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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第四章 武器と防具と錬金術
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第七十八話 防具屋偵察

「じゃあ次、防具屋についてな。正直これについては思いついたばかりでなにも計画が浮かんでいないからみんなも考えてくれると嬉しい」


「うん! 武器屋があるんなら防具屋もいいと思うよ!」


「はいなのです! オシャレなローブ欲しいです!」


「ん、鎧なら私も作れるから」


「……私にできることあるでしょうか」


 うん、活気があっていいね!

 さっきまでの空気とは少し違うな。

 そう感じるのは俺だけかもしれないけど。


「そもそも防具のメンテナンスなんてやってるのか?」


「う~ん、私は洗ってるだけかな。防具というか普通の動きやすい服だしね。ボロボロになったらお兄が買ってきてくれるし」


「私も洗うだけなのです! 破れてもほったらかしなのです!」


「ん、鎧の修理依頼ならたまにくるよ。ただ少し表面を削ったりする程度かな」


「……外行くときはいつも同じ服です……というよりそれしか服持ってないです」


 そうか、鍛冶屋は鎧の修理もやるのか。

 まぁ鉱石を使ってる鎧なら鍛冶屋に頼んで当然か。

 他の三人は防具に全く興味がないようだな。

 ララなんて普段着でダンジョン入ってるからな。

 ユウナとカトレアもいつも同じローブだ。

 みんな自分のこととなると無頓着すぎるな。


 ……ん?


「アイリスさん、さっき鎧も作れるって言いました?」


「ん、もちろん。鍛冶屋が作るのは武器だけじゃないからね」


 なんと!?

 武器も作れて鎧も作れるなんて最強じゃないか!

 これで戦士用の装備は完璧も同然!


「でもさすがに武器も鎧も作るとなると大変。私一人じゃ無理」


「……そうですよね。まぁ防具はまだ計画段階ですから」


 これ以上忙しくさせるのは控えよう。

 いなくなってからでは遅い。


「鎧は修理できるとして、それ以外の装備品はどうなんだろう? 例えばいつも着てるローブが破れたら冒険者たちはどうしようとするんだろう?」


「ローブは分厚いし、少し高いからね。よっぽどひどく損傷してない限り縫ってまだ着ようとするんじゃないの?」


「後衛だから魔物から直接攻撃を受けることが少ないのです! だから長持ちするのです!」


「「……」」


「やっぱりダメージを受けるのは前衛が多いか。となると鎧が多いんだよな? 武闘家の人たちは軽くて薄い動きやすそうな服着てるけどあれはどうなんだ?」


「戦士は攻撃を受けてなんぼだからね。武器でガードしたり、盾で防いだり。武闘家の人は素早さを優先してるからね。敵の攻撃も回避することを前提にしてるんだと思う。私は盾は重くて邪魔だから剣でガード派だけど」


「破れたところを縫っても縫い痕は残るのです! それもカッコ悪いしどうせなら新しいの着たいのです! でもお金なくて買えないのです……」


「「「……」」」


 俺とアイリスさんとカトレアは戦闘タイプじゃないのでなかなか話には入っていけそうにないな。

 職業ごとに違うみたいだから、一度冒険者たちの声を聴いてみたほうがいいのかもしれない。


「とりあえず鎧関連の修理は鍛冶工房でするとして、他の防具に関しては新調する場合が多いと考えたほうがいいか。となると防具屋のメンテナンスの話はなかったことになるけどいいよな?」


「「意義なし!」」


「「……」」


 じゃあ防具屋を開くにはどうしたらいいんだ?

 鎧はアイリスさんに任せるしかないとしても数は量産できないしな。

 そもそも普通に売ってる服と防具屋の服はどう違うんだ?


「防具屋で売ってる服は頑丈なのかな? 破れにくいとか? 普通の服とは違うんだよな?」


「「「「……」」」」


 誰も答えない。

 ……みんな知らないんだな。


「ん」


「え? アイリスさんどうぞ」


「ん、頑丈なのは合ってると思う。たぶん一番違うところは素材かな。魔物の素材を使ってることも多いし。それに普通の服より稼働領域を大きくしてるんだと思う。あとは何枚か重ねたりしてるのもあるし、魔力が付与されてるのもある」


「「「「へぇ~」」」」


 俺含む四人は納得してしまった。

 だからといってそれ以上の知識がないため、なにを言ったらいいのかわからない。

 ここにいる者は基本防具というか服には興味がないのだ。


「なるほど。やはり専門家に聞くのが一番早いってことですね。明日防具屋に行ってみようと思います。実は入ったことないんです。武器屋もですが」


「ん、私も行こうか? 友達いるし」


「いえ、アイリスさんはここにいてください。偵察がてら一人で行ってみますよ」


「ん、わかった」


 そうだ、俺は防具屋も武器屋も行ったことがないからイメージが湧かないんだ。

 ラーメン屋のことだったらいっぱいアイデア出るもんな。


「じゃあ今日はこのへんで終わりにしよう。明日から忙しくなると思うけど無理はしないように」


 時間も時間だったのでとりあえず今日は終了した。


◇◇◇


「メタリン、ここで待っててな」


「キュ! (はいなのです!)」


 翌日、町の防具屋に来ていた。


「いらっしゃい」


「……こんにちは」


 挨拶だけ簡単にすませ、店の中を見渡した。

 服屋に比べたら店の中は狭いんだな。

 ここは冒険者しか来ないんだから比べても意味がないか。


 まず最初に目についた鎧コーナーから見て回る。

 といっても鎧が数点置いてあるだけだ。

 皮の鎧か、よく見るタイプのやつだな。

 素材はなんだ?

 牛を使ってるのか。

 これは銅か?

 鉄と鋼もあるな。

 見るからに重そうだ。

 こんなの着て歩ける人いるのか?


「すみません、鎧を触ってみてもいいですか?」


「あぁいいよ。重いから気をつけてな」


 店番をしてるおじさんの了承を得て、俺は鋼の鎧を少し持ち上げてみた。

 ……うん、重い。

 少し分厚すぎないか?

 中級者以上はこのくらい軽く着こなせるんだろうか。

 でも確かに頑丈そうだ。

 これならベビードラゴンの攻撃にも耐えれそうな気もする。

 でも全身鎧ってのは少し効率が悪いんじゃないか?

 庇わなくてもいい部分とかないのだろうか?


「これって全身のセット価格ですか?」


「あぁそうだよ。ただし頭は別な。籠手と足装備はついてる」


 鋼の鎧、5000Gと書いてある。


 俺は鎧コーナーを後にし、ローブコーナーへ行く。


 ローブは羽織るタイプと被るタイプがあるのか。

 フードも付いてたり付いてなかったり。

 素材はなんだろう。

 羊て書いてあるけど、羊ってあの羊か?

 価格は……500Gか。

 高いのか安いのかさっぱりわからん。


 こっちは……ダークラビットって書いてある!

 もしかしてウチのダークラビットじゃないか!?

 価格……1000G!

 羊に勝った!

 なんだか嬉しいな。

 でもこれダークラビットのドロップ品を使ってるとしたら四~五匹分くらいは使ってるんじゃないか?

 確か100Gくらいで取引されてたはずだから最低でも原価400Gか。

 作る手間を考えると1000Gが安く感じてしまうな。


 次に軽装備コーナーへ来た。


 武闘家とかの素早さを重視する職や中衛タイプの職の人が着ることが多いのかな。

 ジョアンさんはこういった軽めの服装だった気がする。

 俺の中では3タイプに分かれてるだけだからな。

 ここでいう鎧かローブか軽装の3タイプだ。

 パッと見の形状でしか判断してないからどんな素材だとかどんな柄だとかは気にしたことがない。


 これの素材は……シルクか。

 シルクってなんだ?

 軽くて肌触りがいいな。

 軽装タイプは体へのフィット感を大事にするのかな?

 見た目は完全に普通の服と変わらないが、アイリスさんが言ってたように稼働領域とかは違うんだろうな。

 魔物の素材はどこに使ってるんだ?

 こんなに薄いのに実は全く破れないとか?

 もちろん試したりはしないぞ。

 弁償するのは嫌だからな。


 このスカートなんて町の女性が履いててもなにも違和感ないぞ。

 ズボンは動きやすそうなのしかないな。

 あっ、これはちょっと普段着に欲しいかも。


 次は……インナーコーナーか。


 インナーてなんだよ。

 ……あぁ、中に着る服のことか。

 完全に普通の服だし、これなんて下着じゃん。

 あっ、でもこれは丈夫そうだな……くさりかたびらっていうのか。

 なになに、鎧の下にはこれ! だって。

 なるほどな。

 二重で防御力を高めるのか。


 こっちには靴コーナーか。


 うん、特別これって靴はないな。

 革靴はよく見かけるし。

 ブーツもどこにでもありそうなやつだ。

 素材が違うのか?

 ……そんなこともなさそうだな。

 でもここにもダークラビットを使った商品がある。


 次は兜、帽子コーナー。


 そういやあの双子の兄弟はこの銅の兜を装備してた気がする。

 やはり前衛は防御力を高めてなんぼなんだろうか。

 それにしても重そうな兜ばっかりだ。

 よく首が折れないな。


 帽子は日除けのためか?

 空中からの落下物や雨を防ぐ効果もあるか。

 なぜか魔道士はこの大きな鍔の三角の帽子を被りたがるよな。


 ここで最後か……籠手、グローブコーナー。


 まぁよくある鎧とセットの籠手や皮の手袋がメインか。

 うん、なんか疲れてきた。


 少し休憩してきてまた来ようか。

 色々と話を聞かないといけないしな。


「ありがとうございました。また来ます」


 俺はそう言って店を出た。

 こういう店はなにも買わないと出にくいからあまり入る気しないんだよな。


 なんて考えながらメタリン馬車へ乗り込もうとしたそのとき……


「ロイス君ですよね?」


 知らない女性から声をかけられた。


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