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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第十二章 過去からの贈り物
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第五百六十七話 冒険者へ依頼

 マリンちゃんがオアシス大陸出身者を集めて状況を説明してくれた。

 ピラミッドの中に火山があったことや、火山の地下にダンジョンがあるとかマグマスライムの話は今はまだなしで。


 まぁ火山が噴火したことに関してはウチの宿屋に泊まっていない通いの人から聞いた人も既に結構いたみたいだけど。

 本当こういう話ってすぐ拡散されるんだよね。


 でもなぜか私たちに直接聞いてきた人はいない。

 なにも説明がないということは大丈夫なんだと思ったのかもしれない。

 それともまだ調査中だと思って待っていてくれてたのかもしれない。

 ナミの町から来てる人なんて気が気じゃないはずなのにね。

 今フィンクス村に住んでる人たちには避難するように説得中って話はしたけどさ。

 ってフィンクス村出身者はシファーさんしかいないけど。


「あ、ララちゃんとピピちゃんとダイフク君だ!」


 ウサギたちがランチのために戻ってきたリヴァーナさんたちをダンジョン酒場に連れてきてくれた。

 ちょうどヒューゴさんたちもいっしょだったみたい。


「座ってください。周りに声が聞こえないように封印結界を張りますから」


「「「「え……」」」」


 みんなの間に緊張が走った。

 今からされる話の内容の重さを悟ったのかもしれない。


「もう少し待ってくださいね。……あ、来ましたね」


 シファーさんとマリンちゃんがやってきた。


 いくら故郷にはもう帰らないって言ってるシファーさんでもさすがにこんな状況になったら家族のことが心配になるでしょ。


「……なんの話?」


「まず座ってください」


 なんの話かわかってないはずはないのにね。


「ねぇララちゃん、本当にここでいいの? 小屋横の準備室とかは?」


「いいの。ここで私たちがこうやって話してればみんなはすぐに察してくれるから。あ、内容は秘密でお願いしますね?」


「「「「……」」」」


「あ、ほらみんな集まってきてるって……」


「いいの。第一陣に選ばれなくて悔しいと思ってくれる人もいるかもしれないから」


「「「「……」」」」


 あれ?

 選ばれたのに嬉しくないのかな?


「では始めます。今朝オアシス大陸のナミの町付近にある火山が噴火した件は知ってますか?」


 ……うん、みんな知ってるみたい。


「かつて二百五十年以上前にも同じようなことがありました。そのときの説明は省きますが、今回の噴火はそのときよりも規模が大きいものだと想定されます」


「ナミの町の人たちは避難できているのでしょうか?」


 ヒューゴさんがそわそわした感じで聞いてくる。


「おそらく、としか言いようがありません。サハの町やフィンクス村、そしてモーリタ村に避難してきたという話は耳に入ってきていませんから、ナミの町の中で避難してくれてることを願うばかりです」


「マグマなんですよね? 町はそれに耐えられるような造りになってるのでしょうか……」


「ヒューゴさん、それも含めて今からお話ししますので」


「あ、そうですよね、すみません……」


 早く聞きたいのはみんなも同じだろうからね。


 ……周りにはどんどん人が集まってきてるみたい。

 お腹減ってないのかな?


「ではここからはマリンちゃん、お願いします」


「うん」


 マリンちゃんはレア袋からホワイトボードを出した。

 そこにはオアシス大陸の地図が貼られている。


 そしてマリンちゃんがそのまま説明を始める。


「ここがナミの町です。そして今回噴火した火山というのはここになります。町と火山の間にはピラミッドが四つあります。火山側にあるピラミッド二つに関しては一般公開もされているピラミッドです」


「……あの」


「はい、ヒューゴさん」


「今火山と言ってピラミッドを指しましたが、その付近にある火山ということでしょうか?」


「今回噴火した火山はそのピラミッドです」


「「「「……え?」」」」


 意味がわからなくて当然だよね。

 周りにいる人たちはもっとわからないんだろうな。

 コタローによると、サハにいる人たちでもそこまではわかってないみたいだし。

 でも今それを言うと余計混乱しそうだからね。


「このピラミッドは大ピラミッドと呼ばれています。ナミに昔から伝わってる情報では、かつて噴火を起こした火山を破壊してそのあとにピラミッドを建てたことになっています。でもそれは間違った情報です。実際にはそのピラミッドは火山を丸ごと封印するために山を囲うようにして造られました。そして火山活動を抑えるためにピラミッド内には封印魔法がかけられたんです」


「「「「……」」」」


「これは推測ではなくて確かな筋から得た事実です。今回の噴火がそれを証明してくれてます」


「……今回の噴火があったから、その事実が判明したということでしょうか?」


「情報の証明に関してはそうですね。でもこの噴火以前に私たちはその情報を得ていました。そして調査のため、今から二日前にナミの町に調査員を送り込んでいます」


「「「「……」」」」


 絶対そのせいで噴火したと思ってるよね?

 封印魔法を解いたとか思ってるでしょ?


「でも私たちが調査を行っている件と今回の噴火は全くの別件です。偶然なんです。本当ですよ?」


「「「「……」」」」


 まぁ普通は疑うよね……。


「その調査にはウチの管理人も同行してます」


「「「「えぇっ!?」」」」


 そりゃ驚くか。


「ロイス君大丈夫なの!?」


「ロイス君……」


「管理人さんの姿を見ないと思ってたら……」


「すぐに助けにいくべきでしょ!?」


「巻き込まれたでありますか!?」


「……」


 シファーさんはなにも言わないんだ。


 まぁ三日前に話を聞いたときから調査することは知ってたもんね。

 自分がナミの町に行ってなくて良かったと思ってるかな?

 元々は自分のせいでこんな事態になったんじゃないかとか思ったりしてる?

 それともやっぱり故郷に被害がないか心配?


「みなさん、落ち着いてください。ウチの調査員たちは全員無事です」


「本当なの!? ロイス君怪我したりしてない!?」


 やっぱりお兄のことになるとうるさいな……。


「ミオがロイス君助けに行く」


 ミオちゃんも何気にお兄になついてるもんね……。


「そのために我々が集められたということですね。わかりました。危険を承知でナミの町へ向かいましょう。管理人さんの危機となれば行かない理由はありません」


「もう一度言いますが、落ち着いてください。管理人は大丈夫ですから。ピピちゃんは今朝も管理人といっしょにいて、無事を報告するために帰ってきたんです」


「チュリ」


「それに今管理人はここ、モーリタ村にいます」


「「「「モーリタ村?」」」」


「はい。避難したわけじゃなく、理由があって昨日からモーリタ村にいたんです。だから直接的な被害は全く受けていませんし、元気です」


 みんなが胸をなでおろす。


「それにピラミッドのことにはまだなにも関与してない状態だったんです。色々あって、今日再度ナミの町へ行く予定だったところに、この噴火が発生しました。それに火山が噴火した原因はほぼほぼ特定できてます。もしかすると封印魔法が弱まってたとかそういう理由も少しはあるかもしれませんが、根本的な原因は別にありました。それを確かめに行こうとした矢先の出来事です」


 この話だけ聞いてたらどんな想像してるんだろう?


「さて、ここから先は超機密情報になります。絶対に誰にも話さないでください」


「「「「……」」」」


「一応ダンジョン酒場からの依頼という形にさせていただきますので、依頼を受けてくれた方だけに内容を説明します。報酬は管理人の目的が達成された場合に成功報酬として支払います。達成されなければ時間の無駄になるかもしれません。でも依頼の内容は今後管理人がどう考えるか次第なんです。期間も一日になるか一週間になるか一か月になるか誰にもわかりません。それだけ流動的な依頼になりますので、よく考えてご決断ください」


「「「「……」」」」


 謎が多すぎるよね。

 でもお兄の考えてることなんて誰にもわからないんだから仕方ないもん。


「質問よろしいでしょうか?」


「どうぞ」


「ここにいるメンバーはどうやって選ばれているのでしょうか? 周囲からの視線が痛いのですが……」


「管理人の人選です」


「えっ!? ロイス君がリヴァを選んでくれたの!?」


「そうです」


「行く行く! ねっ、ミオ!?」


「うん。絶対行く」


「じゃあリヴァとミオは決定でいいよね!?」


「ではお願いします」


 二つ返事とはこのことね……。


「お二人には現地にて、ティアリスさんとアリアさんの二人とパーティを組んでいただく予定です」


「えっ!? どういうこと!?」


「そのお二人は管理人に同行してて今現地にいるんです」


「なんでティアリスちゃんたちが!? 最初からリヴァたちに言ってくれれば良かったのに!」


 そう言うと思った……。


「当初はそこまで危険な仕事とは考えていませんでしたので、別件でたまたま管理人といっしょにいたパラディン隊のお二人に護衛を頼んだだけです。パラディン隊ですから報酬も気にしなくていいですし」


「ふ~ん。そのアリアさんって例の漆黒の鎧の人だよね? ちゃんとコミュニケーション取れるの? パーティの輪を乱したりしない?」


 最近までずっとソロで活動してた人がよく言うよ……。


「それはリヴァーナさん次第じゃないですか? 少なくとも管理人からの信頼はあるから同行させてるわけですし」


「あ、そっか。ならいいや」


 お兄への信頼度が凄いね……。


「ヒューゴさんたちはどうされますか? 断っていただいても結構ですから」


「断るなんて選択肢はありませんよ。必ずナミの人々を救い出してきてみせます」


 そう言ってくれるとは思ったけど、きっとナミの町付近のマグマ排除がメインの依頼って思ってるんだろうな。


「シファーさんはどうします?」


「……行かない」


「わかりました。ではオアシス大陸から砂漠が消滅して、溶岩大陸となってからまた故郷にお戻りください」


「「「「え……」」」」


「もうナミの町の水問題とかそういうレベルの話ではないんです。この森にも火山灰が降ってきてますし、今朝のように大きな地震もありました。管理人がシファーさんを連れてくるように言ってるのは、噴火の根本的な原因解消のためにその水魔法を使えないかと考えてるからだと思います」


「……水魔法でマグマがどうにかできるの?」


「試してみないことにはわかりませんが、有効だという説もありますので」


「……本当に私の水魔法がないとダメなの?」


「依頼を受けてくれるのであれば詳しくお話します」


「……わかった。私も行く」


「それは良かったです」


 このあと話を聞いて気が変わらなければいいけどね。


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