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3‐1「緑色の肩」

 森を出てからまっすぐニンビギのほうへ向かう。みてみると木で先ほどは死角だっただろう門の前に栗毛色の馬と御者が率いる一台の馬車が止まっていた。馬車は車輪が大きく窓があるものの深く背筋を伸ばして座れば中がみえない作りだった。


「お嬢ちゃん忘れ物は見つかったかい? 」


「はい、おかげさまで……まだ森の中に会ってよかったです」


 会話を聞くにどうやらダイヤは御者の人に「森の中に忘れ物をした」とでも言ってここで待っていてもらったようだ。


 御者は彼女が扉を開け踏み外さないように馬車に乗ったあと戸を閉めたのを確認すると


「それじゃ、ドンカセまでね! 」


 と手綱を引き歩き出した。


「トーハさん、もう出ても大丈夫ですよ」


 彼女が馬車が出発したのをしらせるためにバッグを置き囁く。


「いやこれでも快適だからこのままでいいよ」


「そうですか、すみませんがトーハさん、王様から頂いた本を読んでみてもよろしいですか?魔術の書のようなのですが………………」


 彼女が申し訳なさそうに尋ねる、話を聞くに王様から何かを貰ったらしい。


「構わないよ、いやむしろそのほうが良いかも。あまりこうやって囁くと御者に誰かがいると悟られてしまうかもしれないから」


「そういわれるとそうですね。迂闊でした、すみません」


 彼女がハッと御者のほうをみるも彼は演技か不明だが特に聞き耳を立てているという様子もなくすれ違った馬車の御者に挨拶をしていた。


「いや、気にしないで用心深いだけだから。ところでこの馬車って人数ごとに料金変わるの? 」


「いえ、この馬車は距離で金額が決まるので人数は関係ありません」


 彼女がきっぱりという。人数は関係ないということでホッとする。人数という点ではゴブリンは恐らくカウントされないので1人であっているのだろうが………………。


「それを聞いてちょっと安心したかな、それにしてもパンルからも透明になる魔法の紙を貰ったりと忙しいね」


「大丈夫です、私も頑張らないといけませんから。それにパンルさんの透明になる魔法は昨日何とか形にできたので……」


「え、もう!? 」


 それを聞いて目を見開く、一夜で魔法を1つ使えるようになったって早すぎない!?


「パンルさんがコツを教えてくれたお陰ですよ」


 彼女が付け足したが


「それでも凄いよ!頼もしいよ! 」


 とありのままの感想を述べると


「もう、煽てても何も出ませんよ」


 と彼女は照れたようで頬が少し赤くなりサッと本を開き目を通し始めた。


 さて、彼女が魔法を学んでいる間、俺もうかうかしてはいられない!


 こっそりと外の様子を覗いてみると周囲は荒野で森が遥か向こうに見えた。余りの広さに呆然とする。


 ここを歩くとなると相当骨が折れることだっただろうな……


 と、外ばかり見てはいられない。何か俺も今後の戦いが有利になるように必殺技のようなものを編み出さなくては!こうしている間にもダイヤは魔法を…………ん?


 ダイヤのほうに視線を移すと彼女は何かハッとしたようで凄い勢いでページをめくっていた。速読というのがあるらしいが彼女はそれができるのだろうか?魔法の勉強でもできるなんて便利なものだなあ


 と感心していたその時────


「えっ!!!? 」


 彼女が大声を出した。余りに突然だったのでビクッと身体が震えてしまう。御者も驚いたようで馬車が急停車する。


「どうかしたのかいお嬢ちゃん! 」


 御者が何かあったのかと心配そうに振り向く。


「いえ、何でもありません。失礼しました」


 ダイヤが慌てて訂正するも御者は振り向いて出発させようとはしなかった。御者はすっかり面食らった顔である一点を見つめている。


 彼の視線を追うとそこには────さっきの悲鳴で震えうっかりバッグから出てしまった緑色の俺の肩があった。


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