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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第十章 帝国大戦乱

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第二百四十五話 執事との朝食

 六時に目が覚めた。

 あまり寝ていない気もするが、眠気はいっさい感じない。

 昨日一日で色々なことがあったせいか、頭がずっとフル回転してる状態なのかもしれない。


 トレーニングエリアに行く余裕はさすがにないな。

 まず朝食にするとしよう。


 バイキング会場に行くと、そこには既にセバスさん一家がいた。

 結局宿に泊まっていったんだな。


「おはようございます」


「「「おはようございます」」」


 たまにしかない家族水入らずの時間の邪魔をしちゃいけないよな。


「ロイス様! 早くお料理を取ってこちらに!」


「いえ、お構いなく。一家団欒を楽しんでください」


「いえいえ、そんなこと言わずにどうぞ!」


 ……気を遣わせてしまったか。

 一晩経ったから昨日のあの件については忘れてくれてるといいんだが。


 サンドイッチとポテトを山盛取り、セバスさんの隣の席に座る。


「おお!? 朝からそんなに食べられるんでございますね!」


「なんだか最近以前よりお腹が空くようになりまして」


「トレーニングのおかげかもしれませんな! 体もがっちりしてこられたようでございますし!」


 なんで朝からこんなテンション高いんだよ……。

 しかも早朝だぞ。

 というかジェマもいつもはもっと遅くまで寝てるじゃないか。


「普段からこんなに朝早いんですか?」


「いえ、今日は少し気分が高揚してるせいで早く起きてしまったんです!」


「高揚? 昨日は大変なことばかりでいいことなんかなかったでしょう」


「いやいや、ロイス様が仰ったマルセールに港を作ると言う件! 落ち込んでた私の気分を一気に高めてくれるものでございました!」


「……」


 落ち込んでたなんて言う必要なくないか?

 セバスさんとメアリーさんは笑顔で俺を見てくるが、ジェマはまだなんのことか知らないせいかじっと俺を見つめてくる。


「でも港って言ってもただ船から乗り降りするだけですよ? あ、そういや馬車はもう必要なくなりましたから御者さんたちに言っといてくださいね」


「そちらはお任せを。それより港のことです!」


 だから港がなんなんだよ……。


 三人は食器が乗ったお盆を片付け、テーブルの上に地図を広げ始めた。


「マルセール中心部より南に徒歩で約四十分、ここに港を作ってはいかがでしょうか?」


「まぁそこらへんが無難でしょうね」


「おお!? では決定でよろしいでしょうか!?」


「近ければ別にどこでもいいわけですから」


「では早速今日から作業お願いします! 魔道プレートも追加で埋めたほうがいいかもしれません! 移住者の方にはひとまずその港付近の魔道ダンジョンに住んでいただきたいのです! そして移住者の方たちみなさんのお力で港町を作っていただこうかと思ってるのですがいかがでしょうか!?」


 本当はマルセール駅のところに仮の住居を作ろうと思ってたんだが、確かに港からマルセールまでの移動を考えたらそのほうが楽でいいか。

 水晶玉もいくつか余分に手に入るだろうし、魔道プレートを埋めるのだって徒歩四十分くらい程度ならすぐ終わるしな。


 ……ん?


「最後なんて言いました? 移住者の方がなにを作るって?」


「港町でございます!」


「……」


 港町……町だって?


「……港町ということは作った船をそのまま旅客船として使うんですか?」


「いえ、それをしてしまいますと魔道列車のお客様を奪うことになってしまいますからしません。なので港は主に漁港として利用することになると思います」


「漁港ですか……。このあたりは魚が獲れるんですか?」


「大樹の水が流れ込んでるんですからそれは期待できます!」


「じゃあなぜ今まで港自体なかったんですか? 俺は魚が獲れないからと思ってましたが……」


「大樹はもちろんのこと、大樹の森全体が神聖なものとして扱われておりますので。それとここより西には魔族領がございます。そのため魔物も多く出現するおそれがございますので漁が禁止となったとお聞きしました」


 神聖な森、魔物が多く住む魔族領。

 ギャップが凄いな。


「魔物のことはいいとして、その神聖な森の近くで漁なんかして大丈夫なんですか?」


「そこはロイス様の判断に委ねられますが……」


 俺の判断だと?

 俺にそんな大事なこと決めさせるなよ……。

 ドラシーが激怒したらどうするんだ。

 それに魔物がいっぱい出るんじゃ危険に決まってる。


 ……いや、漁船も同じ仕様にしてしまえば問題ないか。

 普通の魚よりも魔物がいっぱい獲れたりして。

 でももしマグロンみたいなのが群れで襲ってきたらさすがにミスリルの船もヤバいんじゃないか?


 ……海中に魔道柱を埋めて、魔道線を張って封印魔法をかければ魔物は入ってこれなくなるか。

 でもそれじゃ普通の魚も入ってこれなくなるよな。


 ……封印魔法で結界の檻みたいにしちゃえばいいのか。


 普段は港付近だけを結界で守ってそれ以外の結界は開放状態。

 漁をするときだけ沖にある外側の結界を起動させて魚を内側に閉じ込め、もし危険な魔物がいたらウチの冒険者が撃退すればなんとかなったりするのか?

 倒せなさそうだったらまた結界を開放して出ていくのを待ってもいいしな。


「漁港の建設は雇用を生むために大事なことなんです……」


「数万人もの方々を養わないといけなくなるかもしれないんです……」


「ロイス君がいれば森の自然を破壊するような事態は起きないと思うんです……」


 確かに雇用の問題は大きい。

 それにまず食料の問題に直面するだろう。

 ウチのダンジョン産の物だけで養うわけにもいかない。

 八百屋や肉屋のおじさんが言ってたが、普段は普通の物を食べてるからこそダンジョン産の食材がより美味しく感じるんだそうだ。


 ウチの冒険者たちは毎日贅沢してると思われるかもしれないがそれはまた別の話だ。

 とにかく強くなるために魔力と栄養たっぷりの物を食べて体を作ってもらわないといけないからな。


「少し検討してみます。港町と呼ぶかどうかはさておき、港がある町を作ることは決定でいいんじゃないですか。でも木を伐採したり海岸線の土地を削ったりするのはやめてください。木が邪魔でどうしても抜かないといけないときはゲンさんに頼むようにしてください」


「もちろんでございます!」


「森と海が融合した美しい町を目指します!」


 執事とかいう設定はどこにいったんだよ……。


「……ではあとで下見に行きましょうか。下見と言っても船に乗れるようにはしますけどね」


 三人は満足したのか、日曜の朝六時半過ぎにも関わらず魔道列車でマルセールに向かっていった。


 馬車の件、移住者の受け入れ準備、ボワールとサウスモナに対して帝国の最新状況報告および近隣大陸に異変が発生してないかの確認依頼など、やることがいっぱいだそうだ。

 今は緊急事態だからとはいえ、本当によく働くよな。

 どこかのお城の人たちみたいになにもしなければ楽なのに。


 リビングに戻ってきてソファに座るなり、まだ呼んでもないのにドラシーが現れた。


「朝っぱらから元気ねぇ~。ちゃんと睡眠は取らなきゃダメよ?」


「眠気は全くないから大丈夫だと思う。で、さっきの件聞いてたんだよな? どうなんだ?」


「いいんじゃない? アタシが漁したらダメって言ったわけじゃないもの」


「そう言われると断る理由がなくなるじゃないか」


「そんなこと言ってやる気だったんでしょ? でも町を作るからってこの付近まで侵入してくるのはやめてね?」


「それは大丈夫だ。隣村までの道に植えた木も順調に育ってるだろ? 今度の町の中にも木をいっぱい植えようと思う」


「それはいいわね。おかげで木のみんなも喜んでるわ」


「……もし今魔瘴が襲ってきたら木のマナだけで守れるか?」


「少しの魔瘴ならね。でも封印魔法による結界も張るんでしょ? それならなんとかなるわよ」


「なんとかってことは完全に安心はできないってことか……」


 マナと封印魔法のコンボでも無理ならもう手の打ちようがないな。

 そうなったらダンジョンの世界に逃げ込んで粛々と生活をするしかない。


 ……そうなる前に魔王を倒せたら一番いいんだけどな。


「魔族領にさ、もう魔王の城できてるかな?」


「さぁね。今回は前回と比べて成長が異常に早いみたいだからもうあるかもね。でも行くのはおすすめしないわよ? 今のアナタじゃ魔瘴にやられて終わりよ」


 いや、俺が行くわけないんですけど……。


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