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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第十一章 マナの守り人

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第三百五十六話 レンタル馬車

 今朝の宿屋フロントはリョウカ、シンディ、ルッカの三人フル体制で対応している。

 思ってた以上に今日帰る人が多いようだ。


 フロントに並んでる人たちは、端末では手続きができない新サービスの利用者だろう。

 昨日の夕方に放送で簡単には説明をしてあるが、三人からはさらに入念に説明がされているはず。

 こちらも予想以上に利用者が多いようだ。


「ロイス君おはよ~」


「人いっぱいだね~」


 アグネスとアグノラも大忙しだな。


「馬車の準備はどうだ?」


「ばっちりだよ~」


「もうみんな列車に乗ってるよ~」


 帰省にあやかった新サービスは馬車の貸し出しだ。

 有料になるけどな。

 馬一頭にミスリル馬車一台、それにトイレ馬車、エサ、ゴミ袋や簡易馬小屋などが入ったレア袋、さらに魔道列車の馬車両往復乗車券まで付いてなんと一日たったの200P。


 貸し出し日数は事前申告制で、七日間だと1400Pになるが複数人で割ればとてもお安い料金になる。

 延長料金は少しお高く一日300P。


 馬の面倒を見なければいけないのは面倒に思うかもしれない。

 だがそれを差し引いても、自分の好きな時間に好きな場所へ、さらにウチで鍛えられた普通より丈夫で速い馬、安全なミスリル馬車とくれば借りたくもなるだろう。


 ただし、借りられるのはEランク以上の冒険者だけとしてるけどな。


「リーヌ行きあと三人募集! 出発はこのあと八時で、ここに戻ってくるのは日曜日の夜! 料金は人数均等割りだ! 行きだけでも構わないぞ! その場合は料金も行きの分だけでいい!」


「ラスの町まで王都経由のルートであと五人ほど募集します! 今日中には着きたいのですぐに出発できる方限定で! 料金は片道50Gです! 途中のマッシュ村や王都まででも大歓迎ですよ!」


 ダンジョン酒場内では活発に募集が行われているようだ。


 一台の馬車には最大十人まで乗れるから、なるべく多くの人を乗せて出発してくれようとしてるんだろう。

 自分の料金を安くしたいというのが一番の目的ではなく、Fランク以下の冒険者たちを安く早く郷里に送り届けたいと考えてくれてるんだと思う。

 それに旅は誰かといっしょのほうが楽しいし、なにより同じ郷里の仲間かもしれないしな。


 昨日のその放送のあと、馬車貸し出しに興味があるEランク冒険者に集まってもらい、馬の扱い方についてはレクチャーしてある。


 とはいってもEランク冒険者たちのほとんどは帝国の一件で既に馬の世話は経験済みだから確認のようなものだけどな。


 あんな魔瘴や魔物だらけの中でちゃんと世話できてたんだから今度は余裕だと思う。

 簡易とはいえ馬小屋もあるんだし。

 王都やリーヌといった栄えた町中で馬小屋を設置するのは難しいかもしれないが、そこはなんとかするんだろう。


 馬や馬車を粗末な扱いした冒険者には痛いお仕置きが待ってることくらい理解してるはずだ。

 そんな罰則みたいなこと実際にはしたことないんだが、噂が勝手に独り歩きしてくれてみんなが丁寧に乗ってくれるだろうからこれはこれで楽でいい。


「私たちは予定通りソボク村からボクチク村~?」


「本当にサウスモナはいいの~?」


「あぁ。サウスモナは遠いし、あっちはヒューゴさんたちに任せておけばいい。屍村でも世話してくれてたから多少数が多くてもなんとかなる。明日の帰省組のときもわざわざ駅に手伝いに来てくれるらしいし」


「わかった~」


「送り出したら家でお昼ご飯食べてから帰ってくるね~」


「もっとゆっくりしてきてもいいんだぞ? ってどうせまた明日も行くことになるか」


「うん、でも明日から三日間は泊まってくるね~」


「あ、そうなのか。牧場のことは俺やウサギに任せてたまにはのんびりしてこい」


「うん、村の牧場もかなり広くなったらしいから楽しみ~」


 結局村でも牧場のことか。

 本当に動物が好きなんだな。


 さて、ヒューゴさんたちはどこにいる?


 ……酒場内には見当たらないな。

 そういやストアもオープンしてたっけ。


 ダンジョンストアに入ってみる。


 あ、いた。

 ヒューゴさんはホルンとなにか話しているようだ。


「おはようございます」


「あ、管理人さん! おはようございます!」


「馬車の件、お願いしますね」


「それはお任せください! 明日も朝一で駅に行きますので!」


「ありがとうございます。……なんだかテンション高いですね」


「開通前の魔道列車にいち早く乗れることが楽しみで仕方ないんです! サウスモナ駅の仕上がりも楽しみですし!」


 列車自体はなにも変わってないのに。

 まぁ今までビール村からサウスモナの町へ馬車で四~五時間かけてた道を列車で三十分ほどで行くのとは景色も全然違って見えるか。


「それとこれ見てください! ベンジーへのお土産に作ってもらったんです!」


 ん?

 杖?


 ……魔石装着式の新作魔法杖か。

 しかもユウトさん作のちゃんとしたやつじゃないか。


 でもまだ販売はしないってことだったよな?


「少し前にヒューゴさんから相談されたので、カトレアさんに話してみたんです。ベンジーさんに渡そうと思ってるということも。そしたらカトレアさんがベンジーさんにならと、特別に作ってくださいました」


 特別にかよ……。

 まぁベンジーさんにはサウスモナの町での移住者の受け入れや魔道列車、さらに魔道化のことで色々と世話になってるからな。


「中の魔法は?」


「ララちゃんの中級風魔法です。杖の内部の魔力プレートは途中から二軸に分かれてますので切り替えれば初級風魔法としても使うことができます。もちろん初級魔法のほうが使用魔力が少ない分、多く放つことができますね」


 中級風魔法か。


 ララは帝国から帰ってきて以来、風魔法と雷魔法の修行を多めにしてるっぽいな。

 杖に自分の魔法を実装できることが楽しいからということもあるだろうが、リヴァーナさんやギャビンさんたちに指導してもらったおかげで中級レベルまで成長したんだろう。


「あ、しかもこの杖の魔石なんですけど、魔力切れの際にわざわざ新しい魔石に交換しなくても魔力を直接注入することだってできるんです」


「おお~? それももう実装できたのか」


「え? 知ってたんですか?」


「俺が要望したからな。誰か近くに魔力持ちがいるんならエーテル代のほうが魔石代より遥かに安いし。なにより交換用の魔石を持っておかないといけないってのが面倒だ」


「なるほど、ロイス君の帝国での経験が活きてるってわけですね。でもロイス君が持ってる魔法剣とは違って、この杖の魔石はほかの魔石から直接魔力だけを吸収することだってできますよ?」


「なにっ!? それは便利だな! ……でもそこまでいくともう魔道具みたいじゃないか」


「そうなんです。便利ですけど、少しお高めの魔道具という扱いになってしまいそうで……」


 カトレアは気を利かしたつもりだろうが高級杖に仕上がってしまったというわけか。

 というかおそらく今後のことを考えて、交換用の専用魔石をたくさん錬金しないといけなくなるのが面倒だったからに違いないな。


「で、いくらになるんだ?」


「それは改めて相談しようかと思っていたところです。実装する魔法のレベルや種類にもよると思いますし。この杖に関しては試作品なので無料でいいということでしたが」


「あぁ、これは問題ない」


「そこなんですけど、本当にタダで頂いてよろしいんですか? なんだか凄く申し訳ないですけどね……こんなとんでもない杖、私なら3万P、いや、5万P出しても買いたいくらいですよ。……安いですかね?」


 高いだろ……。

 ストアで一番高いミスリル製品でも1万8千Pだぞ?


 でも正直この杖の適正価格が全くわからん。

 ヒューゴさんが言ったように5万P出しても買いたいという人がいるかもしれない。

 というか俺だったら買う。

 誰にでも中級魔法が使える杖なんて夢のようだもんな。


「ヒューゴ、どうだった?」


 グラシアさんとヴィックさんも来たようだ。

 それにソロモンさんもいっしょだ。

 そしてヒューゴさんが三人に状況を説明する。


 この四人は屍村で意気投合したらしく、この一か月半弱はパーティとして活動していた。

 決してリヴァーナさんに断られたからソロモンさんを入れたとかではない。

 ソロモンさんがパーティに入れてほしいとお願いしたそうだ。


 このソロモンさんが元帝国騎士隊長であるスタンリーさんの息子だと聞かされたときは驚いたが、話す口調を聞いて妙に納得してしまった。

 まぁ帝国魔道士だったということのほうが色んな意味で驚きだったけどな。


「中級風魔法!?」


「今までの魔法杖とは少し形状も違うんだな」


「こんなものが本当に作れるのでありますか……」


 リアクションが様々だな。


「管理人さん! 中級魔法が出せる魔石なしの新作魔法杖の販売はいつになるの!?」


 グラシアさんの食いつきが凄い……。

 ストア内にいるほかのお客も何事かと思ってこっちを見てる。


 というか近いから……。


「少し落ち着いてください」


「あ、ごめんなさい……。でも早く欲しいの」


「回復魔道士の方にとっては格段に戦闘の幅が広がるでしょうからね」


「うん。で、いつなの?」


「まだ色々と調整中なんです。実はこの杖、先月からウチで新しく働いてもらってる木工……じゃなくて、杖職人が作ってるんですよ」


「「「「えっ!?」」」」


「あまり期待されても困りますからまだ内密にお願いしますね。その杖職人、この通り腕とセンスは抜群なんですが、職人としての経験はまだ浅いんですよ。だから日々勉強しながらになりますので量産ということがなかなか難しいものでして」


「それは仕方ないと思います。我々も同じく毎日が修行の身ですから気持ちはわかりますとも。それよりも杖職人の方が来てくれたことを喜びましょう。グラシア、だから焦ってはダメです」


「え~……」


 そうは言われても欲しいに決まってるよな。


 ソロモンさんの実力は三人に比べて落ちるとはいえ、四人パーティになった以上、地下四階突破に一番近いのは間違いなくこのパーティだ。

 グラシアさんが中級攻撃魔法を使えるようになればそれもより現実的になるだろう。

 攻撃することに気を取られて本来の仕事である回復や補助がおろそかになるおそれもあるけどな。


「ちなみに、中級魔法以上の杖は受注生産にする予定です」


「え、そうなの?」


「はい。理由は……それはまた今度にしましょうか」


「え~っ!?」


 言おうとしたところでホルンにとめられた。

 まだ確定もしてない情報をこれ以上言うなってことだろう。


「それよりもう出発の時間のようです。馬たちのこと、よろしくお願いしますね。良い年末年始をお過ごしください」


 こっちは大忙しの年末年始にならなければいいけど。


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