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15(7月1日・月)

 午後になって雨はやみ、


「あー食べた。私ってハンバーガーよりポテト食べたかだけかも」


 コーラを啜って彼女が満足げな顔を見せる。

「食ったら帰るぞ」


「えー。せっかくやもん、洋服とか見て行きたか。夏服、少なかっちゃんね」


 やはり女か。行動パターンは同じだ。


「見るのはいいけど俺はつき合わないぞ」


「よかよ。ひとりで見るけん」


 制服姿でエスカレーターに乗ると、彼女はまず二階で降りた。同じような制服姿が何人も見える。皆はしゃいだ顔を見せ、揃えたように三人組だった。


 ショップへ入って行くと彼女は何の変哲もないTシャツを手に取って眺めていた。俺は店頭のマネキンが来ていたひまわり柄のワンピースから目が離せなかった。きっと彼女に似合うと思うのだ。


「うわー、買うてしもうた。今月のお小遣い大ピンチ」


 それでも嬉しそうな顔で彼女は包みを胸に抱く。


「今日はそっち行かないから」


 前カゴにふたり分のカバンを乗せて歩くと、那珂川に辿り着いていた。


「ふーん、分かった。あ、それからね、斉藤さんに『関口君とつきあってるの?』って訊かれたけん、ウンって言うとったよ」


 彼女はいたずらっぽく舌を出して笑った。


「そういうこと、勝手に言うなよ」


「どうして? 私たちつき合っとるよ。それに関口君も同じこと生月さんに言うたろ?」


 彼女は笑みを崩さない。しかしやりきれない思いが身を包む。


「斉藤だけには言うなよ! 俺の気持ちはどうでもいいのかよ!」


 すると彼女は身体を震わせた。見る見る笑顔が消えてゆく。


「ゴメン……なさい」


 彼女はカバンを手に取り、無言で背を向けると歩き出した。




 家に帰ると母はいなかった。制服もそのままに五百円玉の置かれたテーブルでブランデーを一気に飲んだ。なぜか無性に酒が美味かった。


 何杯飲んだのか、酔った頭でベッドへ横になると、ようやく後悔が押し寄せてきた。言いたかったことはそうじゃない。斉藤がどうこうじゃない。それを口にするのは自分が先だと思っていた。ケーキのイチゴを取られた気分で、文字のごとく子供っぽい怒りが湧いたのだ。彼女の言い分は分かる。これだけ一緒に過ごした仲で、それを否定するのは卑怯だ。でも、だからこそ、最初のひと言は俺から言わせてもらいたかった。安っぽいプライドだが、その話は大学に入ってからだと勝手に決めていた。俺もまた自分勝手だった


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