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第二章 異国の地で


 オルカがたどり着いたのはリューネス商国。

 魔法は使わず、貿易と技術で栄える小さな都市国家だった。

 言葉も文化も違うこの地で彼女は『エリ』と名乗り、下宿屋の女中として生計を立て始める。

 しかし、彼女の目は常に市場を見ていた。


「この国は情報が流通していない……価格がバラバラだ。商人達は買い手が何処に居るか知らない。売り手もどこに需要があるか分からない状態……」


 彼女は市場で布を売っていた商人に声をかける。


「この綿布、南の港町では二倍の価格で売れますよ。船便のスケジュールを知っていますか?」


 商人は怪訝な顔をしたが、オルカの言う通りに南へ運んだところ見事に利益を上げた。


「お前、何処でそんな知識を?」

「昔は貴族の令嬢でしたので、経済の基礎くらいは教わりました」


 商人はオルカの言葉に笑う。


「その知識は商売に生かせるぞ」


 その出会いをきっかけに、オルカは『オルカ商会』の基礎を築いた。

 最初は小さな仲介業から。

 次第に、船の手配、倉庫の管理、価格の分析までを一手に引き受けるようになる。

 彼女の武器は情報だった。

 王都での経験から貴族の嗜好、季節毎の需要、国毎の輸出入ルールを熟知していた。

 それに加えて彼女の記憶力と計算力は驚異的だった。


 一年後、彼女はリューネスの商人たちから『銀の秤の女』と呼ばれるようになっていた。


 ──彼女の出す価格は常に『正しい』と。


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