普段はない発見
これにてこの章は終わりとなります。
「最近、急に現れてどんどん名を上げてる冒険者のことを知ってるか?」
そんな言葉が私の耳に入ってきた。
よくあるような話だった。ここは冒険者協会の建物のため、今みたいな話の他にも誰々が何々といった話も毎日のように聞こえてくる。
その大半が誇張し過ぎたものだったりするので、今回も似たようなものかと思いながら私は依頼板を視ていたが、どうやら違ったようだ。
「知ってる。なんでもまだ成人してないのに最終個体並みの強さを持つ魔物を単独で倒したって話だろ?」
「その実績も認められて、なんでも最年少の魔神鋼鉄級階級になったって噂だぜ」
「そいつは流石に嘘だろ」
「噂で聞いたから俺もしらねぇよ。ただ、最終個体の単独撃破。その最終個体がどんな魔物のあれなのかは知らないが、ものによったら…」
「その単独撃破は魔神鋼鉄級階級になってもおかしくないほどの功績でもあるってわけか」
「俺の予想ならな」
ついつい、話の方に集中してしまった。
所詮噂話。信じるに値しないと一瞬思ったが、もしその最年少の冒険者とやらが魔神鋼鉄級階級ならば何かしらの秘密は絶対にあるはずだ。
第一に頭に浮かんだのはやはり、魔眼の存在だった。
魔眼の中にはとてつもない能力を持つものもある。例えば神話に登場するような破壊の魔側であったり、英雄ステロスに与えた雷光の魔眼であったりだ。
もし、その冒険者が魔眼を持っているとするならばいったいどんな魔眼なのか興味が湧く。
もっと詳しい内容があったりすれば、それから推測はできたかもしれないが特になさそうだ。
次に浮かんだのは才能。神様に愛されているとしか思えないほどの才能の塊の場合だ。もし、これの場合なら魔眼適性もある可能性が高い。
どちらにせよ可能であるならば一度はその噂の冒険者とやらにお会いしてみたいものだ。
それはさておき、今日はどんな依頼を受けようかと考えていたが……
「どれも興味を引く依頼はありませんね」
あったとしても今の私では階級が足りなくて受けれない依頼ばかりだ。他には、護衛依頼と救助依頼ばかりで内容と報酬もあまりよろしくないものばかりだった。
「今日は休みとしますか」
こればかりは仕方ない。けれど、最近は連日依頼を受けていたからこういう休みは久しぶりだと感じた。
とは言ったものの、何をしようか。
「適当にぶらつくとしますか」
案外知らなかったことを知れたり意外な発見があるかもしれないからな。
そう思っていると何やら騒がしい声が聞こえてきた。
「英雄ステロス様だ!」
「英雄様!うちの商品を見て行きませんかぁ!」
「はぁ……とても凛々しいお方」
誰が騒ぎの中心となっているのかすぐに分かった私はそちらの方へと向かう。
そして、向かってみると案の定のそこにいたのはステロスだった。
英雄となった彼の姿はあまり変わらない様子だ。けれど、周りはある意味変わってしまって大変そうだ。
こうなってしまった原因の一つとして私ーーアイズとしての私ーーがいるのだけれど、両者同意の上とはいえ結果的に大変そうな思いをしている彼を見て、少し申し訳ない気持ちになった。
「頑張って下さいね。英雄、様?」
誰にも聞こえないようにそう呟いた私は人の波に飲み込まれる前にその場を後にした。
普段では無い出会いだったのは確かだ。
依頼を受けている時はタイミングが綺麗に合わないのかシアメルとしての私ではステロスと出会った機会が少ない。
こういった体験もある種の発見と言えるのだろうか?
次なる発見を目的に私は歩き続けると今度は二人の少年少女が向こうから小走りで走っていた。
人が少ないとは言えないこの空間で誰にもぶつかる事なく動けるのは子供だからこそというものもあるだろうが、慣れているからという方が大きいからなのか?
どこかで見たような髪型をしているなと思ったが、見知った顔だった。
確か、数日前の救助依頼で依頼してきた女性の子供達だったはず。依頼を終えた後に遊んだり話したりと色々した。
普段はああいったふうに遊んでいるのか?と思っていると二人のうち、少年の方がこちらに気付いて少女に知らせる。
両方とも私に気付いたので、手を振ると二人はこちらに駆け寄ってきた。
「シアメルお兄ちゃんだ!」
「奇遇ですね、二人とも。元気でしたか?」
「うん!シアメルお兄ちゃんも元気?」
「元気ですよ」
私には兄妹はいるが全員上だったため、お兄ちゃんと呼ばれると少し違和感があるが同時に嬉しくも感じる。
兄というのはお兄ちゃんと呼ばれるとこんな気分になるのだろうか?それとも、二人とも幼いからだろうか?
そんな今はどうでもよい事を考えていると少女の方が腕をチョンチョン…としてきた。
「シアメルお兄ちゃんは何をしているの?」
「今日は休みで、のんびりと歩いているんですよ。そして、偶々あなた達二人を見つけたところです」
「また遊んでくれる?」
「もちろんですよ」
「っ、なら今から」
「ダメだよ、だって今はおつかいの途中だから遊んでちゃ怒られちゃうよ」
私の返答に嬉しそうな表情をした少女だったが少年がそう言うと、一瞬にして悲しそうな表情に変化してしまった。
適切な言葉をかけないと泣き出しそうだ。そんな表情だ。
「また後で遊びましょうね。でも、先にやるべき事を終わらてからでないとダメですよ?その後ならいくらでも遊んであげますから」
「ほんと?」
「えぇ、嘘はつきませんよ」
「うぅ……分かった。約束」
「はい、約束です」
遊ぶのも良いけれど、先にやるべき事を終わらせてからの方が精神的にも楽になってよりいっそう楽しめるからな。
「いいなぁ、俺も遊びたい!」
「もちろんいいですよ」
「なら俺も約束!」
「えぇ、約束です」
仲間外れなんてしない。これが原因で兄妹中が悪くなられても嫌ではあるからな。
約束を交わしたあと、二人は私と遊ぶためかおつかいを済ませに向かった。
まさかこんな短期間で二度も発見があるとは思いもしなかった……やはり救助依頼等で住民達と交流し、時には交友関係を結ぶとこういった事が多くなるものか。
「さて、と……次はどんな発見がありますかね」
何かを学べるかも知れないし……何よりも楽しいと感じている私がいる。
まだまだ太陽は登っている最中だ。時間はある。
次なる発見を目指して私は大南国ウェズレアを一日中自由に歩き続け、様々な発見をすることが出来た。
そして、翌日……息抜きを終えた私がいつも通りに依頼を受けて完了をした時、冒険者協会の職員からこう伝えられた。
「おめでとうございます!シアメルさん、階級昇進です!」
とうとう私の階級が鉄級から銀級階級に上がったようだ。
受けれる依頼の数が増えた事や成長したことへの嬉しさもある。だが、それよりも目的を達した……つまり、この国を出発する時が来たか。
次はどこに旅をするとしようか。
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前書きでもお知らせしたようにこれにて、この章は終わりです。
メインの章ではないので適当な日常系を送っているとかそんな感じの章ですので。まぁ、メインじゃないと言っても一応は物語としての一つの章です。特別編とか、時空を無視したあれこれではないです。
近々、この物語に登場するキャラクターや一部設定を纏めた話を第一話より前に差し込もうかと考えていますが、まだ決まっていません。もし、出すときはお知らせします。
では、次の章で。




