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第一話 派遣先

...うっ...どこだここは...というかここはどこだ...


外は暗く自分がいる場所もよく分からない。

本来であれば目の前には佐藤がいて...

あの詐欺会社め俺をどこに連れ去ったんだ...


『杉山様!私の声が聞こえますでしょうか』

いきなり佐藤の声が聞こえて来た。

「おい!ここはどこだ!ちゃんと説明しろよ!つーか業務詳細はどうなったんだよ!」

『落ち着いてください、杉山様は現在惑星レイにございますオルデンという国に現在おります、惑星といっても地球と同じ世界ではなく、全く異なる世界になります、そちらの国で何かしらの功績をあげて頂きます』

「はぁ?!俺が?!なんの力も持ってないのにか?馬鹿な事言ってる暇があるなら帰してくれ!もう俺は帰る!というか辞める!」

『それは不可能です』

「途中退社可能だと聞いていたし、記載もあったはずだよな?」

『同意書に記載してあったのは1年以上働いた方を対象としてと記載してあります、つまり1年間は働いていただかなければいけません』

「ふざけんな!詐欺じゃないか!今すぐ家にk」


ガチャ!!


「リュート!大丈夫か!おい!すぐに医者を呼べ!!」


突然目の前の扉が開いたと思えば金髪のイケメンがこちらきた。

身体はかなりがっしりとしており、俺みたいなひょろひょろの奴が勝てるような見た目ではない。


「う...あ...」


突然の出来事に反応が出来ないでいると佐藤の声がまた聞こえた。


『あ、お伝えし忘れておりましたが、私との会話は考えるだけで会話可能です、もちろん周りの方々には聞こえておりませんのでご安心ください!この機能は携帯電話と同じような機能となっておりまして、会話したい相手を考えるだけで会話が可能になる機能です』

『そんなことはどうでもいい!帰れないならまず状況を説明しろ!目の前にいるこの金髪のイケメンは誰だ?!』

『承知致しました、では一度時止めを使用致します』


なにやら佐藤がぼそぼそと言葉を発したと思えば、視界が狭まり息苦しくなる感覚が襲い始める。

その瞬間...目の前にある全ての時間が停止していた。


「んなっ!なんだよこれ...おい!金髪イケメン!何か反応しろ!!」


いくら俺が大きな声を出しても相手からの反応はない


「どうなってやがる...訳が分かんねぇ...」

『ようやく落ち着いてご説明出来ますね』

「うぉ!びっくりした!」


目の前で起きた事実が凄すぎてこいつの存在を忘れていた...


『では、再度ご説明させて頂きます!場所についてですが「それはもう分かったから!こいつは誰なんだ?」

『はい、この方はオルデン王国1の魔法剣士である、ジーク様でございます、ジーク様のお家柄はこの国でもトップクラスのお家柄でございまして、オルデン王国のトルトニス家と言えば知らない者はいない程で所謂大貴族という所でございます、そして杉山様はジーク様の息子であるリュート様となって頂きました』

「はぁ?!」

『リュート様は残念ながら6歳という若さで、不治の病により命を落としております、丁度杉山様がリュート様になられた際に入れ替わったという訳です』

「...」

『続けます、つまり杉山様の派遣先はこのトルトニス家にございます』

「オーケー...分かった分かった...そんで?その大貴族様の所に派遣されて功績を残す事が俺の仕事内容って訳か?」

『はい!左様でございます!』

「具体的にはどうすりゃ良いんだよ」

『そうですねぇ...例えばですが、この国の為になるような事をして頂ければ結構でございます、お雇い主様の情報は開示出来かねますが、杉山様の状況は筒抜けだとお考え下さい』


・・・無理だろ

まず、能力が無い。なんなら時間も足りない。というかついて行けない。無茶だこんなの。


『ご安心ください!能力についてはリュート様のお力をそのまま引き継いでおり、()()()()()ですが必ずこの世界でもトップクラスの実力者となる事が可能です』

「チート能力みたいなもんか、それはありがたいが時間が足りないだろ?3年しか俺はいられない」


実は派遣の法律で3年縛りという物が存在しており、それ以上は派遣先に雇用されるか、契約解除を行わなければならない。同意書のサインを書く際に(弊社は、法律を遵守致します)なんて言葉が脇の方に書いてあったのを確認していた。


「会社は日本にあるんだから、企業として遵守すべきは日本の法律だろ?そこはどうするつもりなんだよ」

『もちろんでございます!弊社はコンプライアンスについて非常に厳しくしており、法を犯すような事は絶対に致しません!』


どの口が言ってやがる...


『この口でございます!』


丸聞こえなのを忘れていた。

とにかくこの法律を守るというなんて思ってもいなかった。詐欺会社の事だから(この世界では日本の法律とは関係ありません)とか言われると思っていた。

『お時間につきましては、日本時間で3年経過しましたら派遣期間を終了致します。』


日本時間とか不穏なワードが聞こえたんだが...


『こちらで20年経過致しますと、日本では1年経過した事となります、簡単にお伝えしますと時間の流れそのものがこちらとあちらでは違いますので』

「また詐欺かよ...こっちで60年経たなきゃ派遣期間終わんねぇじゃねぇか...」

『詐欺だなんてとんでもありません!弊社は、優良企業として国かr「わーったわーった!もういいから!」

『ご納得頂けたようで何よりでございます、お金につきましては、派遣終了後か一度戻るご決断を頂いた際にでもお渡し致します』


既に金はどうでもいい...

この非現実な世界から俺は人生を再スタートさせなけれならない訳だ。


『何かご質問はございますでしょうか?』

「お前は一体何者なんだ?大体にして普通じゃないだろ?時間は止めるし、異世界には吹っ飛ばすし、何なら俺は俺じゃなくなってるし...」


質問を聞いた佐藤はニコッ笑い


『私は、杉山様が羨む()()()()()()でございますよ』

「お前綺麗な女じゃなかったら、殴ってるからな?」

『お褒め頂き光栄でございます』

「褒めてねぇよ...」

「では、特に質問が無ければこれで終わりにします、時止めを解除致しますので、よろしくお願いしますね!」


そういうと、突然目の前が開けた感覚になった。


「リュート!しっかりしろ!!今医者を呼んだからな!!」


目の前にいる金髪イケメンは決起迫る勢いで俺に声を掛ける。


………これどうすりゃいいんだよ...


あまりにも無茶苦茶な派遣業務を開始する事となった。

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