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第七章 女王の称号
改革は着実に進んでいく。
オルカは経済顧問として王宮に招かれたが、住居は王城ではなく商人街の自宅に留めた。
女性初の国家経済政策委員長にオルカが就任。
教育制度に商業科を導入し、孤児や平民の子女にも経済の知識を教える学校を設立する。
十年後。
アステル王国は最も公正な貿易国家として、世界中に知られるようになる。
失業率は過去最低、識字率は九十パーセントを超え、女性の社会進出が進んだ。
オルカの名はもはや『悪役令嬢』ではなく、『商業の母』『銀の女王』『民の秤』と呼ばれるようになった。
ある日、若い商人の娘が彼女に尋ねる。
「オルカ様? どうしてあんなに酷い目に遭ったのに、憎しみでなく正義を選んだのですか?」
オルカは遠くを見るように空を見上げた。
「昔の私は愛されるために生きていた。でも、追放されて気づいたの。自分を信じる力が本当の自由なんだ、と」
彼女は麗美に微笑む。
「憎しみは人を繋ぐ鎖よ。でも正義は誰もが歩ける道を作る。私は道を作る者になりたかった」




