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新卒アースの決意表明

·西暦2205年7月10日:午後1時27分の東京駅

最高気温28℃風速0

夏休みを満喫しているのは、老若男女はもちろんの事今や『地球人だけではない。』。



渋谷109の3Dモニターから、水色のベレー帽を被り、銀のコートを羽織った短髪の女性が現れる。CR太陽系鉄道のイメージキャラクター、スカイだ。


『こんにちは、東京駅にお越しの皆様。CR太陽系鉄道、スカイでございます。夏休みをいかがお過ごしでしょうか?本日、当社において新卒社員の採用試験がいよいよ最終日となっております。銀河鉄道の未来を担う希望の世代に、どうぞご期待下さいませ。現在、全線共に運行の遅れは出ておりません。どうぞ良い一日をお過ごし下さいませ。』


スカイのインフォメーションを見届けたオレ、倉島明日くらしまアースは、採用試験会場である『東京駅ホテル』に入った。


エレベーターを抜けてすぐ山手線や新幹線、そして銀河特急が走っているせいか、帰省ラッシュのこの時期広間は大混雑だった。何せ国内や国際どころの話じゃない。

今や日本が、いや『地球』が相手にしているのは、太陽系からアンドロメダ銀河の全ての民衆なのだから……。



オレがこの採用試験に応募したのに、特別な理由などない。


強いて言えば、全国からやって来るドライバーを相手に日夜働くパーキングエリアの職員に憧れて、交通機関と密接に関わりたいってのは有ったかも知れないが、ぶっちゃけそんなのどうでもよかった。



そう、オレは電車が大好きなのだ!!



幼いころからヒマさえ有れば近所の踏み切りに、昔からカメラ背負って電車を見に行く。

そんな少年時代を過ごしたオレ。マニアックだ。実際中学に上がると、周りと一気に浮くようになった。


そう。10年前、アンドロメダ自治協会を名乗るヒト型宇宙人が上陸し、地球の加盟と、銀河鉄道の停車駅の設定を勧告するまでは。そう。宇宙からのお客様にとって、地球の鉄道は大変優れていた様だ。


それからと言うモノ、鉄道は宇宙とのアクセスの要ともてはやされ、鉄道の知識を温めていた者たちにとって、それ以上自慢出来る事が無い位であった。

例えば、時速130キロの特急列車がカーブに備えて搭載している『ふりこ式』なる装置の事、寝台特急『カシオペア』のサービスの質の良さなど、普通の人なら頭が痛くなりそうだが、この仕事に就く上では大きくやくだったと言える。


そんなこともあってか、それから数年後、アンドロメダ自治協会によって施行された『アース・ホイッスル勲章』制度。


その年の宇宙交通に最も貢献した者に授与されるその賞は、この宇宙鉄道時代において、鉄道を愛する全ての者たちのあこがれだ。


現状、地球人がこれを取れた実績はない。だからこそ、『オレが(・・・)』塗り替える。


目指すのはただ一つ、宇宙のお客様達を、オレのハンドルでどこまでも運ぶ事。

どこかの海賊ではないが、鉄道王に、オレはなる!

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