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全能神  作者: 碾貽 恆晟
第一章 学校に隕石が落ちたら……
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第3話 回想 全能



 小宮ばあちゃんの作った夜食はとっても美味い


 脂っこ過ぎるわけでもなく野菜だけでもない、ちょうど良く感じる。


 まぁ、俺が好き嫌いがないというのも食べ易いと感じる理由の一つかもしれない。


 一応言っておくが、好き嫌いがないと言っても苦手なものはある。


 例えば、とろろ(*山芋、長芋を摩り下ろしたもの)なんてその筆頭だ。


 口の周りは痒くなるし、それが持続する。


 食べられるけど食べたくないもの。


 それを知ってるから、小宮ばあちゃんはとろろを使った食べ物は作らない。


 何が言いたいかというとだ、小宮ばあちゃんの料理は世界一美味しいということだ。


 母の味(正確に記すなら祖母の味となる)を感じさせるその料理の前に勝てる人はいない。


 閑話休題


 とっても美味しい料理を食べたあとは、片づけである。


 食器を洗うのは小宮ばあちゃんだ。


 俺は小宮ばあちゃんから手渡された台布巾で食卓を拭くだけである。


 一人だけの時は、ちゃんと一人で全部やるのだが、あまりそう言った機会はない。


「終わったよ」


 拭き終えたので、台布巾は台所に置いておいた。


「あいよ」


 こちらを見もせずに答えたのは、食器を洗っているからだろう。


 俺は無言でダイニングルームを出て、階段を登る。


 二階に上がり、自室へと入る。


 勉強机の前で立ち止まり、机の棚を開く。


 中には、間違いなくあの古ぼけた紙片が入っていた。


 椅子を引いて座り、じっと紙片を見つめる。


 触り心地はゴワゴワしている。


 茶色に近い色で、劣化しているように思えるのだが、破けていたりするわけではない。


 今度は躊躇うことなく折り畳まれていた紙片を開いた。


 中には、箇条書きで言葉が並んでいた。


 知らない言葉だった。


 日本語ではない。


 英語でも、中国語でもないし、四大文明なんかで見た楔形文字なんてものでもない。


 ぐにゃぐにゃしていて、区切りがなく、どこまでも一本の線で一つの文が構成されている。


 一つの文である、とわかったのはその言葉の意味がなぜか理解できるからだ。


 どのような理論でそうなっているのかはわからない。


 わからないが、考えたところで今すぐわかるわけでもない。


 そういうものだと思って、文をよく読んでみる。


___________________


 能力名:全能


 この能力を極めれば貴方は全能に等しい力を手に入れることになるだろう。


___________________


 と、言った意味であった。


 もうこの時点であやしいところしかない。


 この世界に、数多あまたある超能力(異能力と言うこともあるが)、魔法、そして神と言った存在、それらの力を振るう者達であっても全能というには程遠い力しかない。


 どのような力にも法則があり、その法則を曲げることは出来ない。


 故に、この世界に全能の力は存在しない。


 そう結論づけられている……と授業で習った。


 ん……?


 あぁ、だから『全能に等しい』って書いてるのか。


 結局、全能では無いのか。


 理解したところで胡散臭さは抜けないが、続きを読むことにした。


___________________


創造

・非生物

 ––––純物質

 ––––混合物

 (以下未開放)


干渉

・非生物

 ––––純物質

 ––––混合物

・生物

 ––––『全能』能力を持つ存在

 (以下未開放)


発動条件

・詠唱

 ––––創造 創造するもの 〈創造する場所〉

 ––––干渉 干渉する存在 干渉結果 〈補足〉


範囲

・『全能』能力を持つ存在のいる惑星系全て


___________________


 ……以下未開放ってなんだ。


 未開放でも灰色の字とかで書いとけよ。


 これ、紙だろ?


 更新されるたびに紙が新しく増えたりするのか?


 というかそもそも、更新されていくのかこれは?


 ……つい真面目に考えてしまった。


 もし俺に向けて書かれたのだとしたら悪戯で、そうでないならただの厨二病ノートだ。


 数年後、黒歴史として悶え苦しむことになる未来が見えるぞ。


 しかみなんだよ、『『全能』能力を持つ存在がいる惑星系全て』って……。


 どこに、こんな都合のいい能力があるって言うんだ。


 どうせならもっと現実味のある内容に差し替えるべきだぞ。


 そっちの方が叶う確率が高いぞ?


 ふっ、と鼻で笑ったところで、ドアを開けて左右を見る。


 当たり前だが、誰もいない。


 部屋に戻って、紙片をもう一度よく見つめる。


 あたりを見渡してから、ボソリと呟く。


「干渉 我 不死身」


 数秒の間、じっと待つ。


 何も変わりはない。


 夢だった不死身になれるかと思ったが、体に変調はないし、全能感もない。


 いや、要求値が高すぎたのかもしれない。


 そう思って、今度はわかりやすいもので試そうと思った。


 つまり──


「干渉 シャーペン 白に変色」


 こういう、目に見えてわかるものである。


 …………無音である。


 何も起こらない。


 ちょっと力を込めてシャーペンを指でつついてみる。


 指先が痛いだけで、何も変わらない。


 ふっ、やはりこれは本物じゃ無い。


 ふぅ、ともう一度ため息を吐く。


 すると、なんだか腹が立ってきた。


 腹いせに、日々の恨みつらみも加えて、学校にぶつけてやろう。


 とてもいい考えに思えてきた。


 なにせ言うだけならタダだ。


「創造 隕石 創造場所 宇宙。干渉 創造した隕石 地球に落とす対象  私立野浦高校」


 ふふふ…


 ははは!


 ふはははははは!!


 ……はぁ、悲しくなってきた。


 悪戯の紙を丸めて勉強机の隣に置いてあるゴミ箱に投げ捨てる。


 そして、学校で書き取ったルーズリーフのメモをノートに書き写す作業を始める。


 書き写す作業が終わり、俺が寝る頃には先ほどの古ぼけた紙の存在など頭の外へ追いやられていた。


 この時のことを俺は後悔するとも知らずに呑気に歯磨きをして、蒸し暑いからと布団を被らずに寝ようなどと考えていたのだった……。



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