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4-10「予期せぬ証言」♤

「大変なことになりましたね 」


 ダイヤがオレに囁く。事件の発覚の後、現場は荒らされると困るからと立ち入り厳禁であると告げられたうえオレ達は食堂へと誘導された。


 食堂では1人黒い小洒落たスーツ姿にモノクルといった伯爵のような上品な男が食事をしていた。


「おや、何事ですか? ククッ」


 なんて間の抜けた顔で尋ねるも事情を聞いて深刻な表情をする。それにしても、「ククッ」って笑い方は流行ってんのか?


「こちらで全員です」


 そう囁く声が聞こえた。室内にはオレとダイヤにさっき目撃した冒険者らしき3人グループにゴブリンを見たという髭の男に伯爵みたいな男しかいない。


 この伯爵以外は全員見た顔だった。この広い船にしては人が少ないと気になってはいたが本当にこれだけなのか?


「皆様、この度はこのような事態を招いてしまい誠に申し訳ありませんでした。また、事件によりこの船はスーフォではなく近くの陸地、魔法鑑定士との合流も兼ねてトーイスの南端であるムラサイの町に停泊させていただきます。これより先はいつゴブリンが現れるのか分かりませんので見張りの一層強化及び食堂へ向かう際は我々船員が同行させていただきます」


 ひょろ長い船員が皆に聞こえるような大きな声で言った。そして船員が言い終わったのをみて3人組の冒険者がヒソヒソと喋り出す。


「とんだ旅行になっちまったな」


「ゴブリンなんて警護されなくてもオレがやっつけてやるのに」


「よりによって老人を襲うなんて」


「おやおや、何とゴブリンによる殺人事件とは! ククッ! 」


 3人組の会話を聞いて伯爵がおったまげた顔をする。


 しかしこういうときなんだからその笑い自重しろよ、ったく。オレは伯爵を一瞥した後に


「そういやさ、あのおっさん以外に誰かゴブリンみたやつっているのか? 」


 3人組の剣士が辺りをキョロキョロとさせる。オレはそれを聞いて小さく舌打ちをする。


「嫌な流れですね」


 ダイヤがオレに囁く。彼女に頷いてから口を開く。


「オレはフードを被った陰らしきのはみたけどもしかしたら見間違いだったかもしれねえ」


 それを聞いて無精髭のゴブリン目撃者のおっさんは眉をひそめる。この段階では目撃者はあのおっさん1人で皆半信半疑だけどここで誰かが名乗り出た場合この船にゴブリンがいてそのゴブリンが犯人ってことが確定しちまう! そうなると万が一トオハが見つかったら……


 動揺を隠して無関係を装うためにも辺りをキョロキョロする。すると先ほど居眠りをしてたガタイの良い船員が口を開いた。


「通風孔の中には確かにいませんでしたね」


 おおっ! 絶望しかけたが予想外にもこちらに有利な情報だ! このまま犯人は人間って方向に持っていけりゃ!


 オレがそう思いあまりの喜びに笑ってしまうのをこらえようとしたときだった。


「でも……」


 嫌な言葉が耳に入った。そんなオレにはお構いなしに船員は続ける。


「小麦粉が入っていた箱がいつもより重かったよな」


 そう先ほど大声を出したひょろ長い船員に声をかけた。それをするとひょろ長船員は何かを思い出したように答える。


「そういえば、そうでした! あれ小麦粉が入ってるにしてはいつもより少し重かったですね。そう、丁度……小さなゴブリン1匹位」


「そう! つまりゴブリンはああ見えて意外と力があるので腹が減ったのか運良く見張りが眠っているときに扉を拳で叩き壊し驚いた被害者の老人をすぐさまジャンプして取った置物で撲殺、壊した扉から逃亡した……あっしが思うにこういうことですぜ! 」


 その話を聞いて食堂がざわついた。


 あ、あの野郎……


 2人が話しているのは恐らくトオハが船に潜入するために入った箱の話だろう。トオハのあまりのトラブルメーカーっぷりにオレもダイヤも絶句するしかなかった。



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