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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第2章 笑うダンジョンマスター編
11/45

11話 転機

 スケルトン達は優秀な狩人だった。遠征で1~2日毎に獲物を捕まえて帰って来る。ゴブリンだったりオークだったり、狼みたいな魔物だったり渡した紐でグルグル巻きに縛って大八車に乗せて帰って来るのだ。そして獲物をダンジョンに放り込むと再び狩りに出かけるのだ。流石はスケルトン不眠不休で働けるアンデットだな。


「何時も済まないね~ポヨポヨ」


「・・・・・・」


 毎日狩りに出かけて獲物を取って来てくれるポヨポヨに礼を言うと、ポヨポヨは手を上げて、気にするなって感じで手を振るのだ。そして俺はと言えば、地下2回層で草原に寝転がったり、地下3回層で風呂に入ったりゲームをしたり料理をしたりしてマッタリ暮らしていた。うん、ハッキリ言ってクズだな、ポヨポヨが人間だったら怒ってダンジョンを追い出されていただろうな。

 まあダンジョンに外敵が来たら戦うつもりなのだが最近では全く魔物が来ないから暇なのだ。どうやら本当に洞窟入口付近の魔物は殲滅してしまった様だ。


「お~い、コア。このダンジョンって何処に有るんだ?この世界の地図とか無いのか?」


「自分の位置はサッパリ分かりません、近くに街でも有れば良いんですけどね。そしたら人間がダンジョンにやって来て儲かりますよ」


「嫌だぞ、人間が来たら討伐されるに決まってるからな。そもそも地下3階しかない弱小ダンジョンだぞ、力押しされただけで滅んでしまうわ」


 俺のダンジョンは地下3階までしかない弱小ダンジョン、1階が少し成長して800m四方位、地下2階がそれの半分、そして地下3階は200m四方しかないのだ、つまり全部合わせてもダンジョンコアまでの距離は1.4キロ、のんびり歩いても30分も掛からないで着いてしまうのだ。そしてコアを守る魔物はスケルトンmarkⅢとmarkⅡが1体づつって言う情けなさだ。落とし穴だけはやたらと有るのだがそれを突破されるとほぼ俺は詰んでしまうのだ。


「やっぱり何か考えないと不味いよな~、俺が負けて死ぬ未来しか浮かばないぜ」


「そこを何とかするのがマスターの手腕ですよ」


「奇策なんかは戦力が均衡してる場合しか通じないぞコア、一番強いのは何時でも物量作戦、飽和攻撃って奴だ」


「そんなもんですか?」


「そんなもんだ。ロマンを求めると死ぬぞ」


 遠距離攻撃と飽和攻撃信者の俺は奇策は嫌いなのだ、チート能力でも有れば奇策で戦うのも趣味として良いだろうが、動けないダンジョンマスターとしては冒険等はしたくないのだ、ただダンジョンは動けないので戦うと圧倒的に不利なのだ、攻める側は何時でも好きな時に責められてダンジョンは防衛するだけしかできないのが辛い。どんなに強力な要塞でも戦艦でも飽和攻撃を受けると負けちゃうのだ。


「じゃあどうするんですか?」


「人の来ない所に逃げたいな~、海の中の孤島とかなら最高なんだがな~、人間が大量に来れないからな。最悪なのは近くに人間の街が有ったりしたら大量の人間が来ちゃうよな。ダンジョンがバレないようにしなくてはいけないな」


「逃げ回るダンジョンなんて聞いた事が有りませんよ」


「移動要塞型ダンジョンとか良いと思うんだがな」


 今日もダンジョンの一番奥で遠征隊が魔物を捕まえて帰ってくるのを待っていた。ダンジョンの改装もポイントがかかるし俺は本当にする事が無いのだ、暇で暇で堪らない生活だった。

 暇で退屈なのだがダンジョンの強化をしなくては自分が困る、しかし強化するためにはポイントが必要。そしてポイントはスケルトン部隊が捕まえて来る魔物次第なのだ、毎日胃が痛くなる程悩んだが結局ポイント無しで強化出来るのは自分しか居ないので、スケルトンmarkⅡと剣の稽古等をして暮らしていたが、別段自分が強くなったはしなかった、多少体が良く動く様になった程度だ。


「マスター大変です、緊急事態です!」


「今度はなんだ?」


「人間です! 人間!」


「不味いな」


 ダンジョンに人間が入って来た様だ、俺が一番警戒しているのが人間なのだ、この世の中で一番恐ろしいのが人間だと俺は思っているのだ。


「これか?」


「これです」


 スケルトン遠征隊が持ち帰って来た魔物達の中に人間が混ざっていた。縄でグルグル巻きにされた男の子だった。こん棒で殴られているのか頭から血を流してぐったりしている。


「どうするかね」


「殺さないのですか? 人間は良いポイントになりますよ」


 ダンジョンマスターとしては人間を見つけたら即殲滅するのが正しい作法だ、それにこのダンジョンの事を他の人間に知られない為にも殺してしまうのが正解だと思う。でも俺は無抵抗の人間を殺す様な事は出来そうに無い、俺は結構な甘ちゃんなのだ。


「子供を殺すのは無理、理由も無く虐殺するのも無理だぞ。俺は良い人間だからな」


「良いかどうかはさておいて、マスターが出来ないなら私がやりましょうか?」


「やめてくれ、自己嫌悪に陥るから、これ以上俺がひねくれると不味い事になる」


「まあ良いでしょう、でも殺した方が良いと思いますよ」


「俺もそう思う」


 結局俺はその男の子、とは言っても15歳位なのかな、粗末な服を着ているが割と体格は良い感じの子の治療をしてやった。そしてダンジョンの一番奥の部屋でマットレスに寝かせておいたのだ。久しぶりに見た人間だったので懐かしかったからなのか、それとも俺に良心みたいなものがまだ有ったのか、兎に角その男の子は助かったのだ。

ストックゼロから始める投稿生活11日目、そろそろ自転車を漕ぐのに疲れて来たような気が・・・・・・早く土日が来れば良いのに。

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