表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子書籍化決定 地獄劇  作者: ラツィオ
178/197

17章 かつての天使界 7話

 次の日の午前。


 その日はシャーディッヒの剣の稽古の時間だった。


 (てん)使()(せい)(かい)の片隅にある広場にイエスや隊長クラスが二人、一般兵が九人が集まり、見届け人となっていた。


 シャーディッヒは西洋の剣のレプリカを握り待ちわびるように佇んでいた。


 身体を動かすのはシャーディッヒに取っては良い気分転換にもなっていた。


 そして、相手は……スザクだった。


 スザクはしっかりとプレートアーマーが装備させられていた。


 手にしているのはレプリカの槍。


 「では双方、前へ」


 審判役の一般兵が声を上げる。


 そして、シャーディッヒとスザクは前へ出る。


 各々が独自の構えを取っていた。


 シャーディッヒには実戦形式の稽古がつけられる。


 緊迫した空気が周囲を満たしていく。


 「……始め!」


 両者の戦いの準備が整った事を確認した審判役の兵士が重々しい空気を匂わせながら合図を出した。


 先に仕掛けたのはシャーディッヒだった。


 上段斬りをし、それを槍で受け止めるスザク。


 スザクはその剣を押しのけると、槍で薙ぎ払ってくる。


 透かさずシャーディッヒはバックステップで後退し避ける。


 すぐさま反撃に出るシャーディッヒ。


 その二人の接戦に、イエスは心配そうな表情で落ち着かない様子だった。


 もしもシャーディッヒに万が一の事があればどうしたらいいのか? と不安で仕方なかった。


 そもそもイエスは、シャーディッヒに剣の稽古をさせる事自体、乗り気ではなかった。


 だが、シャーディッヒの熱望により、イエスは重い腰を上げるたのだ。


 二人の力は拮抗していたように思えたが、突如、別人のように動きが変わったスザクは、槍でシャーディッヒの服を斬った。


 レプリカの槍が服を斬った事により、驚愕するイエスは、シャーディッヒの元に走り出した。


 ただ事ではない事が起きる、と直感していたのだ。


 そして、服が斬られた事で動揺したシャーディッヒは尻餅を着いてしまう。


 完全に戦闘続行が不可能なはずなのだったが、スザクは攻撃を止めず、シャーディッヒの心臓目掛け、槍で突き刺そうとしてきた。


 しかし、間一髪の所で、イエスはスザクを突き飛ばした。


 気が動転していたシャーディッヒは呼吸が乱れる。


 「シャーディッヒよ! 大丈夫か⁉」


 「え、ええ」


 イエスは、すぐにシャーディッヒの元に駆け寄り安否を気にする。


 シャーディッヒも少しずつ落ち着きを取り戻してきた。


 「貴様! その槍は本物だな! ましてや戦える状態でなくなったシャーディッヒを突き刺そうとは! どういうつもりだ⁉」


 眉間に皺を寄せ、スザクにまたがり両肩を強く握りしめ激怒するイエス。


 「も、申し訳ございません! 戦っている内に私もヒートアップしてしまい、それにこの槍は一般兵から譲り受けた物なので、私にも身に覚えがありません」


 イエスの気迫に気圧されながらもでたらめを口にするスザク。


 スザクは予め、レプリカと本物の槍を入れ替えていた。


 「シャーディッヒ様。念のため医務室に向かいましょう。神よ、どうかこの大役を私に任せて頂けませんか?」


 「ああ、頼む。私は本物とすり替えられていたか詳細を確認してくる」


 イエスにそう申し出た一般兵にイエスも承諾する。


 「では参りましょう」


 「ありがとう」


 一般兵が先導し、シャーディッヒは後続していく。


 だが結局、いつ本物とすり替えられていたのか分からず、この件は保留と言う結果になってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ