第14話 回想 道中
ズズズ
せんべいを食べ、お茶を啜る。
「はぁ〜」
お茶の口触りが良く、つい溜め息が出た。
安らぎを感じられる時間はあっという間に過ぎていき、時間は4時30分。
そろそろ、スーパーに行ったほうがいい時間。
「で、オウランはどうするの?」
「透明になれるのでついていきます」
オウラン、恐ろしい子……!
「何ふざけてるのですか」
「いや、多才だな〜って思っただけだよ」
「私が心を読めるということを忘れているのですか?」
「覚えてるよ」
「それなら、そんなバレバレの嘘をつかないでください」
「こればっかりは癖といっても差し支えないものだから無理だな」
「開き直らないでください」
「善処する」
……気の無い返事をしながら、食卓の上に置いておいた空の鞄を持って、立ち上がる。
扉を開けて、廊下を歩く。
玄関で靴を履いて、家を出る。
もちろん鍵をかけることを忘れてはいない。
鍵は鞄の中に入れ、空を見上げた。
外には所々雲が漂っており、まだ青い空にちょっとしたアクセントを加えているように見える。
と、センチメンタルな雰囲気を醸し出してみるも、オウランは無視するし、周りには人っ子一人いないため、センチメンタルから哀愁漂う雰囲気に様変わりしてしまった。
「……行くか」
手首に鞄をぶら下げ、手をポケットに突っ込む。
再び、朝行った道を行く。
スーパーは学校と同じ町内──そういや家も同じ町だった──の中にあり、片道45分、距離にして3キロ程度だろうか。
細かいことは知らないし知りたいとも思わないので放置するとして、問題はその米の争奪戦があるかないかだ。
日によっては平和な時もあれば、宛ら無法地帯と言わんばかりの争奪戦が始まることもある。
あぁ、恐ろしき田舎の……って関係ないな。
道端の石を蹴って、遊ぶ。
特に理由はないがもう一つ蹴ってみる。
そして、また特に理由はないが石を蹴るのをやめ、欠伸を噛み殺す。
その後も暇つぶしをしたり、生産性のない思考に没頭などして、時間をつぶしながら歩く。
ポツポツと住宅街がみえてくる。
そこを素通りしながら、周りを見る。
数台の車が車線を、片手で数えられるほどの人数が歩道を歩いているのが目に入る。
特筆すべきようなことはなく、いつもの平和な光景が広がっているだけだった。
とてもではないが、同じ町内に隕石が落ちたようには見えない。
──実行犯が何か言ってますね……。
オウランの突っ込みは無視するとして、本当に平和な光景だ。
近くを通った公園では走り回り遊んでいたりしていた小学生、その横で話し合っている保護者たち……はどこか不安そうにしていたが、それでも変わらぬ日常が繰り広げられていたことに変わりわない。
──なんでこんなモノローグみたいなのをやってるんですか……。
そりゃ、暇つぶしにだよ。
──そう。
聞いてきたのに興味なさそうに返事するなよ……。
泣きたくなるだろ。
── ……
流しやがった。
そんなことを頭の中で話している間に、スーパーの前まで来た。