表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第十一章 マナの守り人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

358/742

第三百五十八話 子猫に相談

 九時半、受付もそろそろ終わりで良さそうな時間帯。

 今日はさすがに新規は来てない。


 現在ダンジョンに入ってるのは五百人弱。

 ということは約五百人が帰省していったってわけか。

 明日も二百人くらい帰省するのかな。


「ミャ~(頭撫でて)」


 管理人室のソファで子猫二匹といっしょに横になっている。

 大き目の猫であるダイフクは丸まって寝てるので俺はそれを枕代わりにする。

 まだ完全に子猫といってもいいボネは俺の胸の前で体を伸ばしきって寝転んでいるので、そのボネの頭を優しく撫でる。


 最高に至福の時間だ。


「ミャ~(もう少し強め)」


 ボネに言われるがままにモフモフする。

 命令されて鬱陶しく感じるはずなんだが、今の俺にとってはご褒美でしかないな。

 ボネ以上にフワフワの毛を持つダイフク枕がこれまた気持ちいい。


「ミャ~? (で、なに悩んでるの?)」


 よくぞ聞いてくれた。

 まだ生後三か月くらいの子猫のくせに、凄く気が利く猫だ。


 そしてティアリスパーティのことを相談する。


「ミャ~(ふ~ん。パラディンでいいんじゃない? ティアリスなりに考えがあってそっちの道に進むことを選んだんでしょうから)」


 パラディンでいいのか。

 俺としては不合格にする方向で考えてたんだが。


「ミャ~(というかあの兄妹いつまで三人いっしょにいるつもりなのよ)」


 確かに……。

 双子はいっしょに行動しないといけないんだろうが、ティアリスさんはそろそろ一人になりたいって思ってるかもしれない。


 ……双子だからっていっしょじゃなくてもいいのか。

 それならあの三人のためにもお兄さんのどちらかとティアリスさんを合格にして、もう一人のお兄さんとジョアンさんで新パーティを組んでもらうか。


 とにかくあの双子も一度ティアリスさんから離れてみるべきだな。


「ミャ~(一つのパーティにそこまで入れ込むのは管理人としてよくないんじゃない? それより次お腹)」


 頭よりお腹の毛のほうが気持ちいいな。


「ロイス君……少し目を離すとすぐ横になって……」


 カトレアか。


 さっきまでカトレアはゲンさんが復活したことを泣いて喜んでいた。


 ゲンさんはカトレアが抱きついてなかなか離れようとしないから困惑してたんだぞ。

 そして快気祝いとか言って朝っぱらから凄い量の料理が出された。

 俺は受付があったからここでつまみながらだったけど。


 ララは帰省する冒険者たちの見送りにも来ないでずっと料理を作ってたらしい。

 ゲンさんは元々あまり食べるほうじゃないのに。

 というか別に食べなくても大丈夫なくらいなのに。


 今は久しぶりに魔物部屋でみんな仲良くお昼寝中だ。

 お腹いっぱいになったから眠くもなるだろう。


「羨ましい……」


 そっちかよ……てっきり小言を言われるかと思ったじゃないか。


 仕方ないからダイフク枕を譲ってやることにするか。

 起き上がって場所を少し横に移すと、そこにすかさずカトレアが座ってきてダイフクにもたれかかった。

 そしてさっきまでの俺と同じようにボネをモフモフし始める。


「ミャ? (ちょっと? 気安く触らないでよね)」


「ボネちゃん、気持ちいいですか?」


「ミャ! (気持ちいいのはあなただけでしょ!)」


 ボネは逃げるように俺の膝の上に乗ってきた。


「まだまだ恥ずかしがり屋さんですね」


 違うから……。


 ボネはカトレアに懐こうとしない。

 今までの魔物とは全く違う性格のようだ。

 ダイフクは初対面の人に触られようが気にもとめないって性格なんだけどな。


「猫ちゃんは気まぐれなんです」


「ミャ! (バカじゃないの!)」


 怒るなって。


 こういうときは首筋を優しく揉んでやる。


「……ミャ~(もう少し強めでもいいよ)」


 さっきまでの怒りはどこにいったんだよ……。

 これを気まぐれと言わずしてなんと言うのか。


 ボネに気付かれないように、こっそりカトレアに俺がやってるように触らせてみる。


「ミャ?」


 瞬時に気付かれたようだ。

 手つきが微妙に違うんだろう。


「……ミャ~(続けていいわよ)」


 だがなんとかお気に召していただけたようだ。


 俺みたいに言葉が理解できればもっと仲良くできるんだろうけどな。


「ボネちゃんは賢いですよね」


「ミャ~? (そう? 普通じゃない? あ、もう少し右)」


 ボネは褒められて満更でもなさそうだが、はっきり言って普通じゃないと思う……。


 マーロイフォールドの魔道士タイプは体が大きくならず、非力なこともあって防御面は凄く脆いそうだ。

 その代わりに魔力面が発達するらしいが、魔道士タイプというだけあっておそらく知能も相当発達するんだと思う。


 特にボネの場合、生後間もなく濃い魔瘴の中で生活することになり、そのあとは魔瘴と正反対の存在であるマナの中で生活してるんだ。

 帝国にいたマーロイフォールドが魔瘴の影響で通常よりも巨大化してたように、ボネの魔力と知能が確変を起こしていたとしてもなんら不思議ではない。


 でもみんなにボネがこんな口調なんだと説明しても、誰も聞き入れてくれない。

 少し性格はきつそうだけど、さすがに子猫がそんな偉そうで生意気なシャルルみたいな口調をするわけないって言うんだ。

 ダイフクの口調に関してはあっさり納得してくれたのに。


「ミャ~(さっきの話、カトレアに話してみれば? ティアリスと仲いいみたいだし)」


 いつの間にそんな情報まで?

 どうやらウチの子猫は観察眼まで鋭いようだ。

 天才子猫ってやつだな。

 決して親バカではないと思う。


 そしてカトレアにもティアリスさんの話をした。


「……そうですか、ティアリスさんがパラディンですか」


 どう思うんだ?

 ララは反対しそうだが。

 ユウナはショックを受けそうだな。


「きっとユウナちゃんの影響でしょうね」


 ユウナ?

 どういうことだ?


「気付いてしまったんじゃないでしょうか。このままダンジョンで修行してるだけではユウナちゃんとの差は埋まらないと。帝国から帰ってきてからのユウナちゃんはダンジョンには入らずにずっと一人で集中して魔法だけに特化して修行してますし」


 なるほど。

 シャルルがいないから仕方ない部分もあるが、ユウナにとってはちょうどいい機会だったとも言えるもんな。


 もちろん戦闘技術や体力といった面を考えるとダンジョンに入ったほうがいいに決まってるが、魔道士は頭も使わないといけないからな。

 ティアリスさんはパーティを組んでる以上、勉強したいからと言って一人だけダンジョンに入らないわけにもいかないだろう。


 その点、パラディン隊における回復魔道士の仕事はまさに今のユウナみたいな状態に近い。

 教えてくれる人が周りにいれば勉強効率も格段に良くなるだろう。

 回復魔法に特化して修行してるだけで給料も貰えるんだからお金に困ることもない。

 ここでそんな生活をしようもんならたちまち宿代が払えなくなるもんな。


 ってそれを言ったら俺がユウナに甘すぎるとか言われそうだが……。

 でもユウナは受付の仕事を手伝ってくれてるからな、うん。


「結局ユウナちゃんもティアリスさんもロイス君がきっかけだったのかもしれませんね」


 俺?

 俺がなにかしたか?


「マーロイ城でユウナちゃんは目の前のロイス君を守れませんでした。封印結界に集中してたからロイス君やゲンさんへ補助魔法をかけることもできなかったんです。さらに二人が重傷を負ったにも関わらず、ユウナちゃんご自慢の回復魔法もほとんど効果はありませんでした。そうなると回復魔道士がいた意味が全くありませんからね。とても不甲斐なさを感じたはずです」


 あの状況じゃ仕方ないと思うんだけどな。

 ユウナに一人で封印結界の負担をさせてた俺たちも悪いと思う。

 全員がユウナに頼りきりだったからな。


「ティアリスさんからしたら、ユウナちゃんがなにもできなかったのに封印魔法も使えない自分だったら全滅してたかもしれないと思ったことでしょう。屍村でロイス君とゲンさんの状態を知ったあと、しばらく放心状態だったとお聞きしましたし」


 そうだったのか。


 ってあのとき確かシャルルに強く言われてたよな?

 そのせいじゃないのか?


「だからこそ、より成長するためのパラディン隊志望です。悪い方向になんていくはずありません。お兄さん二人にとっても独り立ち……二人立ち? するいい機会です。妹にばかり頼っていては兄として情けないでしょうからね」


 なんだか俺が言われてるみたいだ……。

 俺なんてララがいなけりゃなにもできないのに……。


「ミャ~(言われてるよ? ふふ)」


 やはり俺のことだったか……。


「ボネちゃん気持ちいいですか? とにかく、今ティアリスさんは新しい可能性にかけてるんです。パラディン隊が合わなかったら冒険者に戻ってくるでしょうから、今回はぜひ合格にしてあげてください」


 う~ん。


 パラディン隊に回復魔道士が欲しいのは確かなんだが、ウチのダンジョンの回復魔道士がいなくなるのは厳しいよな。

 パーティに回復役は絶対に必要だし。


 もちろん攻撃的パーティも面白くていいんだが、戦闘中だとポーションをがぶ飲みできない場合もあるからな~。

 ユウナがララみたいに杖に回復魔法を錬金できればある程度の問題は解決するんだが、そう簡単にはいかないみたいだし。


 パラディン隊で募集する回復魔道士の理想は、冒険者を引退した人とかが来てくれることだよな。

 戦闘がメインではないから、全盛期より体力が落ちてても問題ない。

 魔法の腕は簡単には落ちないそうだし。


 まぁあとでララに相談するしかないか。


「ミャ~(ねぇ、さっきからドアの外で聞き耳立てられてるわよ?)」


「聞き耳? お客か?」


「ミャ(違うわね。足音を立てないように近付いてきたもん)」


「なに? 怪しいな……ってすぐ外にいるんだよな……」


 魔物部屋の魔物たちはなにしてるんだよ?

 って寝てるのか。

 まぁ聞き耳なんて立てても聞こえるわけないから別にいいけどな。


 ……いや、怪しいんだから寝てても気付かないとダメだよな?

 ドラシーも魔物たちも少し気が緩んでいるようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=444329247&s
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ