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プロローグ 拝命

  恋愛には、『強者』と『弱者』が存在する。

  それは単に、顔と経済力などのスペックとは限らない。

  例えば、異性の気持ちを掴むのが上手いのと下手なのでは、交際を申し込んだ時の結果に大差がついてしまう。

  仮に交際成立しても、これがなければすぐにはたんしてしまうだろう。

  だが、人はホルモン上、異性同士では精神が異なるのだ。

  現代の高校生は、交際期間が短い。

  単純に『冷め』の時もあるが、やはり、お互いを理解できずにトラブルを起こしてしまうという事実もある。


  これは、そんな『恋愛弱者』な高校生をサポートする、とある部活の話である。





 ───────────────────────





  この世は、摩訶不思議に溢れている。

  高校2年の春、体育館での始業式。

  この日、この出来事は、俺の高校生活を大きく変えたと思う。

  突然、頭に強い衝撃が加わり、気を失った俺は──

  気がつけば、生徒数人と共に真っ白い部屋にいた。

  そこは家具などもなく、殺風景だった。

  俺──喜楽蓮(きらく れん)は、事情が掴めずにただ呆然としていた。

 

  「ここは…どこだ!?」

  明らかに顔をこわばらせているのは、普通科2年1組の花倉和人(はなくら かずと)

  サッカー部のエースで、全国大会にも出たことがある、女子にそこそこ人気がある。

 

  「私たちをどうするつもりなの!?」バスケ部

  不安と恐怖でいっぱいの表情のこの女子生徒は普通科2年2組の棚橋紗也(たなはし さや)

  真っ白い肌に明るい茶髪、小柄で華奢な容姿をしている。

  バスケ部に所属し、優しさと思いやりに溢れ、男子たちにとにかくモテる。ついた二つ名は『聖天使』。

 

  「…」

  冴えきった目で、ただただ様子を見ているのは、普通科2年3組、俺と同じクラスの一条京花(いちじょう きょうか)だ。

  白い肌に長く艶やかな黒髪。見目麗しいが、どこか他人を寄せ付けない雰囲気をだしている。

  俺と一緒で部活には所属せず、テストは常に学年トップの才女である。


  いずれも反応はまちまちだが、視線はしっかり『一人の人物』に向いている。

  人物、というのは正しくないかもしれない。

  その存在は明らかに人ではなく、神々しいほどの光を放つ異様なものだった。

  「心配要りません、あなた方に危害は加えないので」

  「…」

  穏やかな口調で淡々と述べるその存在に、一同は警戒の目を向けている。

  「申し遅れました、私、恋愛神と申します」

  存在──恋愛神に、未だ警戒を解かない俺以外の三人。

  「この度、お呼びしたのは他でもない、あなた方に『キューピット』になってもらうためです」

  「…ッ!?」

  突拍子もない発言に、一同は驚く。

  「まあ、いわば恋愛下手への救済措置です」

  「…」

  訳もわからず、唖然とする。

  「さあ皆さん、我が(めい)を受けますか?」

  「…でも」

  「返事がないということは了解ですか?」

  「いやいや…」

  「よかった、受けてくれて」

  勝手に話を進め、安堵の息を吐く神。

  「では、あなた達を『キューピット』に任命します、よろしいですね!」

  「ちょっと…」

  「では、あなた方に祝福あれ!」

  最後まで人の言うことを聞かない神。


  気づけば、また体育館に戻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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