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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第七章 家族だから
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第百六十二話 面談

 新しい従業員たちに会議スペースに集まってもらった。


 こちら側は俺、ララ、カトレアの三人。

 向かい側にはクラリッサさん、オーウェンさん、ネッドさん、シエンナさん、アグネス、アグノラの六人が座っている。

 メイナードにはまだしばらくカミラさんの傍に付いていてもらうことにした。


「では改めまして、俺が管理人のロイスです。こちらが妹のララでして、ウチの経営者でもあり料理長でもあり冒険者でもあります。このダンジョンで一番権力があるのがララとお考えくださって結構です。ちなみに十一歳です」


 さすがに驚いてるな。

 ララは肩書きがありすぎるから毎回適当に言うことにした。

 ララも俺がなにを言おうが適当に流すことにしているようだし。


「こちらはカトレアです。俺とララの従姉にあたります。カトレアの母親のスピカさん、妹のマリンもウチでいっしょに住んでます。ちなみに三人とも錬金術師です。あ、カトレアは十八歳ですのでネッドさんとシエンナさんと同い年ですね」


 これまた驚いてるな。

 クラリッサさん以外はカトレアが錬金術師だってことを知らなかったはずだ。

 それとも錬金術師が三人もいることに驚いたのか?

 ……カトレアの見た目と年齢のギャップにかもな。


「ではまず当ダンジョンについての説明からさせていただきますね。ここの従業員となられる以上、冒険者たちのことを知ることも大事ですから」


 それからいつも新規の冒険者たちにしてる説明を始めた。

 アグネスとアグノラもお菓子を食べることなく聞いている。


「……というようなことを基本として覚えておいてください。みなさんが知らないと冒険者も不安になりますからね」


 一度聞いただけで全てを理解するというのは不可能だ。

 だが聞いたことがあるのとないのとでは大きく違うからな。


「ではみなさんの仕事について順番に説明させていただきます。その際に希望があればなんでもおっしゃってください」


 従業員の希望にはできるだけ応えたい。

 ウチはブラックじゃないからな。


「まずオーウェンさん、以前お話させていただいた通り、厨房での調理を担当していただくということでよろしいですか?」


「あぁ、もちろんだ」


「できれば七時~八時半、十時半~十三時半、十七時~二十一時の計八時間半は入っていただきたいのですが」


「あぁ、わかった。空いてる時間もなにか手伝えることがあったら遠慮なく言ってくれ。余分に給料をくれなんて言わないからさ」


 素晴らしい。

 本当にもっと働いてくれるんなら遠慮なく給料は受け取ってくれ。

 ……でもララがいる以上そこまで働かせることはできない。

 空いてる時間は自分のために有効に使ってほしい。


「では次にネッドさんとシエンナさんですが、事前にお話ししていた内容と少し変更がございまして。牧場でのカウカウ牛やアルパッカ、カイッコ等のお世話はこちらのアグネスとアグノラがやることになりました。なので農作物の管理とお酒含むドリンク類の製造をお任せしますね」


「わかったべ! でもそれだと時間があまるべ?」


「そうだべ~。それなら私もほかになにかお手伝いできるべ?」


 ふむ、この二人も仕事がしたくてしたくてたまらないタイプか。


「ねぇお兄、ならシエンナさんにも朝食全部と夕食の最後だけ入ってもらえないかな?」


「うん? ……確かにそれならミーノの負担が減るな」


「それいいべ! 私も料理がしてみたいべさ!」


「それはありがたいです。じゃあ七時~八時半で朝食、二十時~二十一時まで夕食と片付けお願いします。大変でしたらいつでも言ってください」


「わかったべ!」


 そうするとリョウカに二十時以降手伝ってもらう必要もなくなるか。

 ミーノも朝はパーティ酒場に顔を出せるからメロさんも出てこなくてよくなるし。


「オラはどうするべ?」


「う~ん……あ、バーの店員とかやってみますか?」


「バーだべ!? やってみたいべさ!」


「今までは自動販売魔道具での提供にしてたんですけど、その場でプロが注いでくれたらまた味も変わりそうですしね。バーにいても作れるお酒でしたらその時間にそこで作ってもらうといいかもしれません」


「わかったべ! 冒険者に直接お酒を渡せるなんてやりがいがあるべさ!」


 『べ』と『べさ』の使い分けはどうやってしてるんだろう?

 ……気にするだけ無駄か。


 でもこれでよりダンジョン酒場が盛り上がることは間違いなしだな。


「で、アグネスとアグノラは保存エリアでの料理仕分けな。それと牧場の魔物たちやウサギのお世話も頼んだぞ。朝食の転送はウサギに任せて大丈夫だからな」


「「は~い」」


 朝食のときに作るのは卵料理がメインだからな。

 種類が少ないのなら保存エリアもウサギたちだけで十分だろう。


 おにぎりやサンドイッチなどは自動販売魔道具でも販売するから昼間にまとめて作るし。

 ご飯や味噌汁やカレーは大量に作ってあるものをウサギたちが入れてくれるし。

 明日からの新メニューのクロワッサンもカトレアが作るしな。

 だから厨房の朝食要員も二人で大丈夫なはずだ。

 なにかあったらララだけじゃなくミーノもメロさんもいるし。


「最後にクラリッサさんですが……」


「はい……」


「もしカミラさんがこのまま元気になられたら村に戻られますか?」


「いえ、ここまでしてもらっておいてそれはできません」


「ウチは全然それでも構いませんよ? 村で家族揃って暮らせるのでしたらそれが一番だと思いますし」


「でも……あんな高そうなお薬きっと私が一生働いても手に入れることできませんでしたし……」


「それは気にしないでください。あのポーションみたいなやつの原材料ならウチに大量にありますし、これからもいくらでも作れますから」


「え……そうなんですか……」


「はい。だからあなたたち家族がしたいようにしてくれて結構ですよ」


 悩んでいるようだな。

 さすがにこの選択は可哀想か。


「じゃあ俺からお願いしたいことがあるんですけどいいですか?」


「え? はい、私にできることでしたらなんでも!」


「ではここで美容師として働いてくれませんか? それと空いてる時間は防具屋の手伝いをしていただきたいんですが」


「…………はい。ありがとうございます……ぜひやらせてください」


 俺がなんでそのことを知ってるのかを瞬時に理解したようだな。

 だが泣くのは待ってくれ。


「ですがこれからはカミラさんの補助ではなく、自分だけでも仕事ができるようになってください。補助はウサギがしますので、そのウサギたちに仕事を教えてあげてくださいね。防具屋の仕事も同じです。ウチの裁縫職人たちと連携取りながらやってみてください。防具以外の服もみんな必要としてるはずですから」


「はい! やってみます!」


 うん、やる気に満ちたいい目だ。


「ではクラリッサさんのことはそれで決定として、カミラさんとメイナード君のことはどうしましょうか? お二人だけ村に戻られるという選択肢もあると思いますし、ここに家族で住まれるというのであればもっと色んな選択肢があります」


「一度母と相談させてもらってもよろしいですか? ここには固定のお客さんが大勢いらっしゃいますから私一人ではとてもやっていけません。もちろん防具屋の仕事も母といっしょにお役に立ちたいと思ってます。それにメイナードにもなにか仕事を与えてやってくれませんか? あの子も働く気満々なんです」


 ベストな答えだな。

 俺にとってだが。


「そう言っていただけると思ってました。ではまずこの一週間は三人で店を開く準備を整えてください。カトレアが全力でサポートしますので難しく考える必要はありませんよ。なにが必要になるか、どんな店の作りにしたいかを教えてくれればいいだけです。村の家に必要な道具があるんでしたらいつでも馬車で取りに戻ってくださって結構ですので。メイナード君の仕事は店の準備が整ってから決めましょう」


「はい……本当にありがとうございます」


 メイナードも美容師やればいいんじゃないかな。

 まずは見習いから。

 ウサギたちと競いながら成長すればいい。


「ネッドさんとシエンナさんも今週はお酒造りのための環境を整えてください。カトレア以外にもスピカさんとマリンの二人がいますからなんでも言ってみてくださいね」


「「わかったべ!」」


「オーウェンさんは明日から厨房に入ってください。今いる従業員たちに交代で休みをとらせたいんです。しばらくはミーノが指導係となりますのでよろしくお願いします」


「あぁ、わかった」


「アグネスとアグノラはこの調子で頼んだぞ。お腹が減ったら好きなときに好きなだけ食べていいからな」


「「うん! 嬉しい~!」」


 うん、問題なさそうだな。


 俺の仕事は新規の受付とミニ大樹の水やりだけだし。


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