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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第2章 笑うダンジョンマスター編
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第20話 動き出す異世界

「マスター機嫌を直して下さい。むくれていてもポイントは帰ってきませんよ」


「お前が言うな!」


「は~、しかしすき焼きって美味しいですね~。ホルムンクスを造った甲斐が有りました」


 ダンジョンポイントを全部コアに使われた俺はブンむくれていた。2千万ポイント貯めるのは大変なのだ、最近では冒険者の持ってくる魔物も明らかに減っている、多分乱獲したせいだろう。つまりこれからも魔物によるポイントの増加は見込めないのだ、だから必死にポイントを貯めていたのだ。


「マスター、後で一緒にお風呂に入りましょう。背中を流してあげますよ」


「うむ、風呂上がりに食うアイスクリームが美味いのだ」


「あっ、私も入ります」


「うむ、好きにしたまえバル子君」


 どんなに怒っていても俺は賢者なのだ、一瞬で機嫌を治して部下に接するのだ。この切り替えの早さが俺が賢者と言われる所以なのではないだろうか。部下とのコミニュケーションは非常に大事だからな。特に裸同士の付き合いってものは親近感を生むのだ、お互いが相手を信頼している証拠だからな。うむ、やましい気持ちなど一片も持たない俺だからこそ言える台詞だな、うん。


「マスター、ちょっとは隠して下さい! なんで堂々としてるんですか」


「何故恥ずかしがったり、隠したりしなければ成らないのだ。俺は赤ん坊の頃から大衆浴場に入って居るからこれが普通なのだ、俺は温泉県出身なのだ」


全裸で洗い場に立つ俺は仁王立ちだ、風呂で裸になるのは日本の誇る文化なのだ、何を恥じる必要があるだろうか、いいや無い! 俺は正しいのだ。


「成程、それが正しい作法なのですねマスター。勉強になります」


 俺の堂々とした姿を見たバル子も仁王立ちで立って居た、タオルは肩に掛けている。素直に俺の真似をしているようだ、鍛え上げられた姿は美しかった。


「よし、では温泉のプロである俺が風呂の入り方を教えてしんぜよう。ちゃんと覚えるのだぞ、いいか先ず・・・・・・」


 ここで俺はバル子とコア子に風呂の入り方を一から教えることにした。最近の温泉に来るニワカ共は大衆浴場で鍛えられていないせいで大衆浴場に入る作法をまるで知らない奴が多いのだ。大衆浴場にはちゃんとルールと作法ってものが有る、ルールを守って皆が楽しく利用しなくてはならないのだ。


「いいか、先ずは体にかけ湯をして・・・・・・体の上の方から洗うのが基本だ、何故なら汚れは重力の影響で下に流れるからだ。そして湯船につかり体の皮膚の老廃物をお湯で温めてから体を洗うのだ」


「「成程、風呂に入る時でも理屈ってものが有るんですね」」


「いきなり風呂に飛び込むと風呂のお湯が汚くなるのだ、汚いお湯に浸かりたくないだろう?」


「ごもっともです」


 俺は丹念に2人の体を洗いながら作法を教えてやった、これは俺にとっても、とても有意義な時間であった。コアの創り出したホルムンクスは身長160センチで黒髪、黒い瞳で90・58・88のナイスボディだったのだ。

 まあポイントは無くなったが何とか成るだろう、いや、何とか成って欲しい。美女2人の部下が出来たのだから長生きしたいのだ。毎日風呂に一緒に入れるように出来るだけ長生きしてやるのだ。


 長生きしたいのは良いのだが、実際問題として具体的にはどうすれば良いのか? 幾ら俺がそうなって欲しいって思ってもなる訳ないので具体案が必要なのだ。そこでどうしても必要なのがダンジョンポイント、是さえ有れば戦力も食い物も手に入るので俺は安泰なのだ。


「う~ん、ポイントが欲しい! 切実に欲しい」


「そう言えば最近は冒険者が持ってくる魔物が減りましたね。今までの半分以下になってます、マスター」


「そうなんだよ、魔物を乱獲し過ぎてオークやゴブリンが居なくなってるらしいんだ。お陰でこの辺りは平和になった様だが俺達にとっては困った事態なんだよ」


「ふむ、では私がドラゴンでも狩って参りましょう。トカゲなら1匹でも1千万ポイントは下りますまい」


「ダンジョンの外で討伐しても駄目なんだよな~、中で殺さないとポイントに成らないんだよ。レベルを上げるだけなら外で経験を積むのも有りなんだけどね」


「ふ~む、ダンジョンとは制約が多いのですね」


 ダンジョンマスターになって困ったのは、ダンジョンって制約が多すぎるのだ、先ず移動出来ないので全てが受け身なのだ、相手が来るのに合わせなくてはいけない。そして相手が来なければ何も始まらない、来たら来たで対応しなくては成らないのだ。自分のペースで活動できないのはハッキリ言って物凄いストレスになるのだ。


「仕方ないな、アーサー達に相談しに行って来る」


 俺達3人で考えても良い考えが浮かばないので、アーサーや冒険者に意見を聞きに行く事にする。でもここがダンジョンだって事は内緒なのだ、だから話の持って行き方が難しい。


「よ~!アーサー君、儲かってるかね?」


「あっ、賢者様。ボチボチです」


「最近冒険者が減ってるけど大丈夫なのか?」


「冒険者は減ってるのですが、ここら辺は魔物が居なくなってお陰で一般人が安心して買い物に来るようになりまして、お陰様で売り上げは上がっております」


「ふ~ん、ここら辺が安全地帯になった訳か」


「ここの周りは冒険者もウジャウジャ居ますし、魔物は直ぐに討伐されますかこの国の人気観光スポットになってます、お土産の香辛料やトイレットペーパーも大人気です」


「そう言えば金だけは貯まったな・・・・・・」


 今まではダンジョンポイントにしか興味が無かったから気にしていなかったが、毎月アーサーから渡される上納金は結構な額が溜まっていた。しかし俺にとっては金が有っても意味は無いのだ、普通のダンジョンなら宝箱に金でも詰めて冒険者の餌にするのだが、うちは冒険者を獲物にしてないから金は使い道が無かったのだ。


「あっ、そう言えば賢者様。嫌な噂が立ってます」


「どんな噂だ? ここの関係有るのか」


「ここにも関係有ると思います、魔族が戦争を始めたって噂です。何でも魔王とやらが人間の国に攻めて来ているらしいです」


「そりゃあ大変だな、早く終われば良いけどな。大規模戦争は長引くと悲惨だぞ」


 魔王と聞いて思い出した、俺がここに送られたのは勇者になるのを拒否したからだ、魔王が人間と戦うのは既定路線だったのだろう、そしてそのままでは人間が負けるのも既定路線だ。人間が負けそうだからチート能力持ちの勇者を4人召喚したはずだ、だが俺は勇者に成る事を拒否した、そして残りの勇者になった3人はボンクラだ、チート能力を持っていても使いこなせずに負けるだろう。

 つまり俺は単独で魔王と戦わなくては成らないって訳だな、このダンジョンを無視してくれれば魔王と共存出来るのだが、女神に送り込まれた俺を生かしておいてくれるほど魔王は甘く無いだろう、少なくとも俺が魔王なら危険な異世界人は排除する。


「なんという無理ゲー! ルナティックモードっぽいぜ」


 俺の好きなイージーモードでは無く、強制的にルナティックモードをやらされる事になった様だ。




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