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4-12「透明人間には小麦粉を」♤

スペード視点でのお話です。

 

「お食事の時間です」


 昼飯時、特に特徴のない真面目な船員に呼ばれたのでクローゼットにいるトオハを置いてダイヤと外へ出る。扉からは死角になって見えないのを逆手に取ってダイヤがトオハに小さくする魔法をかけたようだ。これで何があってもトオハがみつかることはないだろう。


 船員について階段を上り食堂へ行くと食堂にはダーン伯爵以外の船客が揃っていた。


「伯爵は? 」


 朝食の時には既にいたので疑問に思ったオレがひょろ長い船員に尋ねると船員は首を横に振る。


「伯爵様は昔から夜型のようでいつも昼食はパスされているのです」


 と返答が帰ってきた。


 つまりあいつにとって朝食が夕食で夕食が朝食だったわけか……一食食べれないなんて伯爵は損だねえ


 なんて考えるもオレもダイヤも食欲なんてほとんどないわけだが。2人とも出されたマログの刺身に手を付けてはいなかった。脂が程よくのっててオレの大好物とはいえ昨日のことを思い出すと食う気になれない。やたら食っているのは髭の男だけだ。ここまでくるとよく食えるものだと感心する。


「実はあっし1つ思ったことがあるんですぜ」


 散々食うだけ食った髭男ベアドが深刻な顔で口を開いた。それを皆黙って耳を傾ける。


「もしかしたら……この船に透明人間がいるかもしれませんぜ! 」


「「透明人間! ? 」」


 皆驚きの声をあげるもそれを気にした素振りも見せずに髭男は続ける。


「透明人間ならチケットなしに入って殺人を犯して何食わぬ顔で船内をうろつくことが可能ですぜ」


「そんな、透明人間の無賃乗船は出来ないように入り口はしております! 」


 髭男の推理をひょろ長い船員は憤慨した様子で否定する、すると髭男は船員をギロリと睨みつけた。


「だから透明人間が木箱から入ったんじゃねえんかって話になるんですぜ! 」


 そう言われたら船員はガックリと肩を落としてドアを自分が通れるギリギリまで開けて部屋から出て行った。痛いところを突かれたのだろう。


 それにしてもこの男は昨日はゴブリン今日は透明人間とコロコロ言い出して何がしてえんだ? しかし透明人間か……


 オレはダイヤを横目で見る。


 確かダイヤは透明になる魔法ってのが使えるらしいけど最初がトオハで次はダイヤとオレの仲間を疑うように仕向けてんのか? 気のせいだと良いんだが。


 疑いの念を込めて髭男を睨みつけているとドタドタと音がしたと思ったら突然ドアが勢いよく開いた。


「それでしたらこれで確かめましょう! 」


 声のした方向を見ると先ほどの船員だった。手に何やら紙袋を持っている。


「そ、それは? 」


 髭男がおったまげた顔で尋ねる。


「小麦粉です! 」


 船員は嬉しそうに答え続ける


「こちらをバルコニーの扉を以降閉め切りお客様お立会いの元部屋含めた船中に撒かせていただきます! もし透明人間がいれば粉がかかるか落ちた小麦粉上にそいつの足跡が残るって寸法ですよ! 」


 なんて力技だ……透明人間を見つけるにはこれしかないのか?


 オレ含む乗客は皆ポカーンとしている。ただ船員の顔が止めても無駄だということは分かりきっていた。


 ダイヤに再び視線を向ける、すると今度は目が合いお互い苦笑いをした。恐らく考えていることは同じだろう。


 小さいままだと掌にでも乗せない限り危険なのに船員がいちゃ却って怪しまれるからな……


 オレ達はこれから小麦粉まみれにされるであろうトオハの心配をした。

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