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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第十二章 過去からの贈り物
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第五百三十五話 なぞなぞの解答

 魔力のことは忘れて、隣の部屋に移動した。

 何度も言うが紙の上での話だぞ?


「この部屋か~」


 水魔法の奥義のことが書いてあった部屋だ。


 でもこの奥義のこともなにか関連してるのか?

 改めて読み直してみるとしよう。



 私は水魔法が最も得意。

 私の子供も孫たちも水魔法が扱える。

 でもまだまだ誰も私には敵わない。


 私が編み出した水魔法の奥義『槍雨』。

 この極意を誰かに伝えたい。

 だけど簡単に教えるわけにはいかない。

 扱い方を間違えると危険だから。

 だからといってこのまま失われるのは嫌。

 極意をダンジョンに隠すから見つけた人は自由にしていいよ。



 奥義『槍雨』か。

 もしかしてこの奥義が転移魔法陣の先に隠されてるとかか?

 でもダンジョンに隠すって書いてあるしな~。


 まずはそれよりなぞなぞか。


 う~ん。

 ダンジョン内でこの奥義を見つけてこいってことか?

 その奥義に最後のヒントが隠されてるとか?


「本当にこれも関係あるのか?」


「……」


「おい? なんで急に無言になる?」


「……それは秘密でござる」


 秘密ってなんだよ……。

 関係あるかないかくらいは言ってもいいだろ……。


「この奥義がなぞなぞの報酬とか?」


「それは確認してみないとわからないでござるな」


 それにはすぐに答えるのか。

 つまりカスミ丸もこの部屋の言葉についてはよくわかってないってことか?

 それでもなぞなぞは解けたんだよな?


 よくわからないからこの部屋はあとで考えよう。


 さて、最後の部屋か。

 戦士たちがどうたらって長々と書いてた部屋だ。

 地下で見たときにはこれがなぞなぞに関連してるとは知らなかったからな。



 戦士たちへ。


  1→ここから先へ進む場合は自己責任でお願いします。

  2→この先のダンジョンはとても危険です。

  3→戦士として魔物に立ち向かう強い信念がある方のみお進みください。

  4→決してナミの住人以外には勧めないでください。

  5→戦士の誇りを忘れることなく、日々精進しましょう。

  6→安全エリアの説明を必ずこの村の者からお聞きください。

  7→安全エリアの部屋は非常時の際にお使いください。

  8→地下にこもらず屋外でたまには陽に当たりましょう。

  9→猫たちはみな仲間です。

 10→村で販売してる物の転売はおやめください。

 11→この村に封印魔法と転移魔法陣があることは絶対に秘密にしてください。



 相変わらず長い……。

 そして『猫たちはみな仲間です』の異質さが凄い……。

 屋外で陽に当たりましょうからの流れを考えたら、外で猫たちと触れ合う機会があるだろうから自然と言えば自然なんだけど。

 でもなぞなぞだからむりやりその一文を差し込んだ可能性はあるよな。


 ここで気になるのはやはり『→』だ。

 普通は『.』とか空白にしないか?

 まぁ最初に読んだときは特になにも思わなかったけどさ。


 頭文字を読むってわけでもなさそうだな。

 となるとやはり『→』の意味を考えるしかなさそうか。



 ……どうやら俺には無理そうだ。

 でもここで諦めたらカスミ丸が調子に乗りそうだしなぁ……。


 もう少しだけ考えてみるか。

 俺が少しくらい頭を使ったところで無理っぽいけどな。

 マリンならすぐに閃いたりするんだろうが。


 ……頭を使えか。


 最初の問題文はそのまんま頭文字を使えって意味だったけど、ここでも頭の数字を使えって意味だとしたら……。


 例えば数字が示す部分の文字だけを…………


「えっ?」


「わかったでござるか!?」


「いや、ちょっと待て」


 今なにか見えた気がする……。

 落ち着いて考えてみよう。


 1→こ

 2→ の

 3→  と

 4→   ナ

 5→    り


 このとナり……。


 6→     の

 7→      部

 8→       屋


 この隣の部屋!?


 9→        で


 で!?


 10→         転

 11→          移


 ……転……移?


「この隣の部屋で転移!?」


「おおっ!? 凄いでござるよ! しかもかなり早かったでござる!」


「ミャ~(さっきからうるさいわよ)」


「どうしたんだい? またなにかあったのかい?」


 俺の大きな声でボネは起き、宿屋のおばさんは奥から早歩き気味にやってきた。


「いえ、たいしたことじゃないです、すみません」


「そう? ならいいけど。村の者がまたなにか言ってきたらすぐ私に言いなよ」


「はい。ありがとうございます」


 おばさんはまた奥に戻っていった。


「ふぅ~。別に隠さなくてもいいんだけどな」


「まだ言わないほうがいいでござるよ。きっとみんな地下に殺到するでござる」


「転移魔法陣を使えないんじゃ意味ないだろ。でも部屋が荒らされたりはするかもしれないか。で、隣の部屋ってどっちだ? ……向かいの部屋は隣とは言わないか。それに向かいの部屋は問題文が書いてあった部屋だから、『この部屋ではない』って言ってるもんな」


「おそらく隣をはっきりさせるための意味もあるでござるな。ということは手前の部屋でござる」


「水魔法奥義の部屋か」


 さっきカスミ丸が無言になったのはこのせいか。


「ん? でもこの部屋のどこで転移魔法陣を使うんだ?」


「……」


 奥の壁には水魔法に関する言葉が彫られてたし……。


 ってなるほど、ここでほかの部屋の言葉が関係してくるのか。


 『天変地異』と『青と黒と赤』と『魔力の光』の話を合わせて考えると……。


「天井か」


「……やるでござるな」


 なんでガッカリしてるんだよ……。

 俺に解かれたことがそんなに悔しいのか。


「でも俺だったら最初の部屋だけでしか考えてなかっただろうから、カスミ丸のお手柄には違いないぞ」


「そう言ってもらえると嬉しいでござる。早く先に進んでみたいでござるな」


「天井に魔力の反応があったんだよな?」


「ほんの小さな一点だけでござるけどな。おそらくそこを中心に転移魔法陣を描くのでござるよ」


「あそこから上に20メートルか。ここよりももっと上だよな。さすがに外に出たりはしないか」


「元からあった隠し部屋でござるかな?」


「なぞなぞのためだけに作った部屋かもしれないけど」


 あの六つの部屋もそのために作られたのかもしれないし。


「天変地異の話はさ、転移魔法陣を使えば天井と地面が仲良く交われるって意味かな?」


「あ、そういう解釈もできるでござるな。自分は天井と地面は表裏一体だからとしか思わなかったでござる」


「ふ~ん。色の話も天や地を表す空やマグマのことで合ってそうだな」


「この話がないと天井か地面のどちらに転移魔法陣を使えばいいかがわからないでござるからな」


「魔力の話はいいとして、水魔法奥義の話はどういうことなんだ?」


「それだけは自分もわからないでござる。もしかするとまだなにか隠されてる謎があるかもしれないでござるけど。でもさっきロイス殿が言ったように、転移魔法陣の先にこの奥義が隠されてると考えたら一番納得がいくでござる」


「転移させる部屋に書くくらいだからありそうなことだよな。でもダンジョン探索意欲を高めさせるためにダンジョンに隠したなんて嘘を書いてたとしたら、村人たちや冒険者が少し可哀想な気もするけど」


 ウチでそんなことやったら大問題になりそうだ。

 ここはお金を取ってるわけじゃないから別に誰にも怒られる筋合いはないんだろうけどな。


「それよりさ、最初の問題文の部屋を出た後にこっちの戦士たちへって部屋に行ったほうがもっとすんなり謎が解けたんじゃないか?」


「それはロイス殿がさっきもう見たからとか言って隣の天変地異の部屋に行ったからでござるよ」


 それもそうだ……。


「とにかくあとはカトレア待ちだな」


「なんだか少しドキドキするでござるな」


 転移魔法陣の先にはいったいなにがあるんだろうか。


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