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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第十一章 マナの守り人

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第四百八話 俺の責任?

 ミオが忍者をやめると言った。

 そしてミオはそれ以上なにも話すことはなかった。

 アオイ丸とコタローは食事に集中しすぎてミオの発言を聞いていなかったようだ。

 食事が終わると、忍者四人はダンジョン内の施設を見学に行った。


 俺は家に戻ってきてリビングのソファに座り一息つく。


 ミオの発言の真意が気になるところだが、なぜか俺の責任のような気がしてならない……。


 ここには同年代の子たちがいっぱいいると知って、今までの孤独な忍者生活が嫌になったんじゃないだろうか?

 もしくは美味しいものをいっぱい食べすぎたせいで今までの質素な生活全てが嫌になってしまったとか?

 いや、実際に質素な生活だったかどうかは知らないけど、忍者って身軽じゃないとダメっぽいからなんとなくあまり贅沢な食事はしないんだろうな~って勝手に思ってるだけだぞ?


「どうしたのです?」


「なんで無言なのよ? それにどこ見てるのよ?」


 いたのか。

 って俺が考え事をしていて気付かなかっただけか。


「忍者って今四人しかいないらしいぞ」


「「えっ!?」」


 それがもうすぐ三人になるかもしれないのか。


「……なにがあったのです?」


「忍者のことでなんでロイスが悩んでるのよ?」


 でも別に俺が責任を感じる必要なんてないか。

 俺はミオについさっき初めて会ったばかりだしな。

 それにウチに興味があるのなら少し調べればどれもすぐわかることばかりだし。


「重症なのです……」


「ヤバいわね……」


「なにがだ?」


「あ、戻ってきたのです」


「辛うじてって感じね」


 だからなにがだ?

 あ、そういやヒューゴさんたちにミルクを届ける約束してたんだった。


「ララは?」


「帰ってきてから会ってないのです」


「ご飯いっしょに食べようと思ってたのにね」


「そうか」


 小屋で別れてからここには戻ってきてないのか。

 ならご飯を食べてから錬金術エリアで週パスの運用テストをしてくれてるのかもしれない。

 それだと俺としては仕事が減ってラッキーなんだが。


「あ、帰ってきたのです」


「お兄! 運用テスト完了だってさ!」


「え……本当か?」


「うん! 冒険者カードのアップデートの準備も完了だって!」


 さすがララだ。

 いや、さすが錬金術師たちだ。

 俺がいる必要なんて全くないな、うん。


「あ、さっきヒューゴさんたちにキャラメルキャメルのミルクを部屋に届ける約束したんだよ」


「わかった! リョウカさんたちに渡してウサギに届けてもらうね!」


 さすがララだ。

 細かく言わなくてもすぐに全部理解してくれる。


「それとミオがさ、忍者やめるって言い出したんだよ」


「えぇっ!? この短時間でなんでそうなるの!? あ、カルチャーショックってやつ? 新しい情報の多さに、小さいころからずっと忍者しかやってこなかった自分がなんなのかわからなくなって混乱してるんじゃない? 少し考える時間が必要かもよ?」


 さすがララだ。

 まさにその通りに違いない。

 俺のせいとかではなく、ミオにとっては自分の人生について考えることができる貴重な機会なんだよな。

 岐路ってやつか。


「ミオって誰なのです?」


「四人のうちの一人ってこと?」


「あぁ。さっきまでいっしょにご飯食べてたんだよ。もう一人、コタローっていうカスミ丸と同い年の忍者もな。あ、ミオは女性で、ユウナと同い年なんだ」


「へぇ~なのです!」


「でも冒険者村で家設置してるときに女の子なんていたかしら? じゃあ今忍者全員がこのダンジョンにいるってこと?」


「そうなるな。冒険者村では俺たちに見つからないように木の上に潜んでたらしいぞ。カスミ丸が言うには戦闘力はコタローとミオのほうがカスミ丸たちより上らしい」


「カスミ丸の戦闘力がいまいちピンとこないからなんとも言えないのです」


「情報屋として働いてもらってたから長い間戦闘訓練はしてないしね。だからその二人が里でずっと忍者の修行してたんならそれも納得だわ。でもカスミ丸だって地下三階レベルの敵くらい倒せるはずよ? マッシュ村への山道を一人で移動してたわけだし。まぁジャジャ丸が速いから敵に会っても逃げてたかもしれないけど」


 冷静だな。

 忍者の実力が気になったりしないのか?

 魔物がほぼいないジャポングで修行したところでそこまで強くはないだろうと思ってるってことだろうけど。


「たぶんミオちゃんのほうがコタローさんより強いよ」


「え? なにで判断したんだ? 魔力か?」


「それもあるけど、グルグル巻きにしてた縄の損傷具合とか、封印結界に閉じこめたときの……なんて言えばいいかわからないけど、オーラみたいなものからかな?」


 オーラ?

 雰囲気ってことか?

 縄の損傷具合までは見てなかったな。


「それよりさ、上手く取り込めそうだった?」


「取り込むってなにを?」


「あの二人に決まってるでしょ。貴重な忍者なんだからウチで働いてもらうの」


 そのために俺をいっしょに食事に行かせたのか……。


「でもいくら忍者と言っても、よく考えたら冒険者みたいなもんだろ? レンジャーのジョアンさんやヒューゴさんをウチで雇うって言ってるようなもんじゃないか?」


「レンジャーよりも素早さに特化してるみたいだからカスミ丸たちと同じように情報屋として動いてもらってもいいじゃん。これからは気軽に町と町を移動できなくなる分、今以上に情報の入手が困難になるんだし、ウチ専属の情報屋みたいな人が二人増えようが困ることはないしさ」


「う~ん。でもコタローは忍者であることに誇りを持ってる感じだっただろ? だから難しそうだとは思うんだけどな~」


「忍者をやめろって言ってるわけじゃないでしょ。忍者の特性を活かした仕事をしてほしいって言ってるだけでさ。それにそこをなんとかするのがお兄の仕事じゃん」


 え……そうなのか?

 もしかして、だから運用テストを代わりにやってきてくれたとか……。


 ……ララの視線が痛い。

 ユウナとシャルルもなにか言ってくれよ?


「ララちゃんの意見に賛成なのです」


「そうね。カスミ丸たちみたいな人材は多いほうがいいわよ」


 ……まぁそうだよな。

 ララの意見はいつだって正しいからな。


 よし、じゃあ俺が二人を誘ってみようじゃないか。

 ウチの食事で釣っとけば余裕だろ。


「あ、噂をすればカスミ丸が来たのです」


 ちょうどいいじゃないか。

 カスミ丸から二人に話してもらおう。


「ロイス殿、少しいいでござるか?」


「あぁ。どうした?」


 カスミ丸はソファに座った。

 この様子はなにかあったぽいな。


「実は……ミオがここに住みたいって言い出したのでござる……」


「「「「えっ!?」」」」


 忍者をやめると言ったあとにウチに住みたいだと?

 まさかミオはウチの従業員になる気満々なのか?


「さすがお兄ね!」


「仕事が早いのです!」


「ロイスに惚れたとかじゃないでしょうね!?」


 そのほうが早すぎるだろ……。


 でも今日はなにかとツイてる日のようだ。


「ララ、ミオをここに呼んでもいいか?」


「うん! まずはミオちゃんね!?」


 ララの機嫌も良さそうだ。


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