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エッセイ

酒を飲んで管を巻く親御さんが情けなく見えても、少しだけ考えて欲しい事

作者: ロロサエ

くだを巻くとは酒を飲んで酔っ払い、取り留めのない話を繰り返したり、同じ不平不満を言い続けるような事です。

御家族の中にそういう方はいらっしゃいますでしょうか?

私の父親はまさにそうで、毎晩酒を飲んでは同じような文句(会社や上司だったり)を口にして家族に絡んでいました。

毎晩ウンザリでした。


心に溜めているモノがあるから管を巻くのでしょう。

不平不満がなければ、社会や会社に文句を言う筈がありませんから。

誰でも成功者になりたいのは当たり前ですが、残念ながらそう上手くいかないのが現実の悲しい所です。

一番の問題は自分の能力不足でしょうが、割り切れないのが凡人の悲しいさがです。

周りが悪い、運が悪かったと思い込んで自分を慰める。

それでも消せない苛立ちに、酒を飲んで紛らわせようとするのでしょう。

酒を飲めば自制心が弱くなります。

素面しらふでは抑えていた不平や不満が顔をのぞかせ、管を巻く事になります。


私の父親にも夢があり、それは発明でした。

社会の役に立つような機械を作りたいと思っていたようです。

休日などは机に向かい、図面を引いていたりしてました。

けれども現実は甘くなく、報われないまま約10年前に他界しました。


どうして自分は駄目なんだ、そんな事を思いながら毎日を過ごしていたのではと、今となっては思います。

上がらない賃金に溜息をつき、その中から引かれる税金の額に憤り、子育てに掛かる費用に頭を悩ませ、病気や怪我で働けなくなったらどうしようと、尽きぬ不安に怯えていた筈です。

40を越えても独身のまま遊んでいる私には想像がつきませんが、家族を養うという責任感の重さは半端ないと思います。

自分には無理だなと思ってしまいます。


だから管を巻いても許せと言いたい訳ではありません。

毎晩やられたらウザイですからね。

いい加減にしろと怒鳴りたくなりますよね。

私がそうでしたから良く分かります。

毎日お仕事ご苦労様と思っても、毎回だとキレますよね。


しかしですね、ここでちょっとだけ、親御さんの気持ちを自分の身に置き換えて考えてみましょう。

舞台は「なろう」です。

アナタは作家で、自信を持って異世界モノを書き始めました。

しかし現実は厳しく、書いても書いても人気が出ず、感想も付きません。

自分より後から書かれた、同じような内容、展開の作品が人気となり、感想もついてランキングを上がっていきます。


そんな状況は面白くありませんよね?

どうしてあっちは良くて自分の作品は駄目なんだと悩みますよね?

何が違うんだと、教えてくれと思ってしまいますよね?

それでもそんな感情を押し込んで、同じ作品を続ける事が出来ますか?

矛盾を指摘され、面白くないと罵倒されても、それでも黙々と書き続ける。

放ってしまう事をせず、誰かに愚痴を吐くでもなく、責任感で書き続ける。

アナタに出来ますか?


家族を養う為に仕事を頑張る親御さんと似ていません?

仕事でも若手が自分を追い抜き、出世する事はあります。

頑張っている割に評価は変わらず、給与は中々増えません。

失敗なんて誰もしたくないのに、不注意なのか自分の怠慢なのか運が悪かったのか、失敗してしまうのが人間です。

上司に怒られ、嫌味を言われる中、下げたくもない頭を下げねばなりません。

それでも働かなければならない。

全ては家族の生活を守る為です。


趣味の活動と生活の糧を得る事とは違うと言われればその通りですが、何となく想像がつきませんか?

酒を飲んで管を巻いてしまう気持ちを。

どうにもならない現実に打ちのめされながらも、それでも働かなければならない親という立場を。

世の中には子育てを途中で放り投げてしまう人もいますよね。

私もエタらせた作品があります。


酒を飲んで管を巻いている親御さんは、それでも翌朝には仕事に出ているのではありませんか?

責任を果たしているのではありませんか?

確かに毎晩管を巻かれたら迷惑以外の何物でもありませんが、そこは考えて頂きたいと思います。

それだけの思いを抱きながらも働いているという事実を。

働きもせず管を巻いている人は除外しますが。

職に就いて家族を養うという事は、それだけでも大変な事ですよ。

責任を負いたくない私には無理だなぁと。

なので、ちょっとだけでいいので、管を巻いていても許してあげて欲しいと思います。

ちょっとだけ。

うるさくされたら執筆も出来ないですからね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 私も父も、 家では、 酒を飲まないですし、 仕事の愚痴も、 一切言わないので、 経験をした事が無いのですが、 なんとなく、 必要性は、 理解出来ます。 [一言] 私も、 仕事の愚痴を、 聞…
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