様に出来れば互角に戦えるが、そもそもそんな魔法は俺には使えない、というか俺もスケルトンも魔法が使えない・・・・・・!?


「・・・・・・ハッ!!・・・・・・」


「どうしました? マスター」

「どうしたのだ、ビックリした顔をして?」


「いや~、俺もスケルトンも魔法使えなかったわ! 勇者のチート能力とか俺には関係無いわ」


「そりゃあそうでしょうね、マスターは魔法使わないから」

「当たり前だろ、私達が弱体化したから困っているのだ」


 今まで悩んでいたのは最大戦力の2人が使えなくなったから悩んでいたのだ、だが俺とスケルトンには関係無い話だった。2人に頼らなければ良いのだ、つまり俺本来の戦いをすれば良いって事だ。地下に篭ってスケルトン達と戦争ごっ・・・・・・ゴホン、戦闘訓練をしてきた事が生きるのだ。ようやく俺達の時代が来たのだ。


「コア! クレイモア頂戴」


「クレイモア・・・・・・召喚出来ません」


「それじゃ、PE-4かC-4。起爆装置付きで」


「PE-4かC-4・・・・・・すいません両方駄目みたいです。マスター」


「チッ! 使えね~な。仕方ね~自分で造るか」


「何なのだ? そのピーヨンとかシーフォーとか言う奴は?」


「唯のプラスチック爆弾だ、固形燃料にもなるがな」


 俺は本来の戦い方をする事にした、ダンジョンの事や魔法なんて分からないのだ、俺が知ってるのは戦争の仕方なのだ。要は相手をぬっ殺せば良いのだ、これはすなわち戦争って事だな。そしてクレイモアが手に入らなければ自分で造れば良いのだ、貧乏人は買えなければ自分で造るのが普通だからな。


「スケルトン部隊集合! 俺の手伝いをするのだ、今から忙しくなるぞ~!!!」


パフパフパフ!ドンドンドンドン!


 俄然やる気を出した俺とスケルトン達、台所に有ったプロパンガスや小麦粉、大工道具を持って上の地下10階層に向かうことにする、これから勇者を叩き潰す道具を造るのだ。


「コア、地下6階と地下7階も迷路にして時間を稼げ、空間にはついでに毒ガスも撒いておけ、今から俺は対勇者用の罠を自作する!」


「はい! マスターお気をつけて!」


「ケッケッケッケ! 見てろよクソ勇者、汚い戦い方って奴を見せてやる」


「おいおい、凄い悪い顔をしてるぞマスター、人間達にはその顔を見せない方が良いぞ」


「けっけっけ、何を言う俺様は正義の大賢者だぞ。俺がすることは全て正義なのだ」


 こうしてスケルトン達に大量の道具や物資を持たせて俺は罠を仕掛けに地下9階層へと向かっていった、今から俺は魔法ではなく現代知識で戦うのだ。


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