16-11「冒険者たちの戦い」
「よし、それじゃあダイヤ」
作戦を話し合った俺は立ち上がるとダイヤの前に立つ。
「はい、『ミニマァム』! 」
小さくなった俺の身体を彼女は抱えた。
「それではどこに跳びましょうか」
「まずは、レイズさん達がいるニンビギに跳ぼう。回復をしてもらえるしあそこにいるのが一番都合がいい」
「かしこまりました。それではみなさん私に掴まってください」
ダイヤに言われスペードとクローバーが彼女に掴まる。
「それでは、『ワープ』! 」
彼女が呪文を唱えると一瞬見えなくなったと思ったが次の瞬間、視界にニンビギの景色が映り込む。しかし、それはダイヤに聞いていた都市の様子ではなく建物が破壊されていた。やはりそうだった、魔王の狙いは逃げることではなく俺達が全力が出せないように街を人質にすることだった。しかし、それは俺達も魔王が『ワープ』を使えるかもしれないという疑惑に辿り着いてから想定済みだった。
「皆」
レイズさんが俺達に駆け寄ってくる。
「レイズさん状況は」
ダイヤが尋ねると彼女は魔王を見上げる。
「王様に掛け合って出来るだけ避難は済ませておいた。現在冒険者も負傷者無しだが。あいつの再生は厄介だ」
「負傷者0」
嬉しい報告に安どのため息を漏らす。
「レイズさんがいてくれて助かりました」
ダイヤが俺の代わりにお礼を述べてくれる。
「なあに、どういうわけかあの魔王の右腕だけ再生しなくてねえ、そのおかげみたいなものさ」
言われて魔王の身体を見ると確かに右腕が再生されていない。もしかすると闇のオーブの効力だろうか? だとしてもあと何回も魔王をオーブの力で切らないといけないというのは魔王相手だと骨が折れそうだ。
「……とそんなことより皆ボロボロじゃないか。『ヒール』! 」
レイズさんが『回復の魔法』を放つとたちまち3人が緑色の光に包まれ回復した。
「ありがとうございます」
「助かった、これでまた暴れられそうだ」
「……ありがとう」
頼もしくも力が蘇った3人がお礼を述べた後、彼女が首をかしげる。
「おや、1人いないようだが……」
「いえ、彼は……ごめんなさい」
「いや、無事ならいいさ。何か作戦があるってんなら心強いからね」
彼女はカラッと笑うと負傷者を見つけたようで回復に向かった。
「私達も行きましょう」
ダイヤはそう言葉を交わすと3人は各々が成すことをするために走った。
♥♢♤♧
「どういうわけか回復をするゾンビどもめ、だが直撃なら……死ね! 『デモンズボール』! 」
「『シルド』! 」
冒険者に放たれた攻撃をダイヤが『盾の魔法』で防ぐ。
「ほう、ようやく来たか」
魔王が程なくしてダイヤ達に気が付いたようでニヤリと笑う。
「貴様も回復したようだがそれでどうする、この人がいる街であの魔法を使うというのか? ははは、それはできまい。我の勝ちだ、『デモンズボール』! 」
冒険者と戦いながらも魔王は攻撃を放つ。
「うるせえ! 」
冒険者と合流したスペードが建物を伝い各々が強力な魔法を纏った剣で魔王の左手を切断する。
「『ファイエア』! 今だ! 皆! 」
その隙を見てクローバーが魔王で合図を送り潜んでいた弓使い達が魔王目掛けて一斉に矢を放った。
「ハハハハハハハハハ」
弓が直撃した者の魔王は笑い出す。
「我の攻撃の手段を封じて何をするかと思えば矢だと? そんなもの貴様等でいう小石をぶつけられた程度にしか感じぬは……? 」
魔王はそう口にしながらも言葉を切り大きな目で眼下を見下ろした。違和感に気が付いたのだろう。
「あの忌まわしい転生者はどこだ」
小さく呟く。そうだ、本来ここでは矢ではなく再生を封じる闇のオーブの攻撃が来るはずなのだ。それが来なかったから魔王は不審に思ったのだろう。
「『エンハンス』! 何ボサッと突っ立ってんだ! 喰らいやがれ『エアースティング』! 」
「ぐ、ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 」
しかし、その瞬間が大きな隙となりそこをついてコールは高く跳び上がり強力な攻撃を叩き込み魔王の身体に風穴を開ける。
「貴様ら、貴様等あああああああああああああああああ! 」
魔王の雄たけびが周囲に響き渡った。




