第2話
「うっ・・・こ、ここは?」
目を覚ますとそこは森のようだった。
そこは、風の通しがよく、東京に住んでいたからか排気ガスなどの臭いが一切せず、空気が美味しいとまで感じる、それに土や森林の香り?とでもいうのだろうかとても穏やかな気分になる。
近くを見回すとあたり一帯が森であることがわかる。
・・・どうやら夢では無かったようだ。自分が死んだことも、自らを神と名乗る存在にあったことも。
これからどうしようか?取り敢えず荷物があったので確認する。不幸なことに盗んだブラジャーや、パンツなどは一切無かったが普段自分が使っている、ピッキングツールや双眼鏡、そしてサバイバル用なのだが意外と重宝するサバイバルツールなどだ。最悪、これでサバイバルなどできなくもないが、あの自称神が言ってたことが事実なら、この世界には魔物などがいるのだろう果たしてこんなものでも対抗できるのだろうか?
俺は考えるのをやめた・・・せっかくこんなにいい場所に来れたんだし、昼寝でもしようもし魔物に襲われても寝てる間なら苦しまずに死ねるだろうし。バックを枕にしそのまま、意識を手放した。
「ねぇ?生きてる?ねぇ?」
眠っているところ誰かに声をかけられて目を覚ます。あたりを見回すと日が暮れておりもう夕方であることがわかる。何時間寝たのだろうか?そう考えていると、
「起きた!大丈夫?こんなところで眠っていて魔物にでも襲われたらどうするの!?」
声の主の方を見る。そこにはロープに身を包んでいて、三角の帽子、黒髪ツインテールのいかにも魔法使いと言った格好をした少女がいた。
「ねぇ!?聞いてるの!?」
「あっ。すいません。考え事をしてました。」
このまま無視するのも上手くないので、軽い受け答えをする。
「良かったー。あなたねぇ、魔物が出る森で眠るなんて自殺志願者か何か?私が通り掛からなかったらあなた死んでたわよ?」
「はぁ。ありがとうございます。」
「でもあなた、いくら魔物レベルが低いこの森だからって居眠りをするだなんてよっぽど高レベルの冒険者なの?」
「冒険者?」
聞きなれない言葉に聞き返す。
「え!?あなた冒険者じゃないの!?冒険者でもないのに森に入ってくるなんて本当に自殺志願者なの?」
参ったなぁこのままだと質問責めに合いそうだ・・・適当に嘘をついて誤魔化すか。
「実は、俺は別の町から冒険者になる為に来たんです。それで途中魔物に襲われて命からがら逃げ切ってそのままここで力尽きて眠ってしまっていました。」
「・・・そうだったの災難だったわね。わかったわ!私がギルドのある街まで案内してあげる。私と一緒なら魔物に襲われても大丈夫だしね。」
お言葉に甘えておこう。
「あっ!そういえばまだあなたの名前を聞いてなかったわね。私の名前は、フェルト。魔法学校を卒業した魔法使いよ!宜しくね。」
「俺は・・・東郷悠人16歳だ。宜しくフェルトさ
ん。」
「あら?私より一つ年上なのね。宜しくねトーゴ!」
トーゴじゃなくて東郷なんだけど。・・・まぁいいや。連れてってもらえるのなら早く安全圏に行きたいし。
「それじゃぁ、ハジマの街まで行きましょう。さぁついて来て。」
俺はフェルトの後をついていくことにした。
今回だけで冒険者や、ギルドなど、まるで某RPGを、彷彿とさせる単語ばかり出てきて、ようやくここが別世界なのだと実感が湧いてきた。そうでなければこんな幼気な少女がコミケ以外でこんな格好をする事などあり得ないからな。取り敢えずは、フェルトから得られるだけ情報を得るとしよう。
押し付けられた2度目の生だせいぜい好き勝手行きてやろう。
それにしても非常に惜しい。ツインテールや、顔立ちはどストライクなのに、いかんせん体の方が貧相すぎる。残念ながらロリは守備範囲外だ。
そんなくだらないことを考えながら、フェルトとともにハジマの村へと向かった。