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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
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第23話 腹黒メイドのコアちゃん

「領民を返してもらおう」


「嫌です」


「賢者とやら、我々領主貴族に逆らう気か? 覚悟は出来ているのであろうな!」


「モチのロンです!」


 獣人や人間をダンジョンに受け入れていたら当然の様に領主貴族が文句を言って来た。まあ当然だな、貴族は自分の領地の住民が居なくなったら寄生先が無くなって存在する事が出来なくなってしまうのだ。反対に住民は貴族が居なくなっても特に困ることは無いわけだ、まとめ役が欲しければ自分達で決めれば良いし、外敵が有るなら皆で金を出し合って戦える人間を雇えば良いだけなのだ。つまり貴族自体には存在価値や意義がある訳では無いのだ。


 そして俺の目の前には顔を真っ赤にして怒っている貴族の使者とその護衛が2名。俺は強気で話を進めているのだがちゃんと理由があるのだ、先ず相手の護衛が推定ポイント2万と3万である事が一つ、俺の護衛のバルキリーが2千万ポイントだからバルキリーが本気を出せば貴族の護衛等デコピン1発で頭が吹き飛ぶのだな、つまりこっちの方が遥かに強い。そしてもう一つは始めからこっちは貴族に喧嘩を売る気満々なのだ、交渉等する気は全く無いのだ、最もそこの所は向こうも同じ様なのだが。


 傍から見ると貴族の護衛は2人共2m近い巨体で物凄く強そうだ、それに対して俺の護衛は180センチと女性にしては背が高いがグラビアアイドル的な美人さんとメイド服を着た160センチ程の胸を強調したフリフリの服を着た美女なのだ、相手が俺達を侮るのも無理は無かった。


「貴様~、舐めるのも程々にしておけよ。この場で切らないのは我々が使者だからだぞ!」


「ふふん、虫けら風情が偉そうに」


「何だと女!」


 人間相手に喧嘩を売らせたらバルキリーは最高なのだ、なにせ人間を完全に見下しているのだから、彼女から見れば人間等ゴミに等しい。オマケに物凄い美人さんで素晴らしい体をしているので毒舌が様になるのだな。


「まあまあ落ち着いて下さいな、飲み物でもいかがでしょう。お口に合わないかも知れませんが、コー○と言う、ここでしか飲めない飲み物ですのよ」

 

 そしてバルキリーよりタチが悪いのがこいつだ、メイドの格好をしたダンジョンコアのコア子。こいつの場合は人間を心底嫌っているのだ、見た目はバルキリー同様超絶美人さんだが人間の天敵なのだ。


「ブフォ~!!! 何だこれは~!!」


「おやおや、野蛮人にはコー○は無理でしたか?」

「やれやれコー○も飲めないとは、見下げ果てた虫けらだな、まったく」


「こうやって飲むのですわよ。 ゴキュゴキュ・・・・・・グエェ~プ!」


 護衛の美人さん2人が貴族の使者を煽りまくっている。コー○は始めて飲む人間にはキツイと思うのだが飲ませて笑い、自分で飲んで盛大なゲップをしてみせた。


「な・な・な・・・・・・」


 最早言葉にならないほど怒り狂っているようだ、真っ赤な顔で額に青筋を立てた貴族の使者は怒りでブルブル震えていた。そこに護衛の者が限界に達した様で、メイド姿のコア子に斬りかかった。盛大なゲップに対してキレたのだろう、多分俺でも馬鹿にされたのが分かって殴りかかると思う。


「ふふん」


「なに~!」


 バキン!


 コア子は護衛の斬撃を親指と人差し指でつまんで止めた、そして相手の顔を見て心底馬鹿にした顔をして剣を指先でへし折ったのだ。2万ポイントの護衛と2千6百万ポイントのコア子とはこの位差があるのだ、千倍強いのは伊達では無い様だ。


「はああ~全く、これだから野蛮人は嫌いなのですわ。ヤレヤレですわ」

「・・・・・・」

「何をガン見している!」


 コア子がやれやれと言う風に両手を上に向けて体を揺らすと胸が左右に盛大に揺れるのだから仕方無い、特にコアはメイド服が際どいので谷間までバッチリ見えるのだ。


「オホン! 交渉は決裂の様だな、この場で首だけにして貴族軍に送っても良いが、俺は良い人だから生かして返してやろう、俺様に感謝するが良い」


「「「ぐぬ~!!!」」」


 こうして貴族の使者を煽るだけ煽って喧嘩を売った俺は使者を無傷で貴族軍に返してやった。さてこれからが忙しい、ダンジョンを戦闘体制に持っていかねば成らないのだ。


「コア! ダンジョンに警報を出せ! ダンジョンはこれよりデフコンⅢに入る」


「了解しました、只今の時刻を持ってダンジョンはデフェンスコントロール体制レベルⅢに入ります」


 ダンジョン全ての階層にけたたましい警報が鳴り響き、壁が赤く点灯を始めた。ダンジョンの全てのモンスターが戦闘配置に着く合図なのだ。


 ここでデフコンに付いて簡単に説明すると、デフコンとはこのダンジョンの警戒レベルの事で有る。


デフコンⅠ 平常状態 何時ものダンジョン、特に制限は無い。


デフコンⅡ 警戒状態 何者かの侵入や軽度の外的に備える体制。通常より警備が強化される。


デフコンⅢ 戦闘状態 中程度の外敵に対する状態、戦闘員は全て戦闘配置に着く状態


デフコンⅣ 強戦闘状態 脅威がダンジョンに迫っている状態 全戦闘員は持ち場を死守する


デフコンⅤ 全力戦闘状態 ダンジョン存続の危機的状態。全てのリミッターが解除され敵を殲滅する


 これがこのダンジョンの戦闘態勢である、危険とはいきなり襲ってくる、その場合に困らない様に事前に戦闘計画を作っていたのだ。まあ他にする事が無かったので色々な戦い方を妄想していただけだがな。


「賢者様! 何事ですか」


 ダンジョンに警報が鳴り響き内部の照明が赤くなったことで村長2人が俺の所へ血相を変えて走ってきた、彼等は大事なダンジョンの資産だから守らなければ成らない。


「今貴族の使者が来たのだ、飲み物を出して歓迎したのだが礼儀知らずでいきなりコア子に斬りかかって来たので交渉は決裂した。全くヤレヤレなのだ」


「使者が斬りかかってくるなど言語道断ですね、これだから貴族は強盗と変わらないのです」

「貴族と戦うのでしたら私たちも戦いますぞ! 微力ながら手伝います! 賢者様」


「お気持ちは嬉しいのですが此処は私コアにお任せ下さいませ、貴族など私が蹴散らして見せましょう!」


 人間も獣人も俺達と共に戦う意思を見せていたが、どうしても石像を建てて貰いたいコアが遠まわしに断っていた。まあ俺としても彼等は大切な資産だから傷ついてもらうと困るのだ、安全な所に隠れて居て欲しい。


「君達の気持ちだけ貰っておこう、正義の大賢者が悪の貴族軍を打ち破るのを見ているが良いぞ」


「オフ~! 流石は大賢者様カッコいいです!」

「凄いです賢者様! ワンワン!」


「では我は戦の準備が有るので村人達は全員家に篭って居るように! 外に出るなよ戦闘に巻き込まれたら死ぬぞ!」


「良し! お前らCICに移動するぞ、付いてこい!」


 やっと俺の活躍する場面がやって来た様だ、格好良い台詞を言いながら駆け出す俺、CICとは名ばかりのダンジョン最下層の俺の部屋へと急いで移動する。俺の走るのが余りにも遅いので途中でバル子に抱えられて連れて行かれたが気にしない、気にしたら負けた様な気になるから。

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