V.S.敵対勢力
今回戦闘です。もう嫌だ……
自分の文章力のなさがあらわに……
と、とにかくどうぞ!!
「何であなたがこんなところにいるんですかね?」
レーヴェは裏口に迎えが来ていると言った。だけど、まさかこの人が来ているとは想定外だった。そこにいたのは最高司令官である総帥だった。
「はっはっは。姫さんがこんな目にあってるってのに、わしが出んわけにもいかんだろう」
きっとさっき撃たれたせいだろう。ああ、絶対そうに違いない。眩暈がする。
「シュウ!?」
「おにーちゃん!?」
レナはふらつく僕の体を支えてくれる。
「ほうほう。しかし、シュウ。地味にやられたな。衛兵、こいつの肩を治療してやれ」
なんでこの人はニヤニヤと生暖かい目で見てくるんだ。ヤメロ、そんな目で見ないでくれ……
「で、そっちのお子さんは?」
総帥の目は途中で出会った子供、エシリアに向く。
「その子は道中保護しました。おそらく、どちらかの国の……」
「ふむ、とりあえずこちらで保護しよう。」
衛兵によって、肩の傷を治癒しながらそんな話をした。とりあえず、エシリアについては一件落着になりそうだ。それにしても、治癒魔法というのは本当に便利である。確か、傷口近くの細胞を活性化させることにより治癒力を人為的に高めているんだっけか。この辺は専門でないからよくわからないというのが事実である。
「で、シュウ。ここで、姫さんの護衛任務は終了だ。これからお前にやってもらわんといけないことがある。正直、それを加味しての昇格だったからな」
お迎えが来た、ということは護衛終了というのは分かっていた。だが、後半がわからない。
『そういうことね。やっと合点がいった』
ずっと黙っていたレーヴェが通じを入れてくる。
「どういう事だよ」
『仕方ないわね。オツムが回らないシュウのために教えてあげるわ。つまり、この任務の報酬というのかな。それが、准左への昇格。まあ、これだけのことが起きてるんだから2階級昇格っていうのも納得だけれど、それが前倒しになってたという訳』
ほんと食えないわね……あのたぬきオヤジ……なんて聴こえてくる。オツムが回らないは余計だ。
「お、さすがレーヴェ嬢。分かってるじゃないか」
なぜこの人が極秘通信を聞いているのかはわからないが、総帥はにやりと口を釣り上げた。
因みにだが、レーヴェも総帥には面識がある。まあ、僕がしっかりと面識があるのだから、その幼馴染がない方がおかしいだろう。
『なんで、この通信を聞いてるのかは考えたくはないけど、シュウの今回の本当の任務はアビスの討伐じゃない?』
「ま、そういうことだ」
勝手に話を進めていくふたり。
「というわけだ。吉報を楽しみにしておくぞ」
そういうと、総帥は踵を返した。これまで、通信での会話であったため、レナには何をするというのは伝わっていないのだが、バツが悪そうに僕を見ていた。おそらく、僕がこれから何をするのかがわかっているのだろう。
「レナ。そんな顔をするな。僕はちゃんと戻ってくるさ」
周りに聞こえないくらいで、レナに告げる。フラグ? そんなことはない。
「分かりました。昇格祝の準備をして待ってますからね」
そういって、レナは総帥のあとを付いていった。
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会場の中はまさに地獄だった。戦闘には魔法が用いられる。それが、この世界の常識だ。そのため、地獄なんてものはいとも簡単に作り出すことが出来る。会場の所々から岩のようなものが突き出て、場所によっては炎が燃え盛っているし、水たまりなんかもある。
世界は戦火に包まれていた。比喩ではなく、現実だ。ゴムのような匂いと、肌にこべりつくような空気。人が燃えた残骸のようなもの。そして、赤い海。
会場にあったのはそれだけじゃない。ほんの十数分前には人間だったものが、肉片としてそこにはものとして落ちていた。それはひとつやふたつという生易しいものではない。さっきまで会場にいたほぼ全員だ。
まさに、死がそこには落ちていた。
赤い世界、地獄の中心には、ステージに上がっていた男がただひとり、立っていた。
「よくもまあ、やってくれる」
その男を見てため息をつかざるを得なかった。
「はっ、それはこっちのセリフだ。お陰でこちらはほぼ全滅だ。この落し前、どうつけてくれる?」
「それはこっちも同じだ。まさかこちらが全滅してたとは思わなかった。それに、こっちはそちらのターゲットを差し出したんだ。感謝はされど恨まれるのは筋違いだ」
「随分と潜入が楽だったのはそういうことか。はっ、行きは良い良い帰りは怖いってか?」
「そういうことだ」
刹那、鉄と鉄がぶつかる音が会場に響く。
「ほう、これを見切るとは」
男の姿が消えたと思えば、そいつは僕の目の前に現れ、剣を振った。が、僕は帯刀していたダガーでそれを流した。
「僕の取り柄はこれだけだからな」
僕はふた振りのダガーを構える。それを見た男は検を構え直した。
「はっ、二刀流ってか? いいね、面白そうだっ!」
再び衝突する音。剣をいなし、攻撃を入れる。が、そう簡単に刃は男には届かず、止められる。
それの繰り返しが、永遠とも思える時間続いた。
剣の衝突のあと、僕らは距離をとる。
「はっ、まさか、こんな所で生粋の白兵戦をすることになるとはな。てめぇ、魔法は使わねーのか?」
「残念。僕はそういうのは使えないんだ」
そう。僕は魔法が使えない。それは、戦闘においては不利と言っているようなものだ。
「なるほど。はっ、まさか自分から明かしてくれるとは思わなかったぜ。ということは、こちらが有利というとこだな」
ゴオッ、という炎が萌えるような音とともに男の剣の周りに炎が渦巻いた。
「そちらさんが白状してくれたかわりと言っちゃなんだが、種明かしだ」
男はそばに突き刺さっていた剣を凪いだ。全く力が入っていなかったのが目に取れるが、刺さっていた剣は面白いように真っ二つに切れた。
「俺の剣は特別製でな。魔力を通せば切れないものはないってことだ」
「なるほど。でもいいのか? そんなことを教えて」
「はっ! 問題ねぇ。お前は俺に斬られてそれで終わり、だ」
男との距離が詰まる。
「なっ!?」
「何を驚いている。その剣、何でも斬れるんだろ? それなら、完璧に受け流せばいい話だ」
「はっ! 簡単に言うぜ」
再び距離をとる。
「これは、教えてもらった礼だ。受け取れ」
「剣を投げるとは舐められたもんだ」
僕はそばに刺さっていた剣を男に向かって投げた。ただ、普通に投げたならおそらくなんの意味もなかっただろう。それは、切り捨てられる。だが……
「ぐおっ!?」
男は仰け反った。まさか、投げられた剣が重いなどとは思わなかったのだろう。
「さて、これで終わりだ」
「なっ、いつの間にっ!?」
バランスを崩した男の目の前に移動し、背中からぶつかる体当たり。現実世界でいう鉄山靠である。
男は吹っ飛び、壁に激突した。男はそのまま力なく壁に背をあずけた。
「お前……なにを……はっ、魔法が使えないって言うのはハッタリか」
「いや、僕が魔法を使えないのは本当だ」
男は呆れたような顔をする。
「お前知ってるか……? 身体強化も立派な魔法なんだぜ?」
「ああ、知ってるさ。それを含め、僕は魔法を使えない。」
「なっ!?」
ありえない。そんな顔だった。
「種は簡単、僕が使っているのはただの体術だ」
「はっ、仕事上、いろんな流派を見てきたが、今みたいなのは見たことがない。しかも、たった一撃食らっただけでこのザマだ。馬鹿も休み休みにして欲しいぜ……」
「世界は広いってことだ。さて、お前にはいくつか聞きたいことがある」
僕はそいつに歩み寄っていった。
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