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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第一章 管理人のお仕事
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第八話 採集システム案

「なになに? 早く聞かせてよ!」


 ララの顔に笑顔が戻った。

 そんなに期待されても困る……。

 できるかどうかはドラシー頼みなんだし。


「タグの取り付けもそうだけど、出口でのタグ付き持ち物の確認作業もできれば人の手は使いたくない。でもタグのアイデアはいいと思う」


「ふむふむ、でどうするの?」


「まず、薬草の栽培は冒険者が立ち入りできないエリアで行う」


「「?」」


 二人がなに言ってるのコイツみたいな目で見てくる。

 俺も半分思いつきで話してるからそんな目で見ないでほしい。


 その後も俺は二人を気にすることなく、自分の中でも曖昧だった考えをまとめながら説明を続けた。


 ①栽培エリアで成長した薬草を採集する

 ②採集した薬草にタグを付ける

 ③薬草エリアにタグを付けた薬草を設置する


 このように説明したつもりだったが二人の顔は相変わらずだったので、自分の説明が足りていないことに気付き慌てて言葉を付け足す。


「冒険者が採集する薬草エリアには予め魔力で作った葉のない薬草を設置しておくんだ。その葉があるはずの部分にタグ付きの薬草を取り付ける形にする。この採集から設置までの作業の全てを魔物にやってもらう」


「「……」」


 まだ言葉が足りてないか?

 そうか、なぜこんなことをするのか理由が不足してるんだな?


「栽培エリアを別に設けることによって薬草を一括管理できるようにするんだ。そうすることで採集からタグの取り付けまで一か所でできるようになる。タグを持ち歩きながらかつ成長した薬草を探しタグを取り付けていくのは少し手間がかかりそうだろ? それにまだ小さな薬草や薬草本体ごとを持っていかれたり、無茶な採集で傷つけられるのを防げる。実際に魔物が薬草エリアで行うことは魔力で作られた薬草本体にタグ付き薬草を設置するだけだ。タグ付き薬草と薬草本体は魔力で引っ付くようにタグを工夫して作れないかな? これなら最初から薬草の設置数を把握しておけるし、魔物でも作業がしやすいと思うんだが」


「「……」」


 あれ?

 やっぱりなにかおかしいのか?

 ……もう少し付け足してみるか?


「もちろん魔物一体で全てをやらなくてもいい。今後のことを考えると、採集、タグ付け、設置でそれぞれ班を設けて流れ作業にすることも考えられるな」


「「……」」


「……タグ設置に関してはこんなところなんだけど、どうかな? タグを付けるときに状態保存のような効果をかけれたらなおいいと思うんだけど」


「「……」」


「そうだよな、急に思いつきで話されても困るよな。まぁこれは一つの案ってことで頭の片隅にでも入れておいて。で、制限対策についての案のほうもいいかな?」


「……えぇそうね、ぜひそちらも聞かせてほしいわ。ねぇララちゃん?」


「え? う、うん」


 俺はよっぽど見当違いのことを言ってしまったのか?

 まぁいい、次の制限対策はタグ付けの方法とは関係ないからさっきとは全く別のことと思ってくれるだろう。


「じゃあ制限対策についてだけど、これはダンジョンの受付時に採集するための袋を各冒険者に渡す」


「袋?」


「あぁ、ただしこの袋は魔力で作ったもので、袋の入口を通ったタグをカウントできるようにする。カウントすると同時にカウントされたタグは魔力が解除され薬草から取り外されるようにする。取り外されたタグを取り出すことはできないが実物はその時点から取り出せるものとする。タグは取り出せないからもちろんカウントはされたままね。制限を超えて袋に入れようとした場合は弾く設定にしておく。そしてダンジョンを出るときに中身の実物だけを持っていってもらい、袋とタグは回収箱でも置いてそこに入れてもらおう。万が一袋ごとこのエリアから持ち出したときには消滅させることになるけど、その場合は罰金の可能性があるって予め説明しておけばなんとかなるだろ」


「「……」」


 ……え? これもダメ?

 こっちは結構自信があったんだけどなぁ。

 それともまた説明が足りてないか?


「……確かに初期投資として袋の作成には魔力がかかると思うよ? タグをカウントする機能がどれほど魔力が必要かはわからないけどさ。タグも薬草の種類や果実の種類ごとに違うタグを作っておけばそれぞれの種類に応じた制限をつけられると思ったんだけど、そんな簡単にはいかないのかな? あっ、袋の中身を異空間にして質量を感じさせないようにしたら嬉しいかもね。魔力でできない?」


「「……」」


 ……反応なし。

 所詮俺なんてこんなもんだよ?


 後はララに全て任せてもう今日は寝よう。

 あっ、昼飯食べてないのに、もうすっかり外暗くなってきてるじゃん。

 そういや、シルバは帰ってきたか……いた。

 ソファの上で頭にピピを乗せて寝そべっている。

 お腹空いたなぁ。

 ララに唐揚げ作ってもらうつもりだったがララも疲れてるだろうし簡単なもんですませるか。


 俺は完全に本日の営業は終了しました状態に入っていた。

 とここでララとドラシーの二人が顔を見合わせ久しぶりに言葉を発する。


「ドラシー、できないことはある?」


「ないわ、ララちゃん」


「次の定休日に地下一階部分のみを改装しようと思うけどできる?」


「大丈夫、できるわよ」


「じゃあ栽培エリアの設置と薬草の栽培開始だけど、これは地下一階じゃなくてもいいんだからいつでも可能よね? 明日できる?」


「そうね、初めは量も少ないでしょうし、新しい階層としても一部のエリアとしてでもどうにでもなるわ。明日やりましょう」


「タグの状態保存なんだけど、一度使用したタグを回収してもう一度使う場合でも状態保存はかかるの?」


「ずっと状態保存を維持するのには魔力がかかるから、タグが付いてる間だけ状態保存がかかるようにしてみるわ」


「了解。じゃあタグ作成と袋作成も順次行っていくということで。これにて今日の会議は終了したいと思います」


「はい、お疲れさまでした」


 ……なんか上手くまとまった感じで終了したけど?

 え? 俺の意見が採用されたってことか?

 質問すらなかったけど、どうなってるの?

 もしかして二人とも投げやりになった?

 俺が楽したいばかりに考えた適当な案を独りよがりに一方的に説明し続けたから愛想をつかされ辟易として会議が打ち切りになったのか?


 どうしたもんかと頭を抱えていると、その場の片づけを終えたララが立ち上がった。


「お兄、唐揚げでいい?」


「え? うん?」


 ララはにっこりと微笑んだ。


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