第15話 ダンジョン発展する
気前よくカレーと魔物を交換していたら俺のダンジョンに冒険者が大量にやって来る様になった、普通のダンジョンには冒険者が魔物を狩りに来るのだが、俺のダンジョンには冒険者が魔物を連れてくるのだ。何故こうなったのか良くわからないが俺も冒険者も儲かってるので良い事だった。
「賢者様、何だかここも賑やかになってきましたね」
「よおアーサー、来てたのか。来いよ、お茶でもだすわ」
「いつもすいませんね、美味しいもの頂いちゃって」
冒険者相手に商売をしていたら、久しぶりにアーサー達が顔を出してきた。このダンジョンが儲かりだしたのは元はと言えばアーサーのお陰だったので俺はアーサーを気に入っていたのだ。人間関係って不思議なもので特定の人間のお陰で人生が豊かになったり、不幸になったりするのだ。若い頃はこれに気がつかないものだから地雷人間に引っかかって自爆して不幸になるのだな。まあ、慣れてくると地雷人間は何となく分かる様に成るけどな。
「儲かってるか?」
「へへへ、お陰さまで。そこで賢者様にお願いが有るのですが・・・・・・」
「言ってみろ、簡単な事なら良いぞ」
「ここに食事処を作りたいいんです、冒険者が沢山来るから儲かると思うんですけど、いかかでしょう?」
「良いんじゃないか、ついでに宿屋も造るか? アーサーは宿屋も食い物屋も詳しいんだろ」
「ふっふっふ、お任せ下さい! 俺は商売の才能だけは有るッス。風呂と美味い食物、快適なベットが有れば客は来るっす」
俺は金には興味なかったが、冒険者達が泊まってくれるとポイントが入るので宿屋には大賛成だった。だがここは魔物をカレーに変えたら他にする事が無いのでわざわざ宿泊する冒険者がいるかどうかが問題だった。
「でもさ、わざわざ此処に泊まりに来る冒険者なんて居るのか?」
「簡単です、カレーの取引を昼からに限定します。そうすれば帰りが夜に成るのでここに泊まる人間が増えます、そして宿泊費は安くします、ただし食物は高くします」
「色々考えてるんだな、意外と商売上手なのかな。まあ良いややってみろ、俺は金に興味ないから良くわからないぞ」
アーサーが商売したい様なので地下1階層に個室替わりの小部屋をどっさり造ってやった。ついでに小部屋の前にテーブルと椅子を地面を盛り上げるダンジョン機能を使いタダで造り上げる、殆どポイントを使わずに100人くらいが泊まれて同時に飯が食える場所の出来上がりだ。そしてそれを見ていたアーサーや冒険者達は賢者の魔法の凄さに拍手を送っていた。
これで地下1回層は宿屋兼食堂、更に新たに人気商品となった塩や砂糖、そしてトイレットペーパー等などの日用品売り場となった。それを目当てで又更に冒険者や商人、そして普通の人間までもが遊びにくるダンジョンと化してしまった。
ハッキリ言えば、地下1階は人間に開放した交易広場になってしまった。とても快適で開放感の有る、最先端のショッピングセンターなのだ。
「お~いコア、何だか凄く儲かってるな」
「凄いですよマスター、ウハウハです! ウハウハ。1日100万ポイント以上儲かってます、大規模ダンジョン並の収入ですよ」
「それじゃ、また地下1階層の改造でもするか~。お客さんに快適に過ごしてもらわないとな、そして気持ちよく金を使ってもらうのだ」
今の俺はマスターランク10、冒険者達が持ってくる魔物のお陰で簡単にランクが上がって行っている、勿論配下のスケルトン達も順調に育っていっているのだ。地下1階は俺の成長に合わせて今では2キロ四方位の草原になった、天井には空機能をつけたので、日中は明るく夜には暗くなるという外と変わらない空間になった。その上ダンジョンには雨も風も無く虫や外敵も居ないと言う、人間にとっては最高の環境になっていた。
だが人間にとって最高の環境なのは地下1階層だけ、その下の地下2階層からは侵入者絶対殺す空間なのだ。
「マスター、ポイントが沢山有るのに魔物を召喚しないんですか?」
「しない。勿体無いから」
俺には目的が有るのだ、絶対にサキュバスを召喚するのだ。早く綺麗なネーチャンが欲しいのだ、その為には無駄なポイントは絶対に使わないと決めたのだよ。早い話、俺は嫁が欲しいのだ。
「所で今どの位貯まった?」
「現在867万ポイントです、溜めすぎですよ。防衛用の魔物が必要では?」
「だって~、敵とか来ないし」
ダンジョンの敵と言えば冒険者、普通はそうなのだが。このダンジョンでは冒険者達がポイントを持って来てくれる味方なのだ、だから敵が全然居ないのだ。オマケに泊まって行ったりして更にポイントを貢いでくれるとても役に立つ人達だった。俺としても人間を殺さずに成長出来るので大変気に入っているのだ。
「お~いアーサー、手伝おうか?」
「いやいや、賢者様はゆっくりお休み下さい。商売は私たちに任せて下さい」
「そうか・・・・・・」
アーサーは優秀だった、お陰で俺はやることが無いのだ。だから又最下層で地味に暮らしていた。物資が足らない時は連絡してもらえれば地下1階層の倉庫に物資を送るだけなのだ。
「あっマスター、markⅢが進化しました」
「今度は何になったんだ? markⅣなのか?」
「今度はデスナイトになったみたいです。凄く強くなってます」
スケルトンmarkⅢの進化したデスナイトとやらを見にダンジョン地下2階層へと転移する、ダンジョンマスターは自分のダンジョン内なら転移が可能なのだ。
「ウッス! 君がデスナイトかな?」
「・・・・・・」
身長2mオーバー、鎧を纏いデッカイ剣と盾を装備した黒いスケルトンが頭を下げて挨拶している。良く見るとポヨポヨも体に張り付いて居る様だ、何時もの様に打撃を吸収して助けるのだろう。進化したけどデスナイトも喋れない様だ、挨拶をしているので言ってる事は分かるみたいなのだが。
「どの位強いんだ、デスナイトって?」
「markⅡがハイオーク級、markⅢがオーガ級ですからデスナイトは多分サイクロプス級だと思います。ポヨポヨが付いているので正確な強さは分かりません」
「ふ~ん、まあ実戦してないから分からないよな。カタログスペックだけじゃ無いもんな」
着々と俺の戦力は増強されていたのだが、一体俺は何と戦えば良いのか分からなかった。それに俺の戦力は元はスケルトンとスライムなので接近戦特化型なのだ、凄くバランスが悪いので、魔法が使える魔物が欲しかった。