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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第九章 魔道計画

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第百九十八話 魔力プレート

 昨日は結局マリンたちから報告を聞くことはできなかった。

 きっと王都までの日帰りの旅ということで相当疲れてたんだろう。

 錬金術師ギルドでのプレゼンとやらも大変だったに違いない。


「魔物との添い寝は好評のようだな」


「はい。魔物というよりペットと寝る感覚ですからね。みんなカワイイですし」


 ララも久しぶりにピピと寝れたからか、朝から機嫌が良かった気がする。

 一年前までは毎日いっしょに寝てたんだけどな。


「もし今後ゲンさん級とはいかないまでもデカい魔物が仲間になったらどうする?」


「……」


 小さいからカワイイんだよな。

 それにメタリン以外はもふもふだし。


「九時半から会議な。報告がメインだし、場所はリビングでいいか。みんなに言ってきてくれ」


 参加者は俺とララとユウナと錬金術師四人の計七名。

 いまのところ極秘事項だからほかの従業員にはまだ秘密だ。


 そして九時半になり、みんなが集まってきた。

 モニカちゃんから全員に資料が配られる。


「じゃあまず昨日の報告を頼む」


 どうやらマリンが話すようだ。


「では始めます。昨日のプレゼン内容は主に魔力プレートについてがメインで、トロッコ列車については今後はこういうものに活用できたらいいですねと紹介した程度です」


 そうなのか。

 てっきりトロッコメインでのプレゼンをしたのかと思ってた。


 というかマリンのこういう口調は新鮮だな。


「今現在、大樹のダンジョンとマルセール間に埋まっているプレートを少し改良しました。より魔力伝導率の良い物、そしてより魔力効率が良くなる物を追求した結果です。当然今後も進化していくでしょう」


 マリンはみんなに10センチ四方のプレートを見せる。


 ミニ大樹とミスリルの合成プレートだったよな。

 見た目は前のとあまり変わっていないようだが。


「これに魔力を流すと……光ります」


「「「おぉっ!」」」


 声を出したのは俺とララとユウナの三人。

 ほかのみんなは知ってるから驚きはないよな。


「これは魔力によって光る塗料を錬金時に混ぜてるからです。ただのデモンストレーション用なので特に意味はありません。それに市販の魔道具にもよく使われてますよ」


「「「……」」」


 驚いたのがバカみたいじゃないか。

 このプレートごと道にしちゃえば夜道も安全なのに。


 というか報告というよりもプレートの説明になってしまってるがまぁいいか。

 ララとユウナはまだ詳しくは知らないしな。


「以前と大きく変わったところは耐久性です。長期間地中に埋めることを想定して、絶対に腐食しないように設計しました。プレート外側はミスリルの薄い板になってます。その代わり内部はミニ大樹の木の割合を少し増やしてます。もちろん地中以外で普通に使う分にも壊れることはまず考えられません」


 薄い板とはいえミスリルだもんな。

 それこそマグマドラゴン級の魔物に攻撃されない限り大丈夫だろう。


「耐久性よりも注目してほしいのはこのミニ大樹の魔力伝導率です。伝導率だけで言えば本物の大樹を凌ぐかもしれません。ってドラシーが言ってました。この伝導率とはそもそも……」


「「「……」」」


 それからしばらく伝導率についての専門的な説明があった。

 だが俺には終始なにを言ってるのかさっぱりわからなかった……。

 ララとユウナも目が死んでいるように見える。


「……つまり効率的に魔力を利用できるということです。このダンジョンで使ってる魔道具にも順次このプレート技術を取り入れていこうとみんなで話してます」


 やっと終わったか。

 魔力を節約できるんならどんどん取り入れてくれ。

 仕組みは説明してくれなくてもいいから。


「そして次に魔力プレートに魔力を供給する魔道具についてです。これはここ以外で使用することを考え、魔石をセットする方法、魔力を直接注入する方法とよくある物にしました。ただし、この森のようにマナが溢れてる場所からは自動で周囲の魔力を吸収できるようにもできます。逆に言えばその土地の魔力を枯渇させるおそれもあるということです。そうなった場合、その土地からマナはなくなり、土や木は当然枯れます」


「「「え……」」」


 それはマズいんじゃないか……。

 って今もう既にトロッコをそうやって動かしてるけどさ。

 さすがにその供給魔道具はここ以外では使ったらダメだな。

 供給というより吸収か。


「でもこれも設定で変更できますのでご安心を。ちなみに魔瘴からも魔力を吸収できることは確認できましたが、魔瘴がなくなることはありませんでした。それどころか濃くなったように感じましたのでそれ以上の実験は中止にしました。やはり魔瘴は浄化しないとダメみたいですね」


「「「……」」」


 なんて危ない実験をしてるんだよ……。


 というかどこで実験したんだ?

 どこか魔瘴の濃い場所まで行ってきたのか?

 魔瘴を意図的に発生させるなんて魔王か魔工ダンジョンしかできないだろ。


 ……でもその魔工ダンジョンを意図的に作れる物がウチにはあるな。


 四人の錬金術師を順番に見るが誰も俺と目を合わせようとはしない。

 ユウナを見ると、俺と目が合った瞬間に顔ごと目を逸らした。

 こいつ、なにか知ってるな。


 もしかしなくても錬金術エリアで実験したんだろう。

 きっとその魔瘴を浄化したのはユウナだ。

 水晶玉の実験中とでも聞かされてたのか?

 まぁさすがにドラシーの結界内でやってたんだろうから別にいいけどさ。


「とまぁ前置きは長くなりましたが、即刻無事に認可はおりました。ギルド長が魔力プレートを譲ってくれってうるさかったので少しだけ渡しましたけどね。色々調べさせるんでしょうが、このプレートに使った技術の使用および販売権利はもう私たちにあるんですから構いません。心おきなく魔道計画を実行することができます」


「魔道計画!?」


「なんなのです!?」


「ん?」


「えぇ~~、聞いてないの? お兄ちゃんどういうこと?」


 気が抜けたのかマリンの口調がいつものに戻った。


 ララとユウナにはこの前言わなかったっけ?


 ……あのときはまだ実験中だから詳しくは言わなかった気がしないでもない。

 それにララは負傷してたし疲れてる様子だったから、地上にトロッコを作ったって言った程度だったかも。


「すまん。話した気になってた」


「もぉっ。話が進まないでしょ。お兄ちゃんの案なんだからちゃんとお兄ちゃんの口から説明してよね」


「あぁ。とりあえず報告はお疲れ。あとはゆっくりしててくれ」


 マリンはバナナジュースを一気に飲み干し、追加でカフェラテを注文したようだ。


「お兄、魔道計画って? 魔導図書館のことじゃなくて? その魔力プレートを使ってなにかするの?」


「シャルル育成計画のことかもしれないのです。シャルルちゃんを大魔道士に育て上げるつもりなのです?」


 いやいや、シャルルが来たのはまだ一昨日の話じゃないか……。

 魔導図書館も魔道計画の一端と言えば聞こえはいいな。

 魔導と魔道で意味が少し違ってくるけどな。


「魔道計画とはその名の通り、魔力の道を作る計画だ」


「「……」」


 あれ?

 驚かないのか?

 もうあるじゃんとか思ってる?


「えっと、ララとユウナが魔工ダンジョンに行ってる間にトロッコを作るために土を掘ったって話はしたよな? そのときに地中に埋めたのがさっき紹介してくれた魔力プレートの初期型のやつなんだ」


「うん、それは前にお兄から聞いたよ。それにさっきマリンちゃんも言ってたじゃん」


「トロッコを走らせるためのレールの役割をしてるって聞いたのです」


「うん、そうだな。言わばそのレールは魔力の道だよな?」


「……もしかしてそのレールを延伸するって話?」


「えっ!? マルセールより先にってことなのです!?」


 さすが理解が早いな。

 でもララならすぐに問題点が山積みのことに気がつくだろう。


「あぁ、そうだ。だがこのままトロッコを地上で走らせようとすると色々と問題が出てくる」


「「……」」


 ん?

 問題点をあげてくれるのかと思ったら違うのか?

 なにか考えてるんじゃなくて俺の次の言葉を待ってるって感じだな。


 ……もうその問題は解決済みって思ってくれたのか。


「だからここ二週間くらいカトレアに色々調査や実験をしてもらった。そしてマルセールより先においても比較的楽にトロッコを運行できそうな方法を見つけることができた」


「「……」」


「その方法とは…………」


「「……」」


 カトレアはニヤニヤしている。

 ララとユウナの驚く顔が見たくてたまらないんだろう。


 マリンとモニカちゃんは自分たちの製作した物が採用されることが嬉しいのか、喜びが隠せてない。

 スピカさんはそんな三人の様子を微笑ましく見守ってるって感じか。


「お兄!」


「早く言うのです!」


 ララとユウナが怒った……。

 また俺の焦らし癖が出てしまったようだ。


「トロッコが走る道をダンジョン化するんだ」


「「……え?」」


「え? だからダンジョン内でトロッコを運行させるんだって」


「「は?」」


「は? 例えばマルセールとソボク村間の道をダンジョンで再現して走らせるんだよ。まぁ別に忠実に再現する必要はないんだけどな。もちろん入り口や出口は地上だ」


「「……」」


 なぜ伝わらない?

 現実味がないからか?

 カトレアが調査と実験をしたって言ったのに信じてないのか?


「ロイス君、それだけでは誰もわかりませんから。水晶玉のことも早く話してください」


「ん? 俺がまず考えたことが道のダンジョン化だったからさ。ララならすぐわかってくれるかと思ったんだけど……」


「ララちゃんは病み上がりですからね。それに普通はそんなこと考えたとしても実現しようとは思わないんです。だから結論だけ言うんじゃなくて、最初私たちに調査をお願いしてくれたときと同じように説明してください」


「ん、わかった」


 面倒だけど一から全部説明するしかないか。

 ……もしかしてあとでもう一回同じ説明をすることになるのか?


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