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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
25/45

第25話 ダンジョンマスター現実逃避する

 前回も活躍出来なかった俺は又もや現実逃避を始めた。貴族軍をダンジョン内で打ち破り住民の被害もこちらの被害も無かったので結果的には大成功なのだが、理屈だけでは無い何かが心の中でモヤモヤするのだ。


「ちくしょう~・・・・・・」


「何泣きながら作ってるんですか?」


「クラブサンド」


「何ですかそれ?」


「蟹とキュウリをマヨネーズで和えた奴をパンに挟んだサンドイッチ」


「美味しいんですか?」


「俺の大好物」


 貴族軍を撃破したのでダンジョンポイントは520万ポイント入った、大儲けしたので今は料理をして現実逃避中なのだ。イライラしているときは何かを食べるに限る、腹一杯になると何でもどうでも良くなって冷静になれるのだ。後は風呂にでも入って気分転換すればやる気が出てくる・・・・・・かもしれない。


「やる気が無くても腹は減るもんだな~、仕方ないよな人間だもの・・・・・・字余り」


「何黄昏てるんですか? もうチョットやる気を出して下さい。マスター」


「ふっ・・・・・・、コーヒー飲むか? インスタントでは無い本物」


 俺は傷ついていた、やっと活躍出来るかと思っていたのに出来なかったから、それもただ単に活躍出来なかっただけならここまで落ち込んだりしなかった。俺が落ち込んでいるのは努力が報われなかった為なのだ。バル子やコアはスケルトンを馬鹿にするが、俺はポイントを使わずにダンジョンを防衛するために低予算で苦労しながらスケルトンを強くしていたのだ、スケルトンを選んだのだってアイツ等は飯を食わないから食費が浮く為なのだ、そこまで涙ぐましい節約をして頑張って来たのが全て無駄になったから落ち込んでいるのだな。

 だがそれも終わりだ、俺は節約を辞めたのだ。今日から俺は食いたい物を食べて、飲みたいものを飲んでやるのだ、インスタントより豆から入れたコーヒーの方が美味しいのは分かってるのだが、節約のためにインスタントコーヒーで我慢していたのだ。ついでに高い食物も遠慮して易いレトルトカレーやハンバーガーで我慢してきたのだ、本来俺は美食家だったのだ、安いファミレスよりも高くて静かなレストランの方が好きなのだ。人間の我慢や無理などそうは続くものでは無いのだな、ここに来て完全に欝モードに入ってしまった、本人に言わせれば<仕方ないじゃないか人間だもの>って奴だ。


 そう言えば貴族軍を殲滅したポイントのせいか俺のレベルが11に上がっていた、地下にもう一つ階層を造れる様になったみたいだから趣味の階層を造ろうと思う。ポイントを貯めていてもどうせコアが勝手に使ってしまうのだ、使われる前に使わなくては損だ。そこに俺の拠点を造って引き篭ってやるのだ、防衛は全て2人に任せれば良いだろう。


「マスター、上に行かないんですか?」


「上がらない、メンドクサイ。すべてお前に任せるぞ、コアの好きにしろ」


 やる気がすっかり無くなった俺は破滅モード中だ、何もかも面倒なので自爆でもしたい所なのだ、ダンジョンなんて知らないし、世界なんて爆発すれば良いのだ。


 そして毎日地下11階層でスケルトン達と戦争ごっこをして遊んでいた。地下2階層と地下3階層は貴族軍を破った事により住民が更に増えていってる様だった。毎日入るポイントが増えていってるのだ、今では一日当たり80万ポイント入って来るらしいので住人が800人位に成ってる様だ。もはや村から町になった様だな。


「よ~しお前ら、今日は弓矢で遊ぶぞ。成績上位3名にはメダルを授与するぞ~」


 パチパチ!パフ~!パフ~!ドン!ドン!ドン!


 スケルトン軍団も大層賑やかになってきた、彼らは喋らないから面白くない。そこで俺は彼らに音が出る道具を持たせたのだ、握るとパフパフ凄い大きな音がでるヤツとか太鼓とかカスタネットとかだ、今では彼らは物凄く喧しいアンデットの集団になっていた。


 そして何をしているのかと言えば今日は中距離射撃大会をしているのだ、50メートル先の30センチ程の的に弓を射って得点を争う遊びなのだ。他に剣術大会や格闘大会、バレーボールに野球等何でもやって遊んでいるのだ。


「ワハハハ! どうだ俺様の腕前は」


 パフ~!パフ~!ドンドンドン!


 実は俺は大学の時にアーチェリー部だった事が有るので弓は上手いのだ。スケルトン共を蹴散らして見事優勝してスケルトンの尊敬を勝ち取っている所だ、やはりリーダーは優れた所が無くてはな、何をやっても駄目だと部下が付いてこないからな。


 スケルトン達と地下で遊んでいるのは楽しかった、彼らは喋れないけど良い奴なのだ、文句も言わないし人を騙したりもしないのだ。ああ、分かってるこれが現実逃避だって事は、俺はダンジョンマスターだからダンジョンの強化をするのが仕事だって事もな、でもな、どの位強化すれば良いんだ? いや言い換えるならどこまで強化すれば俺の仕事は終わるのだ? 終わりの無い仕事程疲れる事は無いのだ、年中緊張して休まず働くとメンタルも体も壊れてしまうのだな、急に鼻血が出たり胃が痛くなったりする体の不調や全てがどうでも良くなる精神の疲弊とかな。


「マスター、そろそろ働いて下さいよ」

「いい加減機嫌を直したらどうだ、みっとも無いぞ」


「うるせ~! お前ら2人で敵を殲滅すれば良いだろ、何の問題も無いハズだ」


「人間や獣人が増えて色々と苦情が上がって来てますが、いかがいたしましょう?」


「知るか! 文句が有る奴は追い出せば良いだろ、ポイントなんてどうでも良いんだよ」


「重症だな、マスター。やる気ゼロどころかマイナスだぞ」

「参りましたね、私達は人間の事等分かりませんからね、彼らの不満なんて理解出来ませんし・・・・・・・」


「世の中なんて皆無くなれば良いんだ! 全て爆発しろ!」


 ダンジョンマスターは最深部で孤立して遊んでいるうちに破滅願望まで出て来る様になった。元々長い物に巻かれたり、事なかれ主義だったりしていたら女神に逆らう事も無く、ここでダンジョンマスター等していないのでこれは当然の結果とも言えた。


「おいどうするコア子、凄い重症だぞ。パンツを見せても無反応だ」

「そうですわね、胸チラしたのに無視されました。あれは完全に切れてますね、本当に世界を爆破する気なのかも知れません」


「世界を爆破って・・・・・・そんな事出来る訳ないだろう」

「マスターって妙に賢い所が有るから油断出来ません、何するか分からないから怖いのです」


 こうしてダンジョンマスターは益々最深部で色々な物をこじらせて言った。ダンジョンマスターが信じるのはスケルトン軍団だけなのだ、バルキリーもコアも信用していなかった。



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