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16‐12「黄金の剣」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


 魔王の雄たけびが轟く。そして必死になって眼下をキョロキョロと見回した。


「奴は! 奴はどこだ! 」


 血眼になって俺を探す魔法。しかし、見つからずその隙に冒険者たちに次々と攻撃をされ苦悶の表情を浮かべる。


「ええい! 鬱陶しい! こうなればこの街毎まとめて……」


 そこまで言って言葉を切る。そう、それはできないのだ。何故なら街を滅ぼしたとしても魔王の魔法ではダイヤの盾は破れない。そして生き残ったダイヤの魔法を喰らって自分がやられてしまうのだから。


「く、くそっ、せめてあの転生者さえみつかれば……」


 2人を警戒するのが困難になったのかそんなことを口走る。しかしその直後、大きく笑いだし魔王は右掌を翳した。


「ハハハハハハハハハ、そういうことか転生者よ。貴様の考えは全て読めたぞ。『デモンズペイン』! 」


 魔王は笑いながら巨大な禍々しい球体を作り上げる。


「おい、あんなの打たれたら」


「皆さん私の側に、必ず防いで見せます」


 冒険者たちが慌てる中球体はさらに大きくなった。やがて完成したかと思うと魔王は高らかに宣言する。


「貴様等の頑張りは認めよう。しかし、たった今その頑張りは水泡に帰した。考えた者よ、だが一手及ばなかった」


「どういう意味です」


 ダイヤが声を張り上げて尋ねると魔王は鼻で笑う。


「ハッ、しらばっくれても無駄よ。貴様等は囮で待っているのだろう? 我がワープで城に戻るのを。そこで我を待ち構えていた転生者が攻撃をする。そういうことなのだろう? それならば我の勝ちだ。『ワープ』」


 魔王は詠唱を済ませ魔王の城へと跳ぶ。その直後、右手を振り下ろした。


「これで終わりだ転生者よ、死ねえええええええええええええええええええええい! 」


 魔王の放った魔法はそのまま地面に直撃し足場全てを破壊した。魔王が作った城だけに足場は無事だがそこにいた者は誰一人として避けることはできないであろう威力だ。


「さらばだ転生者よ。これで邪魔者が1人……ハッ」


 突如魔王が凍り付く。ようやく俺に気が付いたのだろう。小さくなり額に刺さったクローバーの矢にくくりつけられている俺に。


「貴様、いつからそこに! 」


 慌てるももう遅い、ダイヤが離れたことで魔法が解除された俺はみるみる大きくなり5つのオーブが輝いている伝説の剣を握った。ユウキの託してくれたモノは5つのオーブを繋ぎ伝説の武器へと力を送るものだったのだ。


 魔法を使った直後の意表を突いたこの瞬間なら移動できない。これで決める!


 決意を胸に秘めて力を込めるとオーブが輝いたかと思ったら輝きが1つになりそれは黄金色へと変わる。


「なんだそれは」


 魔王が狼狽える、実のところ俺も驚いたけれどこれなら魔王を倒せそうだ。


「くらえええええええええええええええええええええええええええええ」


「ぐぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


 渾身の力で黄金の剣を振り魔王を一刀両断、真っ二つに切り裂いた。驚いたことに黄金の輝きが切り口から魔王へと広がっていきその部分が輝きと共に消滅していく。


「おのれ、おのれええええええええええええ。だが我1人では死なぬ。せめて貴様だけはああああああああああ、『デモンズペイン』! 」


 魔王が黄金の輝きが腕に回らぬようにと最後の力で広げ俺目掛けて掌を翳す。最後の攻撃だ。情けないことに俺にはもう魔法の攻撃を消すために剣を振る力が残されていない。正直、俺はこの後消えるだけとなった身なのでここで受けても変わらないだろう。でも……


「そんなのごめんだ」


 回れ右をして全速力で駆け出す。ここは上空だから飛び降りても助からないだろうし飛び降りるまで攻撃に当たらないなんて保証もない。ただ、どうせ消えてしまうとしても一秒でも、一瞬でも長く生きていたかった。そしてできることならもう一度だけ皆に会いたい。


 淡い期待を抱いたその時、俺の目を疑うことが起きた。数メートル先に目の前にダイヤ、スペード、クローバーが現れたのだ。


「トーハさん! 」


「トオハ! 」


「……タアハ! 」


「ダイヤ! スペード! クローバー! 」


 ふと身体が軽くなった気がした。俺はラストスパートとばかりに駆け出しながら剣から黄色に煌めくオーブを取り出しダイヤに投げる。


「ダイヤ! 」


 だが、俺はこんなときに失敗してしまった。オーブが彼女よりも高いところに投げてしまったのだ。マズいと思ったその瞬間スペードが高く跳び上がる。


「よっとナイスパス、予想通りだ、クローバー! 」


 スペードがジャンプしてオーブを掴むとクローバーに手渡す。クローバーは受け取るとダイヤに手渡す。そして彼女がオーブを杖に着けるのが見えた。


 あとは俺が入るだけだ。


「いっけえええええええええええええええええ」


 力強く地面を蹴る。するとダイヤよりも背後に滑り込むことができた。それを確認した彼女が呪文を唱える。


「『シルド』! 」


 ドカン! と激しい衝突音の後、魔王の最期の一撃は彼女の攻撃により消滅した。

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