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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第2章 笑うダンジョンマスター編
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第12話 ダンジョンマスター調子に乗る

「気がついたか、小僧」


「あっ・・・・・・ここは・・・・・・俺、魔物に襲われて・・・・・・」


 人間の小僧の目が覚めた様だ、怪我をしていたので薬草を体中に貼り付けてやったので怪我も治ってる様だった。ポーションを掛ければ直ぐに治るのだが、ポーションは1本1000ポイントもするので勿体無い、そこで1本10ポイントで草原に植えて増やしている薬草を5本程引き抜いて来て小僧の怪我をしている所に貼り付けたのだった。こういう細かい節約が貯金を生むのだよ、セコイ生き方をさせたら優秀なダンマスだったが、ゲームの新作ソフトを買ってるので思った様に貯まって無かったのは内緒だ。

 因みに地下2回層の草原の隅には薬草畑と毒草畑を造って暇な時に面倒を見ていた、ポイントに余裕が出来たら林檎の木や葡萄の木なんかも植えて見たいと思っている、目指せ自給自足なのだ。


「自分の名前は思い出せるか?」


「はっはい、名前はアーサーっす」


「そうか、俺はこの洞窟の主だ」


「あなたが俺を助けてくれたんですか?」


「そうだ、感謝しろ」


 この小僧から色々と情報を聞き出さなくてはならない、俺がダンジョンマスターと知られたら殺すしかなくなる。素直にこの小僧を返すと今度は仲間を連れてダンジョンの攻略に来るからだ。


「所で何をしに森に来たんだ?」


「俺の家、宿屋してるっす。料理に使う肉を狩りに森に来っすよ。そこで魔物に襲われて気がついたらここにいったッス」


「ほ~、中々親孝行な奴だな。立派だぞ」


「客が少なくて貧乏だから肉とか買えないッス、俺が頑張らないと妹達が売られてしまうッス」


 この小僧の家は街で宿屋をしているのだそうだ、だが経営が上手くいっていないらしい。宿屋の評判は料理で決まるので料理に使う肉を狩りに来たのだそうだ。そこで俺の遠征隊に捕まったらしい。そして今や宿屋は存続の危機なので、倒産すれば小僧の妹や家族は売られてバラバラになってしまうのだそうだ。


「良い肉が欲しかったら買えば良いのではないのか?」


「買う金が無いっす、それに買ったら料理の値段が高くなって売れなくなるっすよ」


「それもそうだな、商売って難しいものだな」


「所で主様は何で洞窟に中にいるっすか? 不便じゃ無いっすか?」


「俺か、俺が洞窟に居るのはな・・・・・・」


 それから俺の独演会が始まった、取り敢えず俺は異世界で賢者をやっていたのだが、邪神の罠に掛かってこの洞窟に封印されたっていう話をしたのだ。一体何でこんな設定にしてしまったのか後で悩んだが、多分久々に人間相手に喋れたのが嬉しくて舞い上がってたのかも知れない。


「スゲ~っす! 格好良いッス!」


「だろ? だから俺はハッキリ邪神に言ってやったんだよ【嫌だっ!】ってな」


「神に逆らうとはスゲーっす! 怖く無かったっすか?」


「そりゃあオメ~、俺だって怖かったさ、でもな、男には譲れない物が有るって事だぜ!」


 ビールを飲んでつまみの焼き鳥を2人で喰いながら俺は大風呂敷を広げていた。小僧のオーバーリアクションが楽しくてついつい調子に乗ってしまったのだ。そして気がつくと召喚して色々な食物と飲み物を出して2人で宴会をしていたのだ。異世界からの召喚は秘密にしようと思っていたのに30分くらいで秘密がばれてしまった、だがこの少年は俺が凄い賢者だから何でも出来るって思った様だった。


「賢者様! お願いがあります」


「何だ? いきなり」


 酒を飲んで自慢話をしていたら、いきなりアーサーが土下座していた。俺に頼みごとが有る様だ。


「俺の家を、妹を助けて下さい。俺に出来る事なら何でもします」


「どうして欲しいんだ?」


「賢者様の美味い食物を譲って下さい! これだけ美味い物を出したら絶対俺の宿屋は評判が良くなります」


「う~ん、どうするかな・・・・・・」


 心情的には助けてやりたい。家族離散とかは可哀想だ。俺は幸せな家族とは無縁だったが、普通の人間には多分大事なものなんだろうな~等と考えていた。でも俺が食物を出すと絶対話題に成るだろう、そこから俺がダンジョンマスターって事がバレる可能性が跳ね上がるのだ。


「まあ良いか、死ぬ前に良い事の一つ位しとくかな」


「助けてくれるんですか!」


「助かるかどうかは知らんが、やるだけやって見るか」


 それから俺は色々な安い食物を出してみた。色々試してみてこの世界の人間に受ける食物を知るためだ。


「賢者様! これ最高ですよ! 貴族の食物っす」


「ふ~ん、カレーが貴族の食物なのか? 確かに香辛料が入ってるから昔は高級品だったかも知れんな」


 適当にレトルト食品を出してみたら、アーサーがカレーに食いついたのだ。香辛料の入った食べ物は高級品で庶民には食えないのだそうだ。それに食パンも高評価だった、ふわふわのパンも珍しくて高級品なのだそうだ。


「そんじゃ、カレー持って帰るか? ただし、タダではやらんぞ」


「すいません賢者様、俺貧乏だから金が有りません」


「金なんか要らんぞ、生きたゴブリン1匹持ってきたらカレー1個と替えてやる。オークだったら3個な」


「マジですか、カレーなら1個で銀貨1枚、いや王都なら金貨1枚で売れますよ。ゴブリンなんかで良いんですか」


「うむ、構わんぞ」


 ゴブリン1匹で3000ポイント、オークなら1万ポイントに成るのだ、パン1斤100ポイントでカレーも1個100ポイントなので俺としては大儲けなのだ。

 そして俺は彼にカレーを3個とパン1斤持たせて返してやった、家族が心配してると悪いからな。


「本当に返して良かったんですか、殺した方が安全でしたよマスター」


「そうだな、ただ長生きするだけなら彼を殺した方が安全だったな。でもな、嫌な思いをしてまで生きたくないんだよ、どうせ死ぬなら後悔しないで笑いながら死ぬつもりなんだ」


「本当に笑いながら死ぬんですか?」


「いや、多分怒りながら死ぬと思う」


 こうしてこの日は終わった。人助けが吉と出るのか凶と出るのか? それは誰にも分からない事だったが、ダンジョンマスターはこの日良く眠れたという。



気がつけばポイントが3桁に乗ってますね、気を使ってもらってすいません。

ついでに、お土産の辛子蓮根も有難うございます(_ _)。早速焼肉と一緒にビールのつまみにさせて頂きます。

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