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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第十一章 マナの守り人

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第三百九十六話 帰ってきてない人たち

 久しぶりにダンジョンに活気が戻ってきた。


 帰ってきたばかりだから今日はゆっくりするのかなと思ってたら、みんなすぐに準備してダンジョンに入っていくではないか。

 思ってたより早く戻ってこれたことや、明日が日曜日で休みということもあるんだろうけど。

 でもやはりダンジョンはこうじゃないとな。


 十五時を過ぎると、ラスやリーヌ以外の町に帰省してた人たちも続々と戻ってき始めた。


「おかえり~馬は預かるね~」


「受付で指輪貰ってから中入ってね~」


 アグネスとアグノラが駅でお出迎えをしてくれている。

 ソボク村やボクチク村でもそれぞれの駅責任者がちゃんと馬を馬車両に乗せてくれているようだな。


「初めて来たんですけど……」


 お、また新規か。

 どうやら帰省した冒険者たちはみんなウチの宣伝をしてくれているみたいだな。

 この調子だと明日も新規が期待できそうだ。


「パラディン隊募集の張り紙を見て来たんですけど……」


 またか。

 採用試験は来週って書いてあるのに。


 さっきも試験までの一週間はウチで鍛えたいって人が来た。

 わざわざパラディン隊の名前を出す必要があるか?

 単にダンジョンで修行したいと言えばいいのに。

 とも思わないでもないが、大事なお客には違いないのでなにも言わない。


「もうUターン組はいないかな? じゃあ錬金術エリアにいるからまた人がたくさん来たら呼んでね」


「あぁ、ありがとう」


 マリンも疲れているはずなのに嫌な顔一つせずにずっと受付を手伝ってくれている。

 今日みたいな日は俺一人だけではとても対応できないからな。

 って通い組が増えた最近はほぼ毎朝ユウナかマリンかカトレアが隣にいてくれてるか。


 でも明後日からは週パスの導入が始まるから、みんなの負担も少しは減るだろう。

 ……ユウナはもうウチの仕事はしないかもしれないが。


 そして小屋に移動し、新規で来てくれた四人への説明と冒険者カード発行を終え、再び管理人室へと戻ってくる。


「チュリ(忙しいですね)」


「でもありがたいことだよな。魔物部屋のみんなは眠れてるか?」


「チュリ(はい。やはり実家が一番落ち着くみたいですね。ゲンさんもぐっすりです)」

 そりゃそうだよな。

 なぜかボネとタルもいっしょに寝てるようだ。

 ゲンさんがいるとみんなが一つにまとまる気がする。


「あ、そういやリヴァーナさんたちがまだなんだよ」


「チュリ(あ、言うの忘れてました……)」


「なにを?」


「チュリ(私はオーエドにいたんですけど、いきなりウェルダンが来たんですよ)」


「ウェルダン? カスミ丸といっしょに行動してたんじゃなかったっけ?」


「チュリ(そうです。それがなにやら土魔法の使い手で中級レベル以上の人がいないかを探してきてくれと頼まれたらしくて……)」


「土魔法? しかも中級レベル? カスミ丸は土魔法使えるんだろ? ……あ、土魔法じゃなくて土遁の術だっけ? 初級の土遁の術しか使えなかったのか?」


「チュリ(そこはもう土魔法でいいと思いますが……)」


 ほかにも火魔法のことを火遁の術とか言ってたな。

 みんな最初は興味津々だったが、普通の魔法とわかってガッカリしたもんだ。


「じゃあリヴァーナさんはウェルダンといっしょに忍者の里に行ったってことか?」


「チュリ(はい。リヴァーナちゃんだけではなく、あの家族全員で行きました。ウェルダンが持ってきた手紙には、中級土魔法の使い手求む、としか書かれてなかったので、おそらく四人はわけもわからずに行ったと思います。エマちゃんも私も忍者のことを言っていいかわかりませんでしたし)」


 よくそれで行く気になったな……。

 でも忍者の里なんて聞いたら行くのがこわくなるか。

 いや、リヴァーナさんなら楽しみにしそうだよな。

 まぁウェルダンがいるから大丈夫だろうとは思うか。


「で、なんのために土魔法の使い手を呼んだんだ?」


「チュリ(それが……家をそのまま持ってきたいらしくて)」


「家? ……なるほど。そういや大容量のレア袋を大量に持っていったってカトレアが言ってたな。自分の土魔法だけでは収納できる状態にできなかったってことか」


 最初から家を持ってくる気だったのか。

 そのまま大樹の森に設置すれば忍者の里の出来上がりだな。

 まさかララたちが見たいって言ったからじゃないよな?


「あ、そういやそのカスミ丸たちもまだ帰ってきてなかったな」


「チュリ(え……今気付いたんですか……)」


 完全に忘れてた。


 でも遅くないか?

 もう四日くらい経つよな?


「ウェルダンはいつ来たんだ?」


「チュリ(1日の午前ですね)」


 二日前か。

 じゃあもうそろそろ帰ってくるころか。


「というかララたちはまだ帰ってこないのかな」


「チュリ(遅いですね。もしかしたらサハの国より西にあるナミの国にも行ってるのでは?)」


「そうなのかもな。なら今日も帰ってこないのかもしれない。ララ、大丈夫かな」


「チュリ(Eランクパーティが二組も行ってるんですから大丈夫ですよ)」


「そうだけど、メタリンもウェルダンもいないから馬車での移動に時間かかるだろ? ララがイライラしてないかな~って思ってさ」


「チュリ(あ~、それはありそうですね。しかもオアシス大陸は砂漠という話ですし)」


 そっか、砂漠なんだよな。

 だとすると余計に時間がかかることになるのか。


 ……でも砂漠か。

 メタリンが馬車を引いたらどうなる?

 その前に馬車の車輪は回るのか?

 柔らかい砂だと埋まったりしないのかな?

 そうなると馬車での移動は無理だからみんな歩いての移動になるのか?

 砂漠に住む人たちは不便じゃないのか?


「ピピ、寝てるメタリンを起こさずに飛べるか?」


「チュリ(え……もし海の上で起きてしまったらパニックになると思いますよ……)」


「安らぎパウダーを飲ませる。でも今日はもうすぐ暗くなるから、明日の午前中に帰ってこなかったらだけどな」


「……チュリ(早く帰ってきてほしいです)」


 船で行かせてもいいんだが、ピピのほうが数倍速いからな。




 それから数時間が経過し、十九時を迎えた。


 帰省してた冒険者たちは明日の日曜に戻ってくる人が多いのかと思いきや、今日の時点でもう結構戻ってきている。

 明日一日は明後日からの修行再開のための準備時間にしたいという人が多いのであろう。

 ダンジョン攻略に向けて作戦会議とかもしてくれてたりするのかもな。

 こちらとしてはそろそろ地下四階を突破するパーティが現れてほしいんだが。


「ただいまなのです!」


「疲れたわ~」


 もう全員ダンジョンから出てきたな。

 ようやく今日の仕事が終わった。


「おかえり。二か月ぶりのダンジョンはどうだった?」


「最高なのです! でも正直腕が鈍ってたのです……二か月ぶりだから仕方ないのです……」


「久しぶりすぎて戦い方を忘れてたわ! そのせいか私としたことが少し魔物をこわいと思ってしまったわよ!」


 白白しい……。

 見てる暇はなかったが、二人ともわざと手を抜いてたんじゃないだろうな?


「じゃあ月曜からはもう大丈夫だな」


「当然なのです! 攻撃も回復も補助も全部やってやるのです!」


「私の氷で地下四階の海全部凍らしてやるわ!」


 二人とも今日一日だけで二か月のブランクを取り戻せたっていう設定か。


「ララちゃんまだなのです?」


「さっきジェマにサウスモナの役場に連絡取ってもらったけど、まだだってさ」


「心配なのです……」


「明日の午前中に連絡がなかったらピピに飛んで行かせるから心配しなくていい」


 きっとユウナより俺のほうが心配してるだろうけどな。


「カスミ丸たちもまだ帰ってきてない?」


「そっちもまだだな。家をそのまま持ってこようとしてるらしいから時間がかかってるのかもしれない」


「「家!?」」


「ユウナはリヴァーナさんが忍者の里に行ったことエマから聞いてるだろ? そのための土魔法らしい」


「なるほどなのです! 家の周りの地面を掘って家だけをレア袋に収納するってことなのです!」


「あ、じゃあリヴァーナもまだなのね? 私が帰ってきてからまだ一言も話してないのよ。ジャポングに旅立つ日に顔は合わせたんだけどね」


 ん?

 シャルルもリヴァーナさんのことが気になってるのか?


「それはそうと、もうすぐリヴァーナさんとサミュエルの二人での修行も終わりって言ってたぞ」


「リヴァーナちゃんはそのあとどうするのです? どこかのパーティに入るのです?」


「さぁな。でもパラディン隊の件でヒューゴさんパーティからソロモンさんが抜けるかもしれないから、そうなったら誘われるんじゃないか? それにティアリスさんのところはもしティアリスさんが抜けたら魔道士がゼロになるからな。ほかにも似たようなパーティが出てくるかもしれないし。パラディン隊の採用発表のあとはパーティ酒場も大混雑になるかもしれないな」


「「……」」


 どうするんだ?

 俺はこれ以上なにもしないからな。


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