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電子書籍化決定 地獄劇  作者: ラツィオ
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10章 明かされる真実と記憶 9話

 ジェイルは、取り合えず話を聞いてみよう、と警戒しながらテーブルに向かった。


 「さて、君が夭折(ようせつ)した事については本来なら悲しみ嘆く所だが、今は時間がない。君がここに滞在できる時間は限られている。なので勝手ながら本題に移りたいと思う」 


 椅子に座るや否やナヌアはゆったりとした表情で話を進める。


 ジェイルは、何の事か? と首を傾げる。


 「と、その前に、何故私が君の事について詳しく知っているのかを言っておこう」


 「‥‥‥ああ」


 ジェイルは、何を言われるのか? と動揺しながら少し間を置いて軽く頷く。


 「私は全眼(ぜんがん)と言う目を有している。それは現世と幽界の地の全てを見通する目だ。だが安心したまえ、視認できるだけであって、声や物音の音声は一切きこえない」


 ジェイルは驚きその場でナヌアから目線を逸らし、本当かどうか思案する。


 そもそも視認されている時点でプライベートの侵害であり、犯罪行為なのだが、ジェイルはそんな事など気にも留めず、ただ人類が持ちえないナヌアの『能力』に疑念を持っていた。


 「信じられないかね? ならば君が当時六歳の時に自殺した父親についての経由を話すと言うのはどうだろう?」


 それを聞いたジェイルは飛び跳ねるように驚いた。


 「ちょっと待ってくれ! て事は親父の会社で製品された電子レンジに爆弾を仕掛けた奴の事も知ってるんだな⁉ それに俺を殺した奴も⁉」


 思わず立ち上がりながら、声を張り上げるジェイル。


 しかし、ナヌアはそんなジェイルを前にしても表情は一切変わらない。


 「もちろんだ。ただしそれを教えるには条件がある」


 「‥‥‥何だ。その条件てのは?」


 ジェイルは鋭い目をナヌアに向ける。


 すると、ナヌアは急に真剣な表情に切り替わる。


 「‥‥‥君に現世と幽界の地を救って欲しい」


 「何だそりゃ?」


 突拍子(とっぴょうし)も無いナヌアの発言に思わず呆けるジェイル。


 「そのままの意味だ。ある男が幽界の地で力を蓄え、全てを掌握(しょうあく)しようとしている。それも()(ろう)な思考で。そのために最後のマキナの姓を持つ君が全てを救う鍵なんだ」


 真摯な姿勢で話すナヌアにジェイルは真実なのかどうか、困惑してしまう。


 「俺が全てを救う鍵?」


 「まあ、こんな途方も無い言葉は君を困惑させても仕方ないだろう。だが、今この場で受け入れなければ、全てが破滅の道を余儀なくされる」


 ナヌアが冗談で言っていない事を感じたジェイルは真剣に考える。


 自分が現世で殺された事は確かに記憶し、今この見知らぬ自然界と言う地にいる。


 死後については誰もが知りえない(ことわり)の大地にジェイルは確かにそこにいる。


 そして、ナヌアはその理の大地にいる人間?


 その人物の言葉を無視するのは軽率なのかもしれない。


 しかし、ナヌアの言っている事が仮に本当だったとしても、爆弾の件や自分を殺した相手の事を知った所で、どうすればいいのか? とジェイルは悩み続ける。


 「君を生きかえさせる条件も()()すると言ったらどうかね?」


 悩み続けるジェイルに追い打ちをかけるようにナヌアは、ふとそう言った。


 ジェイルは驚いた表情をナヌアに向ける。


 「それは本当か⁉」


 ナヌアは軽く頷く。


 「何か夢があるならば、叶えるチャンスだ」


 陽気な表情でナヌアがそう言うと数秒間、ジェイルは沈黙し俯き思案する。


 「‥‥‥そうだな。今までの人生、最悪な事ばかりだった。せめて家庭を持って人並の幸せが欲しい」


 ジェイルは生前、親子の姿を(せん)(ぼう)の眼差しで見た記憶が脳裏を過る。


 心残りがあるような憂鬱(ゆううつ)な表情でナヌアに吐露(とろ)するジェイル。


 「その言葉を恥じる事は無い。君の夢は誰しもが叶えられる事が許される人として当然の権利だ」


 その憂鬱(ゆううつ)な表情を少しでも晴らしてあげよう、とナヌアは優しく言葉をかける。


 「で、どうするかねジェイル君。私も君の夢が実現して欲しいと願う一人の他者としては、是非ともこの条件を(しょう)(だく)してもらいたい」


 両手を組みながら肘をテーブルに付け再び真剣な表情になるナヌア。


 「‥‥‥分かった」


 悩みに悩んで答えを出したジェイル。


 「ならば早速、話すとしよう。君がこの先、辿る幽界(ゆうかい)の地の伝承と、成すべき事を」


 その後ナヌアは、ジェイルに地獄と(てん)使()(かい)生者(せいじゃ)の血についての詳細を詳しく話してくれた。


 しかし、これらは既に(きょ)()の世界に送られたジェイルが本来既知していたはずの情報だった。


 そして、話はブルンデに刻まれていた文字が傷つけられたカ所の真実についてだった。


 「(せい)(じゃ)の血の造血?」


 「そうだ。(てん)使()(かい)に住む(おん)(けん)達一千人の血で(せい)(じゃ)の血を造血する事が出来る。当然の事ながら代償としてその者の命は露と消える」


 この時点ではジェイルにとって人が生き返れる事自体がおとぎ話にも聞こえていた。


 意識を集中させ生唾を飲み込みながらナヌアの話の続きを黙って聞くジェイル。


 「そして(じゃ)(しん)の血は地獄の人間、十人程度の命で造血が可能だ。まあ方法の過程は君に教える気はない。その理由は言わなくても分かるだろう?」


 ジェイルにはナヌアの意図は伝わっていた。


 造血の方法は(のち)にオキディスから聞いて知る事になるジェイル。


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