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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第十章 帝国大戦乱

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第三百二十三話 地下探索

 再びウェルダンがいる地下の部屋にやってきた。

 これ以上トラブルを起こしてもあれなんで、村見学はやめにした。


 俺にケンカを吹っかけてきた二人は今頃カーティスさんにこってりと絞られているはずだ。

 幸いにも俺が岩壁を少し破壊したことについてはなにもおとがめなしだったので助かった。

 あれくらい土魔法ですぐに直せるんだろう。


「剣は危ないから勝手に触っちゃダメだぞ?」


「ミャ~」


 まだわからないだろうな。


「ピュー!」


 ペンギンが子猫たちの子守をしてくれている。

 封印結界内に入ったら出てこられなくなるからな。

 赤ちゃんが赤ちゃんの子守ってのもなんだか変な気がするが。


「チュリ(ウェルダン、気持ちよさそうに寝てますね)」


「そうだな。本当にこれで良くなってくれるといいんだけど」


「チュリ(それよりその左手の指輪、また光ってます)」


「今度はいつから光ってた?」


「チュリ(やっぱり階段を下りたくらいからですかね)」


「ということはこの部屋というよりこの地下になにかあるかもしれないのか」


 カーティスさんやジジイにはウェルダンの部屋にいるって言ったけど……ちょっとくらいはいいよな?


「少し探索してみよう」


「チュリ(いいんですか? ……気になるので私も行きたいですが)」


「じゃあ決まり。行くぞ」


 ペンギンたちを抱えて部屋を出る。

 とりあえず下りてきた階段から遠いほうに向かって歩き出した。

 通路が薄暗いんだよなぁ。


「なんで誰も歩いたりしてないんだろうな」


「チュリ(地下には入っていけないことになってるんじゃないですか? 二階より上にはそれなりに人いましたよ。今は封印結界のおかげで外で村を守らなくてもいいですからみんな暇してるんですよ)」


「そんなことを言われたら二階以上になにがあるのか気になるじゃないか……」


「チュリ(家とか修行用の施設だけですって。その施設もウチの環境と比べるまでもないですから別に見なくてもいいですよ)」


 ピピってたまに酷いこと言うよな。


「チュリ(ロイス君……)」


「え……」


 今のは口に出してなかったはずだが……。


「チュリ(光が強くなってます)」


「光? あ、指輪か。……本当だな」


「ピュー!」


「ミャー!」


「ニャー!」


 ペンギンたちが騒ぎだした。

 と思った瞬間、ペンギンが腕からするりと抜け出し、地面に着地して走り出した。

 ……凄く遅い。


「おい、危ないから走るな」


「ピュー! ピュー!」


 大丈夫、それより私に付いてこい。

 と言ってるのか?


 あ、転んだ……。

 話しながら後ろを振り返るからだよ……。


「ピュ~~~~」


 泣くなって……。


 右手で掴んで左腕の中に戻す。


「どっちに行きたいんだ? こっちでいいのか?」


 ペンギンが手で……そういやこれって手なのか?

 羽か手かよくわからないな。

 でも飛べないんだから羽じゃなくて手でいいのか?

 まぁそれはいい。

 泣きながら手で行きたい方向を指している。


「チュリ(この子はマナを感じ取れるのかもしれませんね)」


「そうかもな。……どんどん光が強くなってる気がする」


 ペンギンはマナの力に導かれて大樹のダンジョンまでやってきたのかもしれない。

 そう考えるといい魔物に見えてくるな。


 そしてペンギンの指示通りに歩いていくと、ある部屋の前に着いた。


「ここでいいのか?」


「ピュー!」


 すっかり泣きやんだペンギンは嬉しそうにしている。


「なんだか見るからに厳重なドアだな……」


「チュリ(これ絶対勝手に入ったらダメなやつですよ……)」


「だよな。…………どうする?」


「チュリ(え……カーティスさんに聞きましょうよ……)」


 ピピも案外保守的なんだな。

 まぁ鍵がなけりゃ入れないだろうが。


 ……ん?

 見れば見るほど不思議なドアだな?


「このドアどういう作りになってるんだ?」


「チュリ(う~ん、このドアに描かれている模様どこかで見たことあるような……)」


「というかどうやって開くんだ? シャッターみたいに上に上がるのかな? まさかただの壁とか?」


「チュリ(……あ、もしかして)」


 ピピがなにか閃いたようだ。


 だが次の瞬間、ピピが慌てて後ろを振り返り、俺の肩からも離れた。

 つられて俺も振り返るが、なんとピピは風魔法を放ってるではないか。


 ……そして数メートル先でなにかとぶつかったように魔法は消えた。


「どうしたんだよ!?」


「チュリ(向こうから風魔法が飛んできました。……誰か来ます)」


 え……ピピが気付いてなかったらまともにくらってたってことか?

 こんな薄暗い通路でしかも不意打ちで魔法を放つなんてまるで俺を……。


「チュリ(あ……)」


「え? 知ってる人か?」


 そして足音が近付いてくるとともに、姿がはっきり見えてきた。

 ……誰だ?


「……そこでなにしてる?」


「……道に迷いまして」


「嘘をつくな。あの部屋からどう間違えたらこんなところに来れるんだ?」


 眼光の鋭いお爺さんだ……。

 誤魔化しはきかなそうだな。


「……すみません。少し探索してみたくなりまして」


「ふん。それならこんな暗くて不気味なところじゃなくて上に行け」


「そうですよね。すみません」


「……でもなぜその部屋の前にいた?」


 ん?

 やはりなにか特別な部屋なのか?


「このペンギンがこの部屋になにかあるんじゃないかと言いまして」


「ピュー!?」


 私に責任を押し付けないで!

 と言われてる気がする……。


「……ペンギンテイオーの子か?」


「え? わかるんですか?」


「隣の二匹はマーロイキャットか……魔物使いというのは本当のようだな」


 ここには魔物博士ばかりいるのか?


「あの……なぜ魔法を放たれたのでしょうか?」


「この村ではその部屋に近付いた者はお仕置きをすることになってる」


「え……すみません」


「いや、ワシもおそらく君だろうなとは思ってたが、この騒ぎに乗じて不審者が侵入してる可能性もあるからな」


「そうですよね……あ、俺ロイスって言います」


「あぁ、カーティスとルーナから聞いてる。上でなにか騒ぎが起きてるから駆けつけてみれば、当事者の一人は地下に行ったっていうじゃないか。それで部屋に行ったら牛しかいない」


「すみません……少し気になることがあったものですから」


「気になること? なんだ?」


 このお爺さんこわい……。

 ずっと怒られてる感じがする……って怒られてるんだろうけど。


「この部屋の中、マナが濃かったりしません?」


「マナだと? 部屋の中がか?」


「あ、違ってたらいいんです。なにか特別な部屋のようですのでそう思っただけですから」


「……」


 だからこわいんだって……。

 で、このお爺さん誰なんだよ?


「……この扉は開かずの扉と呼ばれている」


「開かずの扉? 開かないってことですか?」


「そうだ。少なくともワシが生きてきた中で開いたという話は聞いたことがない」


「え……開けたらいけないんですか? それとも開かないんですか?」


「後者だ。開け方を知ってるものはおらん。もちろん色んな方法を試してみたが開くことはなかった。それこそ今ワシの魔法が扉に当たっててもビクともしなかっただろう。だからなにか危険なものが封印されてる可能性もあると考え、ここには近付いてはいけないという村の決まりになってる」


 危険なもの……。

 ドアを開けた瞬間に悪魔とかの封印が解けたりするのかな……。

 魔王よりもこわいものだったりして……。


 ん?

 でも開けようとはしてたってことだよな?


「開けてもいいんですか?」


「なんだと? 開けれると言うのか?」


「いや、それはわかりませんが……少しお待ちを。ピピ?」


「チュリ(たぶんこの模様、転移魔法陣じゃないですか?)」


「転移魔法陣!?」


「なにっ!?」


「チュリ(いつもドラシーさんが作ってるものとそっくりです。誰も通れないとなると、きっとなにか設定されてるんですよ。例えばウチのダンジョンの転移魔法陣は指輪をはめてないと通れないようにしてますよね?)」


「……もしかしてこの指輪が光ってるのは?」


「チュリ(試しにドアに触れてみてください)」


 え……それはさすがにこわくないか?

 悪魔がいるかもしれないんだぞ?

 もしかしたら魔王がいるかもしれない……。

 魔王がこの中で必死に魔工ダンジョンを構築してたらどうするんだよ……。


「チュリ(大丈夫ですって。マナが溢れてるとしたら危険は少ないはずです)」


 危険がないとは言わないのかよ……。

 でも中になにがあるのかを知りたいのも事実。

 ペンギンたちを右腕で抱えなおして、と。


「……よし、行くぞ。俺から離れるなよ?」


 そして左手でドアに触れた。


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