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第三章 銀の秤の正義
オルカはただ儲けるだけでは満足しない。
商人たちが不当に搾取され、農民が安く買い叩かれる構造に怒りを覚えていたからだ。
「商いは富を生むだけじゃない。正義を運ぶ手段でもある」
彼女は『公正取引協会』を設立。
小規模な生産者たちを集めて共同出荷を促し、中間搾取を排除した。
また価格公示制度を導入し、『この品はこの価格が相場』という透明性を社会に根付かせた。
人々は最初のうちは冷笑していた。
元貴族の娘が庶民の味方を気取るのか? と。
だがオルカの行動は本物だった。
彼女は高価な服を着ず、豪邸にも住まず、利益の一部を孤児院や学校に寄付した。
「私は権力が与えた特権で生きてきた。だから今度は自分から誰かに特権を還す番なのよ」
二年後、リューネス商国のGDPは三十パーセント上昇。
失業率は半減し、商人たちの信頼はオルカに集中した。
そして、彼女は新たな挑戦を始める。
王都アステルに戻り──今度は経済で彼らの膝を折る、と言う決意を胸にして。




