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15-24「侍の恩返し」

「侍、どうしてここに」


 目の前の侍に尋ねる、彼は今は俺の依頼で国外に脱出していたと思っていたからだ。


「いやねえ、依頼主への恩返しがまだでしたね何か役に立てねえかとつけさせてもらってたんすよ」


 ポリポリと頭を掻く。それを聞いたデーモンが高笑いをする。


「フハハハハハ、確かに雇い主は私でしたねえなんと義理堅い。それではあのゴブリンを始末してください」


 ヤギリさんは笑う。恐れていたことが起きてしまった。侍とヤギリさんは俺よりも長い付き合いだ、その中で何かが芽生えたのだろう。

 しかし侍は動かず眉を潜める。


「いやいやいや貴方じゃねえよヤギリ、儂が恩がある依頼主っちゅーのはそこのゴブリンさ、あのまま捕まってたら真っ先に貴方に口封じされていたでしょうからね。それがなくてもヤギリさん、貴方は儂に嘘をついていた。貴方に対して果たす義理はねえよ」


 そう言い切ると侍は俺を見る。


「そんでゴブリンさん、あのお嬢さんもいないようなので伺いますが今ピンチですかい? そんなら恩返しとして儂にも戦わせて頂きたいのですが」


 何ということだろう。侍が俺の味方をしてくれるというのだ。とても心強い。


「お願いします、一緒に戦ってください」


 俺がそう口にすると「おうよ」と彼はニヤリと笑った。


「コシャクナアアア! ならばマズハサンニンマトメてクタバレエエエエ! 」


 説得に失敗したと知ったデーモンは侍目指して左掌を掲げ詠唱を唱え始める。


「ファイエ……え? ぎゃああああああ! 」


 しかしかその詠唱は突如として悲鳴に変わった侍が瞬く間にデーモンの左掌を切り刻んだのだ。侍はすかさず左腕に飛び乗る。それをみて俺は右腕に飛び乗ると剣を力一杯右腕に突き刺す。


「ぐあああああああああ 」


 デーモンが痛みで激しく腕を動かすのをみてしゃがむとがっしりと腕を掴む。やがてデーモンの動きが収まると再び動き出す。侍の狙いは恐らく頭部だ、なら俺も向かわないと……

 はやる気持ちを抑えて慎重に進んでいく。すると肩まで来たところでデーモンがこちらに顔を向ける。


「バカめ、まずはお前だ死ね! 『ファイエア』! 」


 詠唱とともに口の中に火の玉が溜まる。このままでは直撃だ。しかし俺は足を止めない。俺は1人で戦っているわけではないからだ。

 今まさに炎が出来上がったのだろう吐き出されるその瞬間、風が俺を通り過ぎ火球を大きくするとともに口に押し込んだ。


「ガフッ……」


 一瞬にして黒焦げになったデーモン、正直この時点で瀕死の状態だけどやるしかない。

 まずは俺からだ。


「蒼……黒閃斬倒! 」


 咄嗟に考えた技名を述べ頭部を切るその直後に侍が刀を抜き通り過ぎ際に刀を振る。次の瞬間、俺に斬られた頭部と切断された首は斬り刻まれた。そのままデーモンの身体も頭を追うようにドスンと音を立てて倒れた。

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