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16‐1「ペガサスの待つ場所へ」

 大賢者様の元で修業をした一か月後、俺達はスウサの西の地点から小島を見つめていた。


「あそこにペガサスがおる」


 杖で小島を指し大賢者様が口にする。

 確かに小島との距離は1キロあるかないかだけれど問題が1つ存在した。あちこちに渦潮(うずしお)が発生しているため船ではたどり着く前に飲まれてしまうであろうことだ。


「この流れじゃからのう、今まで誰も近づけなかったわけじゃが、今の其方ならいけるなダイヤ」


 大賢者様がダイヤに視線を移すと彼女は力強く頷き蒼色の輝きを放つオーブがついた杖を構える。


「『ブリズァード』! 」


 するとあっという間に辺り一面の海が凍り付き島への道が出来上がった。漂う冷気に慌てて防寒着を身に纏う。


「すげえ」


 スペードが感嘆の言葉を漏らす。彼女の言う通りで一瞬でここまで凍らせるなんて頼もしい限りだ。


「よくやった、ワシができるのはここまでじゃ、それでは健闘を祈る」


 弟子の成長を見た大賢者様はそう述べると俺達がお礼を述べる間もなく姿を消した。


「ありがとうございます」、俺達は先ほどまで彼が立っていた場所にそう述べた。


「『フロート』! 」


 ダイヤが氷で滑らない様に俺達に魔法をかけてくれたので足元が輝き僅かに浮き上がる。


「それじゃあ、行こう」


 そう言うと俺達は氷の道を歩き出した。


 ♥♢♤♧

「……みつけた」


 見渡す限り氷景色の道を渡った後、クローバーが指差した場所をみると木々の隙間の広い泉の前で白い羽を纏い退屈そうに地面を見ている天馬の姿があった。


「急ごう、もしかしたら飛んでどこかへ行ってしまうかもしれない」


 ふと不安が頭を過りそう口に出すとともに駆け出し5メートルほどまで近付くと今度は一転して気付かれない様に抜き足差し足で木々を間を移動しながら近寄る。そうして残り1メートルになった時だった。ふと顔を上げたペガサスと目が合う。慌てて駆けだそうとするもペガサスは逃げようともしない。


 これは一体どういうことだろう?


『お主から懐かしい雰囲気がする』


 ふと脳内に直接声が響く。恐らくこれはペガサスの声なのだろう。といっても俺にペガサスと面識はない。脳内でそのことを伝えるとペガサスは俺に近付き鎧の胸の部分に額を当てる。


「まさか」


 心当たりがあって鎧を脱ぐとスライムから貰ったペンダントを首から外しペガサスに見せながら脳内で念じる。


『これ、もしかしてユウキさんの』


『ああ、そうだ懐かしい。どこでそれを』


『これは、スライムから頂いたものです』


『そうか……それで私を訪ねてきたということは』


『はい、私達を魔王の元へ連れて行ってくれないでしょうか』


 ペガサスは答えない。ユウキを連れて行ってどのような結果になったかを考えて悩んでいるのだろう。


『……勝てるのか? 』


『はい、できることは全てやりました』


『そうか、ならば乗るが良い。といっても大勢は乗れないから2人までだがな』


 そう言うとペガサスは俺に背中を向ける。


「まず誰が行く? 」


 俺が尋ねると同時にスペードとクローバーがダイヤの背中を押した。「きゃっ」とこちらに近寄るダイヤを受け止める。


「行ってこい」


 スペードが笑う、みるとクローバーも笑っていた。ダイヤの顔を見つめる彼女の頬は僅かばかり赤くなっていた。


「じゃあ、行こうか」


 ペガサスにまたがるとダイヤに手を伸ばす。


「はい」


 彼女は微笑みながら俺の手を取った。

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