第1話
目を覚ますと10メートルはある老人・・・普通ならSANチェックものだろうが、こちとら一回死んでもう怖いものが無い状態だ。そんなに驚く事でもないだろう。
聞け人の子よ!!お前は死んだ。そして死ぬ前に犯した罪の数々、本来ならば地獄落ちは免れない。だが今一度チャンスをやろう。異世界へと転生し、善行を積む「あ、いいですからそういうのは。」え?異世界転生だよ?下界で流行りまくってるやつだよ?
「いや、今更転生したって下着泥棒してばっかの社会不適合者の俺がロクな人生送れるわけないじゃないですか、あんたも思っくそ犯罪者って言ってたし。」
い、いやそんな流れだったじゃん。やろうよ転生、みんなやってるよ!!いや、みんながやってるわけじゃないけど、ともかくそんなに夢のない事言わないでやろう?それに君も嫌でしょ、最後の言葉が『パンツ離さない』なんてさ。
「いやむしろそこは誇るべきところというか。死ぬまで自分を曲げなかった勲章ですし。」
ええぇー!?いや?上から見てて筋金入りのクズ・・・変態だと思ってたけどここまでとは・・・まぁそう言わず転生しよう。
「いや。知らない人がいるところに行きたくない。」
子供か!!いや、本当お願い。ぶっちゃけると君、勇者の素質持ってるんだよね。そして君を送る世界は魔王がいるのよ。だから魔王を倒して魔族と人間の戦いを止めて欲しいんだよ。
「いや、なんで俺がそんなことしないといけないんですか。勇者とかそういう柄じゃないですし。」
そこをさー妥協してくんないかなー。お願い神様的にもさ、忙しいのよ、時間ないのよ。今ならなんと豪華特典付いちゃう!!
「特典って?」
ちょっと気になる。
ああ!今ならトイレットペーパーと洗剤つけちゃう。
「やっぱ地獄行きでいいや。」
もーめんどくさいなぁ。・・・!
決めた。お前は地獄に落とす・・・生き地獄にな!!知る人のいない土地に落とされるのはさぞ辛かろう?フハハハハ、とゆうわけで、
let's goー
「は?ちょっとま」
その瞬間足元に穴が空きそこから落とされる。小さい頃に一度だけ行ったことのある遊園地のジェットコースター以上のスピードで垂直落下する。
「あああぁぁぁぁぁ!?お前覚えとけヨォォォォォ!!」
落ちる落ちる落ちる。やばいめっちゃ怖いトラックに引かれた時と比べ物にならねぇ。
そのまま穴は閉じられる。
やーっと行ってくれたよ。ワシも忙しいからさぁこういうの困るんだよ全く・・・さっきの子で本当に大丈夫かな?一応素質なら過去最高クラスだったけど性格がクズだからなぁ・・・念のためもう一人くらい勇者の素質を持つ子がいないか探しておこう。
老人はため息をつきながら白い空間から姿を消した。