第六百八十六話 マスターシファー
依頼内容:マーロイ大陸Dランク魔工ダンジョン討伐
達成条件:水晶玉の入手(※1)
報酬 :20万G
受注可能:Eランク以上
期限 :依頼を受諾してから二十日以内
備考 :食料、回復アイテムなどは各人でご準備ください
水晶玉を入手できなかった場合は船の利用料金を頂きます(※2)
船と操縦士が必要のない場合は報酬を上乗せします(※3)
馬車セットの貸し出しも別料金にて承ります(※4)
※1 当方にて、水晶玉の内容を確認後にFランク以下の魔工ダンジョンと判断させていただく場合がございます。
その場合は報酬が少なくなりますのでご了承ください。
※2 利用料金は1万Gとなります。
※3 報酬は22万Gとなります。
※4 貸し出し料金は2千G~となります。
料金は馬車の大きさや馬の頭数で変動します。
なお、馬を死なせた場合は罰金をご覚悟ください。
Dランク魔工ダンジョンとは、少し前まで中級魔工ダンジョンと呼んでいたものだ。
最深階層にいる可能性のあるマグマドラゴンはDランク相当ではあるが、ウチのEランク冒険者たちは十分に対処できると考え、Eランクでも討伐可能なダンジョンに指定した。
というかウチの地下四階の中盤以降の設定ランクをDランクと改定したほうがいいのかもしれないが。
でもそうなると冒険者ランクもDにしないといけなくなるわけで、まだそこまでは色々と準備ができてないんだよなぁ。
まぁそれはいずれ考えることにしよう。
どうやらダンジョン酒場では、今俺が見てるEランク向けの依頼ではなくFランク向けの討伐依頼の説明が終わったようだ。
「以上がFランク魔工ダンジョン討伐の依頼内容になります。なにかご質問は?」
「船は何日後に来てくれるのでしょうか?」
「十日後と二十日後の二回です。十日後は指定時間から一時間お姿が見えなければ帰ります。二十日後は二時間以内にお見えにならない場合は死亡したものと判断し、そのまま帰ります。こちらから探しに行くことはいっさいありません」
「「「「……」」」」
Fランクパーティの四人は黙ってしまった。
「キミたちには荷が重いと思いますよ。Fランク魔工ダンジョンは以前にだいぶ討伐されていますので数が少ないはずですし。でも行きたいと言うのであればとめはしません。それが冒険者のロマンでもありますから」
「……いえ、今回はやめときます。ありがとうございました」
四人は肩を落として酒場を出ていった。
報酬の金額に釣られて話を聞きに来るFランクパーティが絶えないんだよな。
でもマーロイ大陸の現状を聞いてやめる人がほとんどだ。
Fランクパーティでは魔工ダンジョンを探すことすら難しいだろうからな。
ちなみにFランク魔工ダンジョン討伐の報酬は8万G。
依頼を受けることができるのはFランク以上で、期限は同じく二十日以内、船が必要のない場合の報酬は9万Gに設定した。
船を自分で用意できる人なんてまずいないだろうけど。
Dランク魔工ダンジョン討伐の依頼を受けた人がこのFランク魔工ダンジョンを討伐してきた場合でも報酬を貰うことは可能だ。
でももし発見した場合でもFランクの人たちのために攻略しないでほしいとは言ってあるが。
その場合はダンジョンの場所などの情報提供料を別に渡すことにしている。
……ん?
あれ、どこ行った?
トイレか?
冒険者相手に説明をしていた人物が突如として画面から消えた。
「ロイス君いる~?」
と思ったらウチの転移魔法陣部屋に転移してきたようだ……。
居留守を使おう。
「あ、いるじゃん。なんで返事してくれないの?」
と思ってたらずかずかと管理人室に入ってきたではないか。
もう夜でとっくに営業は終了してるのになぜ俺がここにいるとわかったんだ……。
「……まだ仕事の時間じゃないですか? なにかありました?」
なにを言われるかわかってはいるが、知らないフリをして聞く。
「ここにいるってことは今見てた? ……あ、やっぱり見てたよね?」
画面を消すのを忘れてた……。
「やっぱりFランク魔工ダンジョン依頼の募集ランクもEランク以上でいいんじゃない? Fランク冒険者じゃ外を歩くのすらこわがる人たちばかりだし。それに報酬の額を考えたら八人とかじゃなく四人で受けようとするパーティばかりだしさ」
「ベネットやナポリタンの町付近だとFランクでも十分に対応可能な敵だと思うんですけどね」
「それはもう何回も聞いたって。……あ、もしかして私の説明が悪いとか思ってる?」
「違いますって……。シファーさんは完璧です。文句のつけようがないマスターですよ、はい」
「バカにしてるよね……」
「してませんって」
「マスターって呼ぶのはやめてよ。バーにいるネッドさんもマスターって呼ばれてるし」
「酒場内のカウンターの中にいる人はみんなマスターなんです」
「やめてって。怒るよ?」
「すみません」
「とにかく、募集ランクはEランク以上に変更するからね? いいよね?」
「う~ん、じゃあせめて、EランクパーティがいっしょならFランクパーティでも受注可能ってことにしましょう」
「あ、それいいかも。じゃあそうするね。それとさ、ダンジョン酒場を開放感がある空間にしたいってのはわかるけど、依頼に興味ないのにカウンター近くのテーブルでお酒飲んでる人たちを早くどうにかしてくれない?」
「もうすぐ改築しますからそれは待ってくださいって。今手狭なのは多少は仕方ないんですよ。それにシファーさんが人気ある証拠じゃないですか」
「そういう人気はいらないの。私だって真剣に仕事してるんだからね?」
「わかってますって……。地下五階の実装に合わせて色々とアップデートしますから」
「絶対だよ? 本当に話を聞きたい人たちがもう少し真剣に依頼と向き合えるようにしてよね?」
「わかってますとも」
「……別に怒ってるわけじゃないからね? じゃあ戻るね」
ようやく管理人室から出ていってくれた。
怒られてる気しかしなかったな……。
でも意外と言っては失礼だけど、思ってた以上にちゃんと仕事してくれてるのは事実だもんな。
まさかシファーさんが依頼所の仕事をやりたいなんて言うとは誰も想像してなかった。
たまたま専任者がいなかったってことはあるだろうけどさ。
というか少し前までは依頼といえばマルセールの肉屋、魚屋、八百屋からの買取価格情報くらいしかなかった。
そもそもそれが依頼と呼べるのかどうかはみんな疑問に思ってたし。
ちゃんとした依頼っぽいのが増えたのは、サハから帰ってきたあとだな。
サハの町、あの町は港以外の全てを失った。
そして……
「ロイス君!」
シファーさんの声だ……。
なにか文句を言い忘れたのだろうか……。
そして再び管理人室に入ってきた。
「帰ってきた!」
「誰がですか?」
「ペンネちゃんたち!」
「ペンネ? こんな時間にどこか行ってたんですか?」
「なに言ってるの! 午前中にいっしょに見送ったよね!? マーロイ大陸のナポリタンの町まで迎えに行くって言ったでしょ!」
「あ……」
そういや外の駅まで見送った気がする……。
ほかに誰がいたっけ?
コタローとかヨタローか?
メル、エク、マドのリスたちもだっけ?
最近魔物たちも忙しくて日中は誰も俺の傍にいないからな……。
「キミさ、少し酷くない? みんな悲しむよ?」
「いや……。というか俺今日なにしてました?」
「え……。知らないけど、ここのソファでずっと座ってるか寝てるかだったんじゃないかな……。なんで自分で覚えてないの? ……最近ちゃんと眠れてる? 考え事? 地下五階のことで悩んでる? ご飯食べた?」
ご飯なに食べたっけな……。
夕食はまだだった気がする。
風呂に入ってないことは間違いない。
「とにかく来て」
「え、どこにですか?」
「ダンジョン酒場に決まってるでしょ」
「なぜダンジョン酒場に?」
「冒険者のみんなも帰ってきたからだよ」
「え? ……今日が二十日目でしたっけ?」
「十日目。でも一つ水晶玉を手に入れてきたんだって」
「えっ!? もうですか!?」
「うん。早いからFランクダンジョンかと思ったら、本人たちはEランクって言ってる」
「すぐ行きましょう!」
そしてダンジョン酒場にやってきた。
帰ってきた冒険者の周りには人だかりができていた。
みんなも心配してたんだろう。
なんせ最後にEランク魔工ダンジョンを討伐したのはララが怪我したときだからな。
あと一か月ちょいもすればもうすぐ一年になる。
……まだ一年と考えるとつい最近の出来事な気がしないでもない。
俺が来たことを知り、周りにいた人々が道をあけてくれる。
輪の中心にはサイモンパーティとナイジェルパーティの面々がいた。
「お疲れ様でした。みなさんご無事ですか?」
「あぁ。全員無事だ。一年前のようにはなってない」
「少しダンジョン構成は違ってたが、前よりはだいぶ楽に感じたな」
余裕そうに言うじゃないか。
たった一年でそこまでの実力がついたってことか。
「早速ですが、まずは現物確認を」
サイモンさんはニヤッと笑い、レア袋を渡してくる。
依頼受諾後に渡した、水晶玉保管用の特殊なレア袋だ。
……確かに水晶玉が入ってるな。
「シファーさん、確認を」
シファーさんはレア袋を受け取ると、カウンター内の転移魔法陣に飛び乗った。
そういやペンネたちの姿が見えないが、俺と入れ違いになったか。
おそらく魔物部屋に戻って風呂でも入ってるのだろう。
コタローたちは冒険者村に馬を返却してから帰ってくるはずだ。
「検証に少し時間がかかるかもしれませんから一旦解散にしますか?」
「いや、このまま先に旅の報告をさせてくれ。バイキング会場が閉まっても、ここで酒とつまみを食べれればいいし」
「わかりました。水晶玉が本物であれば、バイキング会場を貸し切りか、ここにお好きな料理をお好きなだけお持ちしましょう」
「おっ、どっちもいいな。というか正真正銘の本物だからな? DランクかEランクかの判定は微妙かもしれないけど、絶対にFランクではない」
「今のところEランクの基準は設けてないんですよね~」
そして主にサイモンさんとナイジェルさんから、マーロイ大陸での旅話を聞くことになった。
しばらくして、シファーさんが戻ってきた。
まずは俺に耳打ちしてくる。
……ほう?
冒険者たちは緊張した面持ちで俺を見てくる。
シファーさんは俺の隣に座り、P付与魔道具の準備を始めた。
「お待たせしました。旅の話の途中ではありますが、先に報酬をお渡しさせていただきますね。冒険者カードをお出しください」
先に口頭で結果を教えてくれと思っていることだろう。
だが焦らすほうが緊張が続いて面白い。
八人はカードを出し、それぞれのリーダーが集め、俺へ渡してきた。
「八等分でよろしいですか?」
「あぁ」
「うん」
リーダー二人が答える。
シファーさんは冒険者カードを一枚ずつ魔道具にセットし、依頼達成時の報酬付与作業を行う。
八枚全部の作業が完了したあと、付与されたPや達成依頼内容の記述に間違いがないかを再度確認する。
額が額なだけに慎重になるのだろう。
そしてカードを俺に渡してきた。
俺の顔を立てようとしなくても、マスターなんだからシファーさんがみんなに返してくれていいのに。
「ではお返しします。どうぞご確認を」
それぞれのリーダーの前に四枚ずつカードを置いた。
サイモンさんは三人の仲間に手際よくカードを渡していく。
だが一方ナイジェルさんはまず自分のカードの内容を確認したようで、明らかに動揺した表情を見せる。
周りにいる野次馬冒険者たちは早く報酬の額を教えろと言わんばかりだ。
「……説明をしてもらえるか?」
サイモンさんが聞いてくる。
「シファーさん、お願いします」
「え? あ、はい」
やはりマスターとしては依頼達成時の報酬説明をしたいだろうしな。
「まず攻略していただいたダンジョンについては検証の結果、Dランク魔工ダンジョンと認定しました」
「「「「おおっ!?」」」」
声をあげたのは周りで立っている野次馬たちだけだ。
座っている八名はそんなことわかってるとばかりに、続きの説明を早く聞きたがっている。
「そしてダンジョン内の魔物を確認したところ、大樹のダンジョンの魔物リストに載っていない魔物が発見されましたので、その魔石入手分として報酬を加算させていただきました」
「珍しい魔物ってことですか!?」
「どんな魔物なんですか!?」
周りがうるさいな。
ダンジョンを攻略してきた当人たちはその魔物とやらには心当たりがなさそうだ。
「まだ魔石は一つもお渡ししていませんし、僕たちが入手した魔石の中に該当する魔石がない可能性のほうが高そうなんですけど、それでもこんなに頂いていいんですか?」
ん?
サイモンさんはなぜかシファーさんには敬語だ。
元砂漠の女神様であり、現マスターシファーという存在は冒険者たちにとって崇高な存在なのかもしれない。
「はい、その場合でもこの報酬に変わりはありません。一応、この旅で得た魔石を全て鑑定させていただいてもいいですか? もしかするとマーロイ大陸のフィールド上で倒した魔物の中にも未入手の魔石があるかもしれませんし」
「わかりました。……でも未入手の魔物の魔石というだけで、本当にこんなに頂いてもよろしいんですか? 言われなければ我々も気がつかなかったと思うんですけど……」
「冒険者の不利益になるようなことはしたくありません。そのPもウチの錬金術師による鑑定額ですので、遠慮なく貰ってください。町の素材屋ではまず出せない金額だと思いますよ。それに次に同じ魔工ダンジョンを討伐してきた人たちはもうそのPは貰えないわけですし」
「……ありがとうございます」
サイモンさん、俺のときと態度が違いすぎるんですけど……。
まぁこの八名は俺とはもう長い付き合いだし、いくら管理人とはいえ年下の俺に気を遣うような人たちではないのはわかってるけどさぁ。
「では以上になります。依頼達成おめでとうございます。そしてありがとうございます。お疲れ様でした」
「「「「ありがとうございます」」」」
う~ん。
もっと喜んでいいんじゃないか?
疲れてるのかな。
「あ、みなさん食事はどうします?」
「……バイキング会場を使わせてもらってもいいかな? 疲れもあるし、今日はまず八人だけで乾杯がしたい。それでいいよな?」
サイモンさんの問いかけに、ほかの仲間は頷いて答える。
「了解です。ではこのあと荷物を置いたらフロント横に来てください」
そして八名は野次馬冒険者たちに歓声を浴びながら一旦部屋に戻っていった。
俺とシファーさんはとりあえず依頼所カウンター内に入る。
「最後のほう、みんなテンション下がってませんでした?」
「一人当たり2万5千P貰えるって考えてたはずだよね? でも実際に付与されてたのは3万5千Pで、1万Pも多かった。しかもその1万Pはダンジョン内に未入手の魔物がいるからという理由だけで、自分たちが魔石を入手したわけでもないのに貰っていいのかって不安になったんじゃない? だって八人合わせると8万Pだよ? あ、でももしかすると、そんな高額で買い取ってくれる魔物があのダンジョン内にいたと思ってこわくなっちゃったのかもしれないね」
「あ~、その可能性はありそうですね。高額=強い魔物って考えるのが普通ですし。というか本当に8万Pの価値あるんでしょうね?」
「さぁ~? でもちゃんとみんなで話し合ってたから」
「まぁとにかく俺はバイキング会場へ案内してからその魔物見てきます」
カウンターを出て、宿屋フロントへ向かう。
フロントにいたルッカに事情を説明し、このあとの2パーティの案内を頼み、俺は先にバイキング会場へ転移する。
当然ながら厨房は片付けの真っ最中のようだ。
客席のほうもウサギたちが掃除をしている。
さて、席はこのへんでいいか。
八人分の料理くらいは保存エリアにある分だけでなんとかなるだろう。
「ロイスさん! どうしました!?」
厨房からモモが出てきた。
「さっき魔工ダンジョン依頼を達成した人たちが帰ってきてさ」
「えぇっ!? 凄い!」
「しかもDランクなんだよ。で、食事がまだだったから、ここでゆっくり祝勝会でもしてもらうことになってさ」
「それならお酒もあったほうがいいんじゃないですか!? バーに買いに行ったりするの面倒でしょうし!」
「あ、そうか。じゃああれ起動してみるか」
「はい! 席は魔道具に近い向こうにしましょう! カトレアさんに許可取ってきます! ネッドさんにも話してきますね!」
モモは厨房の中から転移していった。
なんでもやってくれて非常に助かる。
『あれ』とは酒類注文魔道具のことだ。
管理人相談室に置いてあるやつとほぼ同じだが、ここにあるものは指輪もしくはカードをタッチして支払える機能が付いてる。
今まではこのバイキング会場で酒類を飲むには八時以降にバーで買ってくるしかなかった。
それは酒を飲む人飲まない人で食事時間をずらすことによる混雑を避ける意味合いや、飲みすぎを防ぐといった意味合いもあった。
バーで飲む人向けに販売してるおつまみの売り上げを考えてのことでもある。
だが4月からはこのバイキング会場での酒類販売を解禁する方向だ。
食事のときに酒をいっしょに飲みたいという声が多いこともある。
それに去年の今頃よりは客の年齢層も上がってるし、もうすぐ会場も広くなるしな。
ウチとしても結果的にそのほうが利益は出るだろうと考えての酒類解禁だ。
このバイキング会場で唯一の有料商品だな。
やはり利益は少しでもあったほうがいいし。
……どうやら冒険者たちがやってきたようだ。
モモもいっしょに入ってきた。
「みなさん、こちらへどうぞ」
そのままモモがみんなを案内してくる。
「こちらのお席になります! そしてなんと! 今日は特別に、新作の酒類注文魔道具をテスト的に起動してみることになりました!」
「「「「酒類注文魔道具!?」」」」
「そうです! まだテスト中なのでこのカードでしか購入できませんけど、テストも兼ねて今日は無料で飲み放題で構いません!」
「「「「おおっ!?」」」」
無料とは気前がいいじゃないか。
「料理が足りなければ厨房の中にいる者へ遠慮なくお声がけください! ではごゆっくりどうぞ!」
さっそく酒を注文する冒険者たち。
すぐに転移してくる酒たち。
「管理人さん、これ」
サイモンさんはさっき渡しておいたレア袋を返してくる。
中には魔石が入ってるはずだ。
「じゃあ一旦お預かりしますね」
「なぁ、ダンジョン内にどんな魔物がいたんだ?」
「それは俺もまだ聞いてないんです。では楽しんでくださいね」
モモが手招きしてるので厨房の中に入る。
「カトレアさんがすぐに錬金術師エリアに来てって言ってました」
「了解。俺もそのつもりだったし」
「それと……気兼ねなく飲んでもらうために、テスト中だから無料だと言えと言われたんです……カトレアさんに……」
「ん? どういうことだ?」
「それが……あの冒険者カードでの支払い、実はロイスさんの所持Pから引かれてるとかなんとか……」
「……」
あの野郎……。




