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伊藤博文暗殺の謎  作者: やまのしか
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満鉄①

伊藤博文暗殺事件は謎が多い。

大野芳氏が2003年に「伊藤博文暗殺事件」を書いているが、そこで語られている内容は、

「室田義文翁譚」の「伊藤博文に当たった銃弾は安重根の弾ではない」との記述が肝となっている。

そこで導き出される結論は、安重根は所謂ダミーにすぎないという、大変興味深い結論になってくる。


室田義文は伊藤博文に同行した貴族院議員で、ハルビン駅では流れ弾を5発も受けた。

彼は早くから安重根以外の真犯人の追求を主張していたが、ソビエトとの外交問題に発展することを気にする山本権兵衛内閣から、安重根以外の真犯人説にストップがかかった。


伊藤博文暗殺30年後に書かれた「室田義文翁譚」では、

安重根は伊藤博文の正面4mからしゃがんだ姿勢で撃ったと書かれている。

実際、伊藤博文に当たった銃弾は、斜め上からのもので、そこにはハルビン駅2階の食堂があった。


伊藤博文暗殺に使われた銃はブローニング7連発で、現場では合計13発もの銃弾が確認されている。

それが30~40秒の間に打たれていた。

どう考えてもこれは安重根以外にも複数の狙撃主がいることを示している。


伊藤博文の体には3発命中弾があり、医師の診断書では銃創は右肩から2発、肩から足に向かっていた。


摘出された弾丸は安重根のブローニングのものではなく、当時フランス騎兵が使っていたカービン銃のものであった。

もうこれだけで安重根は犯人に仕立てあげられたダミーである事がわかる。


問題は黒幕だが、大野芳氏は、右翼と軍部説を取っている。

 

大野氏は伊藤博文が朝鮮併合の障害になったから暗殺されたのだと主張する。

伊藤博文は朝鮮併合には反対だったからだ。

私は伊藤博文が軍部と徹底的に対立していた所が気になる。

南満州鉄道における運営方針である。


軍部のバックには南満州鉄道がある。

石炭や鉄鉱石が取れる満州で重工業産業に投資したい大資本がいる。

伊藤博文はこの南満州鉄道を維持する莫大なコストに反対していた。

国際社会では日本による満州権益の独占が非難されていた。

米国の鉄道王ハリマンは資本参加を申し出ていた。


さて、それでは一番重要な、この満鉄と伊藤博文の関係から掘り下げてみよう。


南満州鉄道は日露戦争終結後、1905年に締結されたポーツマス条約によって、

ロシア帝国から大日本帝国に譲渡された東清鉄道南満州支線

(長春・旅順間鉄道)のことである。


支線を含む鉄道事業および付属事業を経営する目的で、

1906年に設立された特殊会社が南満洲鉄道株式会社である。


南満州鉄道株式会社は大蔵大臣が50%の株式を所有する半官半民の国策会社であり、南満州において鉄道運輸業を営み、日本の満洲経略における重要拠点となった。略称は「満鉄」という。


本社、関東州大連市東公園30(現中華人民共和国遼寧省大連市)

設立1906年11月26日である。


総延長約1,100キロメートルとそれを含む鉄道事業、および付属事業を経営する目的で、作られた満鉄は、撫順炭鉱および煙台炭鉱も併せて経営し、各鉄道駅前などに設定された鉄道附属地において都市経営と一般行政(土木・教育・衛生)を担うなど広範囲にわたる事業を展開した。


1904年5月、日露戦争もまだ序盤の段階で、黒木為楨率いる第1軍が鴨緑江を渡って進撃しているとき、当時参謀次長であった児玉源太郎が、陸軍奏任通訳であった上田恭輔に対し、イギリス東インド会社について調査するよう依頼した。


上田の回想によれば、これは元々後藤新平が言い出したことを台湾総督府における彼の上司であった児玉が取り上げたものだったという。


つまり満鉄経営は後藤新平の発案、児玉源太郎設計の東インド会社をモデルにした植民地経営を目的とした国策会社なのである。


日露戦争中、児玉源太郎が献策した「満洲経営梗概」にこうある。

〃戦後満洲経営唯一の要訣は、陽に鉄道経営の仮面を装い、陰に百般の施設を実行するにあり〃・・・と。


ようするに、「百般の施設」によって、日本の植民地経営を具体化していくための組織であった。


満鉄は鉄道経営に加えて満洲の、

・農産物を一手に支配し、

・炭鉱開発(撫順炭鉱など)、

・製鉄業(鞍山製鉄所)、

・港湾、電力供給、牧畜、ホテル業(大連・旅順・奉天などのヤマトホテル)、

・航空会社など、

多様な事業を行なった。


同時に鉄道付属地の一般行政を把握し、地域の土木・教育・衛生事業を展開し、

徴税権をも行使し、一企業の権限を大きく越えた南満州地域の一大拠点となった。


こうして満鉄はその影響力の巨大さから「満鉄王国」「満鉄コンツェルン」と称されるコングロマリットへと成長した。



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