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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第十一章 マナの守り人
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第三百八十四話 魔石レート変動

「気持ち良かったぁ~!」


 ララは自分も風呂に入ってきてからようやくリビングのソファに腰を下ろした。

 ジェマはボネのあとにダイフクのお世話まで任されて嬉しそうだ。

 嬉しそうなんだから任せっきりでもいいよな?


 ララの気持ち良かったは、風呂が気持ち良かったのか、戦闘が気持ち良かったのか、どっちの意味なんだろう?


「やっぱり戦いのあとのお風呂は最高だね!」


 両方か。

 あと数年もすればビールまでがセットになったりするんだろうか……。


「あ、ジェマさんありがとう! 大変でしょ!?」


「いえ、可愛さのほうが勝ってますから」


「わかる!? そうなの! 可愛いの!」


「はい。ついこの毛の中に埋もれたくなります」


「でしょ!? 乾いたらやってみて!」


 いつになくテンションが高いな……。

 やはり最近はストレスが相当溜まっていたんだろう。


「それよりララ、南マルセール駅東口から出たところの店舗の数が三十店舗くらいあるってのは本当なのか?」


「あ、バレた?」


「おい……」


 バレたってなんだよ……。

 それにご飯前にアイスを食べるなんて……。


「だってせっかくなにもないところに建てられるんだからお店も固めて建てたほうがいいでしょ? 駅前にお店があったほうがお客さん増えるし。裏のほうの住居に住む人だって観光客に来られても迷惑だしさ」


「まぁ確かに。でも三十は少し多すぎないか? ウチが貸し出せる金額だってそんなに……あ、今ならもう少し大丈夫なのか。ってそうじゃなくて、なにを考えてるんだよ?」


「ウチからは当初の予定通り数店舗しか支援しないつもりだよ? それに半分の十五店舗近くはもうすぐ入るお店が決まりそうだし」


「え? ……もしかしてほかの町の店に声をかけたのか?」


「うん。マルセールに駅がオープンしたときには王都やリーヌのお店が出店してきたでしょ? だから南マルセールにはサウスモナやボワールの人気ありそうなお店に声かけてもらったの。そしたら凄い反響だったみたいでさ」


「いつの間に……。ジェマ、そのことは聞いてないのか?」


「はい……。父たちもジェラード様とジュリア様のことに加え、ジャポングのことで頭がいっぱいでしょうから……」


 でもララがしてることはいいことだよな?

 タダではないといえ、サウスモナやボワールの店の人も支店が出せて嬉しいだろうし。

 ダンジョンの総支配人がなんで町づくりの指示をしてるかなんてことはさておき、ララも楽しそうだし。


「それよりロイス君、さっき言いかけた資金の話はどういうことでしょう?」


「ん? 移住者の人たちを支援するためにウチが数店舗分の開業資金を貸し出すことにしたんだよ」


「それはわかってます。数店舗分より多く出すことも可能かもみたいなこと言いませんでした?」


「あ、そっちか。実は昼間にリーヌからピピとメタリンが帰ってきたんだよ」


「あ、そうですよ! リーヌはどうなったんですか!?」


 そしてリーヌの封印結界や報酬の件を説明する。


「え……2000万G…………ですか」


 ジェマでも驚くほどの額なのか。

 町で動かしてるお金からしたら2000万Gくらいたいしたことなさそうだけど。


「でも2000万Gなんてすぐなくなるよ? 仮にパラディン一人の給料が月2万Gとして、百人雇ったらそれだけで月200万Gなんだからね? あ、町と折半だから100万Gか。それに冒険者村の初期投資にもかなりお金かかるしね~」


 正直この2000万Gはかなり助かった。

 当面の間は冒険者村の収入をあてにしなくてすみそうだからな。


「あ、そうだジェマさん。魔石のレートなんだけどさ、マルセールが世界で一番安くなりそうってのは本当の話なの?」


「……え? あ、魔石の話ですね。マルセールの魔石レートが安くなるというよりもほかの町でのレートが上がってるんですよ」


「私が安いの買い占めてるせいかな?」


「……おそらく」


 そうなのかよ……。

 カスミ丸とアオイ丸は大変だったんだな……。


「じゃあもうウチの冒険者たちが得た魔石はマルセールに売らずに全部ウチで買い取ったほうがいいんだよね?」


「そうですね。そのうちレートも以前のように戻ると思いますので」


「それはどうかな。今後は世界中で販売してる魔石のレートが一気に落ちるよ?」


「え? なぜですか?」


「だって町から一歩でも外に出れば魔物が大量に溢れてる時代になるんだよ?」


「え……」


 ウチにとってはプラスかも……なんてことは思ったらいけないよな。


 というか外に行けば魔物が大量にいるんならもうダンジョンなんて必要ないと思われるかもしれないんだった。

 高いお金を払ってまでウチに来る必要なんかないもんな。

 魔石レートが下がるということはウチのダンジョン内で得る収入も少なくなるってことだろうし。


「だからマルセールも南マルセールも北マルセールもそういうことを意識しながら町を構築していってね。町の人が魔物を見て不安になるなら王都みたいに町の周りに壁を作ってもいいかも。でも空からもいっぱい来るだろうしなぁ~。あ、効率良く魔石入手する方法を考えとかないといけないよね、お兄」


「そうだな。お金を使わずに討伐できて、なお且つ使用魔力以上の魔石を入手できれば言うことなしだ」


「じゃあやっぱり封印結界に雷魔法とか仕込むしかないか~そんなことできるかはわからないけどさ~」


「それができれば楽だな。……あ、カトレアの転移魔法陣を利用するか? 封印結界の外に転移魔法陣をいっぱい設定しといてさ、魔物を魔道ダンジョン内に誘い込むんだよ。そしてダンジョン内に転移してきた魔物たちをウサギが倒すんだ」


「お兄! 天才じゃん! それいいよ!」


「そうだろ? ……あ、港もそれでいくか。リーヌみたいにゲンさんに魔道柱を海に設置してもらうつもりだったが、転移させてダンジョン内で漁をしたほうが楽そうだ」


「お兄! 冴えてるじゃん!」


「だろ? あ、なんだかまだまだ閃きそうだ」


「お兄! その調子だよ!」


 ふふっ、自分でもビックリするくらいのアイデアが出せたと思う。

 これでララも俺を見直しただろうな。


「でもそれ、そんなに簡単に魔道ダンジョン内に敵を侵入させて大丈夫なんでしょうか? 例えばロイス君がマーロイ城で出会ったような敵がダンジョンの中で凄い魔法を使ったとしたらダンジョンの存在自体が危ぶまれたりしないですかね?」


「「……」」


 ジェマがいて良かったかも……。

 これをカトレアたちに提案してたら危機管理がどうたらこうたらで説教されてたな。


「ま、まぁとりあえずなにかアイデアを出すことでほかのいいアイデアが閃くということもありますからね!」


 ジェマは俺とララを気遣ってくれているようだ。

 なんだかそれが凄く申し訳ない。


「ミャ~(ねぇ、私も閃いたこと言っていい?)」


 ボネは今日初めてダンジョンに入った疲れか、ジェマに毛を乾かしてもらってる最中からウトウトしていた。

 それからずっと目を瞑ってたから完全に寝てると思ってたが、しっかり話は聞いてたんだな。


「ミャ~(水晶玉はまだあるんでしょ? それならもう一つ魔道ダンジョンみたいなダンジョンを創ればいいんじゃないの?)」


 なんだと?

 もう一つダンジョンを創る?


「ミャ~~(勝てなさそうな敵が侵入してきたら外に出れないようにして閉じこめちゃえばいいのよ。内部から強引に破壊しようとしてきても、ダンジョンコアとなる水晶玉を予め強力な封印結界で囲っておけばもし水晶玉が魔力暴発してもどうにかなりそうじゃない? ダンジョンの操作ならサブの水晶玉でもできるんでしょ?)」


「……」


「お兄もしかしてボネに怒られてる?」


「え……なんだかすみません……」


「ミャ~~(どこが怒ってるのよ? まぁダンジョンの破壊を試みるような頭がある相手は自分の身の危険も感じるだろうからそこまでしないかもしれないけどね。やけになったら知らないけど。でもウチだけが稼げることになるかもしれないのは問題じゃない? 今後はどの町でも冒険者が増えるって予想なんでしょ? それならその冒険者たちも稼げたうえでウチも稼げるようにしないとマズいんじゃないの? だからウサギに魔物討伐を任せるって案は反対ね)」


「……」


「ボネ、お兄をそんなに責めないであげてよ……」


「ボネちゃん、マッサージしましょうか?」


「ミャ(言葉がわからないって本当に面倒ね。でもマッサージはしてよ)」


 ……全部ボネに任せてみようか。

 俺は通訳するだけで良さそうだな。

 まぁこの案も気まぐれで言ってみただけなんだろうけどさ。

 明日になったら面倒だから勝手にしてよとか言われそうだ。


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