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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第1章 ダンジョンマスターボッチ編
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ダンジョンマスターになった様だ

 俺はダンジョンマスターに成ったらしい。自分の事なのに良く分からないのには理由が有る、俺のダンジョンはダンジョンに見えないのだ。

 何処かの森の中に有る洞窟、幅5メートル奥行10メートル。これがダンジョンの全てだ、一番奥の壁に水晶玉の様な物が有る、これがダンジョンコアと呼ばれる物なのだそうだ。ダンジョンコアが自分で言っていたから多分本当なのだろう。そしてダンジョン内で動いているのは俺だけ、スライムすらいないダンジョンだ、どう見ても唯の洞窟だ。


「マスター、ご指示をお願いします」


「指示だと?一体何が出来るのだ」


「現在のダンジョンレベルですと、スライムが1匹召喚出来ます」


「スライム1匹で何が出来る?」


「ダンジョン内のゴミ掃除位でしょうか?昆虫位なら捕食出来ると思いますが」


 俺はダンジョンマスターなのでダンジョンを運営しなくてはならない様だ、だがスライム1匹で一体どうすればダンジョンが運営出来ると言うのだ。ハッキリ言って不可能だと思う、幾ら俺が優秀でも無理だな。


「全く・・・・・・地味な嫌がらせをしやがる」



 何故こうなったったのか? それは俺が女神から見放されたからだ、まあ俺はあいつが女神だとは思っていないがな。こうなったのは昨日の事だ、俺が何時もの様にお気楽に会社から帰って来た所で異世界召喚が行われたらしい。そして俺と他に3人程異世界に召喚されたって訳だ。そして異世界召喚のお約束通りに俺達は魔王の討伐を命じられた訳だが、俺だけは断ったのだ。


「何故です? あなたは勇者となって異世界を救おうとは思わないのですか!」


「思いませんね」


「うわ~最低!」

「ゴミだな此奴!」

「怖いのかよ! クズ野郎」


 勇者になるのを断ったら他の3人にボロクソに言われたのだ。だが待って欲しい、俺は自分のしたくない事はしない主義なのだ。それに他人に頼られるのも嫌いなのだ、俺は他人に頼らずに生きてきたからな。


「勇者になればモテモテですよ? ハーレムだって作れるでしょう。それに魔王を討伐すれば名誉も地位も望みのままですよ」


「そんなものは要らない。俺は目立たずにそっと暮らしたいのだ」


「またまたカッコつけて」

「嘘つき野郎!」

「インポかよ!」


 本音を言っただけなのに又々3人から文句を言われる。俺はホワイト企業で楽ちんに働いてるから異世界なんぞで苦労などしたくないのだ。他の3人は引きニートらしく、勇者になってハーレムを作ってモテまくる未来を想像して興奮している様だった。

 でも俺は知っているのだ、ハーレムなどは地獄だし、地位や名誉や金が有れば色々な悪人達が寄って来て非常に面倒な人生に成る事を。それに勇者って奴は他人から貰った様な能力じゃダメだって思うのだ、立派な行いをして周りの人間から自然と勇者って言われるのが本物だと思うのだ。


「分かりました、あなたは勇者には成りたくないのですね。残念ですが仕方有りません、それではどんな生活を望みますか?」


「俺は人知れずひっそりと暮らしたい、俺の望みはそれだけだ」


「分かりました、そのようにいたしましょう」


「女神さま、あんな臆病者なんて要りませんよ! 俺が魔王を倒しますから」

「そうですよ、俺にチート能力を下さい」

「俺が居れば、魔王なんて楽勝ですよ!」


 3人が調子の良い事を言っていた、甘っちょろい現代日本ですら落ちこぼれた馬鹿どもが異世界で役に立つとは俺は思わないが、胡散臭い女神には何か勝算があるのだろう。まあ俺には関係無いので、黙っておくことにした。


「なんだてめえ! 見てるんじゃネーよ!」


 3人の中でもとりわけ頭の悪そうな奴が絡んできた、俺は自分からは喧嘩を売らないが売られた喧嘩は必ず買うのだ。まあハッキリ言えば武闘派なのだ。だがこいつらは喧嘩をした事が無いのか? 


「小僧! 喧嘩なら買ってやるぞ。死ぬ気で来い」


「へっ、お前3人に勝てるつもりかよ!」


「何人でも関係無い、掛かって来いよ」


 3人とも何だか青い顔をしている、男なんだから喧嘩などは日常茶飯事、拳で語るのが一番手っ取り早いのだ、少なくても俺の故郷はそうだ。そう言えば引きニートって言っていたから他人と話をするのも怖がる臆病な連中なのかも知れない。


「お、俺は空手してたんだぞ!」


「そうか、俺もだ。遠慮なく来い!」


「「「・・・・・・」」」


「俺の兄貴はヤクザだぞ!」


「それがどうした? どこの組だ? 知り合いの組長に話をしておこう」


「「「・・・・・・」」」


 どんどん3人組の顔色が悪くなっていく。はっきり言えば俺はかなりヤバイ人間なのだ、戦闘能力は一般人よりもかなり高いし道徳観念も無い。ホワイト企業で働けたのは資格が有ったからだ、旧帝出身の有資格者はヤバイ事をしなくても普通に生きて行けるのだ。


「それくらいにしときなさい、さあさあ。勇者達、異世界を救うのです!」


 そして女神が杖を振ると、俺達は光につつまれてた。そして気がつけば、俺は洞窟の中に居たって訳だ。俺は異世界だろうが何だろうが水と空気さえ有れば生きて行く自信があったが、このダンジョンマスターにはホトホト困った。

 なにせ俺はダンジョンから出られないのだ、外に食料を買いにも行けないし、金を稼ぎにも行けないのだ。つまり俺はこの穴に閉じ込められたって訳だ。


「お~い、ダンジョンコア。俺はここから出られないのか?」


「高レベルになれば可能です」


「高レベルってどの位?」


「レベル10です」


「因みに今のレベルは?」


「マスターの今のレベルは0です」


「マジか・・・・・・絶望しかね~な、これが女神に逆らった罰って奴か」


 まあ悩んでいてもしょうがない。こういう場合は冷静な判断が必要なのだ、焦って色々すると更なる悲惨な状況になってしまう。例えるならばブラック企業が嫌で辞めて転職したら更に酷いブラック企業に転職してしまう様なものだ、何度かそういう目に合えば嫌でも慎重になるってものだ。

 なので俺は一旦寝ることにした、冷静になって状況を分析して計画を立てるために。


 

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