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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
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第24話 貴族軍対ダンジョン

 ダンジョン最下層地下10階、そこで俺はスケルトン軍団を集めて訓示を行う。現在のスケルトンは中隊規模まで育ってきたのだ、俺の涙ぐましい努力とスケルトンとスライムの根性によって成り立つ部隊だ。

 現有部隊は剣と盾を装備した突撃小隊、槍と盾を装備したファランクス小隊、そして弓を装備した中距離攻撃小隊なのだ。そして3つの小隊を合わせて中隊を造っている。各小隊は20のスケルトンmarkⅡから成り立っていて小隊長はスケルトンmarkⅢがやっている、そして中隊長はデスナイトなのだ。


 そして全てのスケルトン達が整列している前で戦闘前の訓示を俺が行っているのだ。


「諸君! やっと我々にも日の目を見る時がやって来た、今までの辛く苦しい訓練も全てこの日の為なのだ!我がダンジョンに入り込む悪の軍団を蹴散らして我らの正義を示すのだ!」


 パチパチパチパチピシ


 スケルトンが俺の演説に拍手を送ってくれている、スケルトンは結構気配りが出来る様になって来たのだ。やはり魚だな、スライムに魚を食わせたので賢くなったのだ。


「中隊~前ェ~~~~~~~~進め!」


 ザッザッザッザッザッ


 俺の無敵の中隊が綺麗な列を作って行進して行く、貴族軍を迎え撃つ為に地下2階層へと移動するのだ。そして俺の頭の中ではパンツアーリートが再生されていた。スケルトンの中隊は俺の中では無敵の戦車軍団が行進している様に脳内変換されていた、それ故にマスターは格好良い軍団だと思っていたのだ。だが冷静に見てみればスケルトンはアンデット、人間達から忌み嫌われる軍団だった。


「あんな雑魚に任せるのか? 私が出れば一撃だぞ、人間如き」


「そんな事言うなよ、俺達だって頑張ってるんだぞ。大体何でもお前独りでやってたら他の連中が育たないじゃないか」


 確かにバルキリーは強い、スケルトン中隊が全員で掛かっても3分で全滅するだろう、だがそれも当然なのだ何せ元値が違うのだ。スケルトンもスライムも最低価格の魔物だが、コツコツとここまで強くしてきたのだから愛着がある、今まで一緒に戦った仲間なのだ、いきなり登場して強いってのはズルいと思うのだ。

 考えてみて欲しい、第2次大戦の時に現代兵器が有ったらどうなるかを、勿論第2次大戦時の兵器が貴族軍でバルキリーが現代兵器だ。

 例えば昔の飛行機でも、戦艦でも何でも良いから攻めて来たとする、そうした場合レーダーの性能がけた違いに高いので先に発見されて、相手が気が付かないう内に攻撃されて終わってしまうのだ。早い話が戦闘状態に入る前にタダの的になって終わりなのだ。これではお話に成らないのだな、愛とか努力とか根性とかが入り込む隙がないから。


「兎に角今回は俺とスケルトンに任せてもらおう。バル子は俺の護衛だけをする様に」


「まあ良いけど、負けないでよマスター」


「絶対に負けん! 何故なら俺はダンジョンの中でしか戦わないからだ」


 ダンジョンは動けないのが最大の弱点なんだが、その弱点を除けば後は有利な事ばかりなのだ。なにせ向こうはこっちに攻めてこなくてはならない、そしてダンジョンマスターに奇襲等は出来ない、そして我々はダンジョンの中を自由に移動出来るし罠や迷路も使い放題なのだ、これで負ける訳はない。


「マスター、トレントからの連絡です。もう直ぐ敵がダンジョン入り口に到達するそうです」


「おう、トレント達には動かない様に言っておけ、戦わない様にな!」


「了解、偵察だけをする様に指示を出します」


 ダンジョンの入り口付近には偵察用にトレントを何体か出している、彼らは強くはないが、じっとしていると木にしか見えないので森の中で偵察するには便利なのだ、動くと魔物だという事がバレるので戦闘には加わらないで偵察だけをしてもらう、事前に情報を集めるのは戦いの基本なのだ。どうだい、ちゃんと事前の準備もしているのだ。


「相手の数は分かるか?」


「トレントの視覚を借りて見ましたが、300人程度の数だと思います。大した数ではないですね」


「十分多いな、スケルトンが正面から勝てるのは100人位だと思う、上手く相手を分断しなくてはならんな」


 普通の戦争は広い場所で戦う、平原で戦ったり、砦に籠って籠城戦をしたり色々だ。兵員の数の差は主に戦力の差になって数が多い方が有利に成って強いのは常識だ。だがここでは違う、なぜならここがダンジョンだからだ、数が幾ら多くても幅が10mしかない通路で戦えるのは精々列の先頭の10人、幾ら数が居ても無駄なのだ、そして騎兵達、彼らも広い場所が有れば役に立つのだが、狭い部屋では馬が邪魔になるだけなのだ。つまり俺達は相手が不利になる場所でしか戦う気が無い、相手の有利になる様な環境では戦わないのだ。


「マスター、少々お待ち下さい。敵の正確な人数と編成を確認して参ります」


「うむ、頼んだぞコア子」


 コア子が列から離れて偵察に向かって行った。元々ダンジョンコアなのでダンジョン内に入った敵の種類や強さを察知する能力を持っている、それにフルチューンしたホルムンクスの能力を使えば危険も無く偵察出来るだろう。


「で? どういった作戦で戦うのだ」


「敵をダンジョンの内部に引き込みながら撃破だな、長い時間ダンジョンに居て貰った方がポイントが入るからお得なんだよ」


「成る程、無理をせずにじらしながら後退する戦い方か、落とし穴や罠を使えば出来そうだな」


「スケルトンは睡眠も疲れも無いから多分出来る、負けそうになったらスケルトンを大量召喚すれば良いだけだし、バル子もいるしな」


「まあ、私が出れば3分で・・・・・・!? 上で大規模魔法の反応が有るぞ・・・・・・」


「何!」


「コアが戦ってる様だ、急ごう!]


「スケルトン部隊前に! 戦闘用意」


 戦闘がいきなり始まった様なので大急ぎで上へと走ってゆく、コア子が簡単にやられたりしないとは思うが何が起こるか分からないのが戦場なのだ。それに我々は住人達を守らなければならない。


「お~ホッホッホ~!! 正義の美人メイドに勝てると思ってるのかしら」


「うぎゃ~!」

「何だあの化物は!」

「何だあの魔力、ありえないだろ」


「あ~っはっは~! 人族のみなさ~ん、正義の美人メイドのコア子が皆さんを守りますよ~!」


 俺達が戦場に着いた時には既に決着が付いていた、貴族軍の残りはもう10~20人位しか立っていなかった。その生き残りも逃げ出そうとしていたがコア子の魔法攻撃で次々に倒されていった。


「おい!コア! 何やってんだよ!」


「あっ、マスター。私気を利かせて敵を殲滅しときました」


「てめ~、最初から狙ってやがったな」


「・・・・・・」


 俺の綿密な計画や作戦はあえなく無駄になった、一応敵は全てダンジョン内で倒したので儲かったのだが、スケルトンがまるで成長しなかったのが痛かった。コア子は最初から目立って住民に自分の石像を建てて貰おうとしていた様だ。なにせ戦いながら自分の名前を大声で言いながら魔法をブッぱなしていたのだからまる分かりだった。


「アーサー、頼みがあるんだ」


「なんでしょう? 賢者様」


「金は払うからコア子の石像建ててくれないか、あいつ石像が建つまで無茶するからな」


「分りました、急いで石像を立てさせてもらいます」


「済まんな、そのかわり金も払うし、この間の貴族軍の持っていた食料とかやるからな」


 何時もの様に俺の立てた計画は開始する前に崩れ去ってしまった、前回はバル子で今回はコア子だ。もう俺やスケルトンは居なくても良い様な気がする、2人でダンジョンを守れば良いと思う、俺とスケルトンは一番奥の邪魔に成らない所で戦争ごっこでもする事にしようかと本気で考えていた。


 




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